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タイガー&ドラゴン 粗忽長屋(そこつながや) [タイガー&ドラゴン]

西田敏行扮するどん兵衛の「粗忽長屋」が上手かった。
今までの高座で一番好き。
演じ分けが巧みで、間の取り方が巧妙で笑えました。

ヤクザのヤスオにメロメロになる
小百合ちゃんと鶴子さんも笑えた。
そんなにいい男かなぁ。
虎児のほうがずっとすてきじゃないの。
あっ、でも女の扱いはヤスオの方が手慣れているか・・・

「自慢じゃねぇけどよ、俺にはもう悲しむ奴がいるんだよ。
俺のことを家族だと思ってくれてる奴が何人かいるんだよ。」
「俺の代わりはもういねぇんだよ」

虎児がこう言えるようになって本当によかった。
こんなふうに言うことができなかった
三枚起請の回の虎児は悲しすぎた。

 

ウルフ商会にヤスオを突き出すという虎児に組長はこう言います。

「あいつにも1ミリくらいは人間の心が残っている。
でなければタイガーマスクみたいなマネはしない。
今ならまだ間に合う、完全に踏み外す前に何とかしてやれ」

ヤスオが自分と一緒に流星会を裏切ったあげくに
一家心中した仲間の生き残った子供に
送金していた事を知ってこう言ったわけです。

師匠は師匠で、弟子を辞めると頭を下げる虎児に言います。

「去る者は追わないけれどおまえさんは違うよ、小虎。
鉄火場だろうが野戦病院だろうが
あたしゃどこまでも追いかけていくよ」
「小百合ちゃんが泣いてるんだよ」
「ヤクザとしてではなく噺家として解決しておいで」

組長も師匠も大人として、虎児とは違う見方でこう言います。
二人とも懐が深いし、考え方が温かくていいですね。
こういう人が近くにいてくれてよかったね。小虎。

落語シーンのうっかり者を演じている長瀬くんって
あまりにハマっていました。
トーク番組の彼はあんなカンジだものね。

「あんた自分でどう思ってるか知んねぇけどさ 
やっぱヤクザなんだよ 分かったろ」
と虎児を突き放した竜二くん。
虎児の呼び出しに関わりたくないと断った後
「おまえが来ないとさ」
「俺が行かないと?」
・・・「噺にオチがつかないんだよ」
と言われた途端に表情が変わり、
「しょうがねぇなぁ。竜ちゃん行っちゃいますよ」と嬉しそう。
やっぱり噺家の体質はどうしようもないのね・・・

「おまえが死んだら毎月金送ってるあのガキが泣くんだぞ」
「死んでも誰も悲しまねぇなんて、そんな奴はいねぇんだよ」
虎児はヤスオにこう言います。
ヤスオは嫌いだったけれど、
最後にはそれほど嫌いではなくなってしまった。

子虎のオチでのヤスオのセリフ、
ヤスオに似せてしゃべっていたけれど、
あまりにそっくりで笑ってしまった。


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スゥ。

本放送時の番組公式HP掲示板でカナリ拒絶反応が出ていました。
今回は完全に犯罪ですからね。殺人を犯したのは泰次だけど、虎&竜も死体遺棄する車に同乗してますし。
「死んでも誰も悲しまねぇなんて、そんな奴はいねぇんだよ」
であるなら殺された哲也だってそうじゃないのか、とか、ね。

対して「だってドラマなんだからさァ。それじゃミステリなんて成立しないよ」と云うこともできますが、それより思ったのは落語という形について。
『粗忽長屋』の不条理な笑いを理解できない小虎に竜二は
「ありえない話で笑わせるところが面白い。会話と仕草だけの最小限の表現だからこそ可能な、それが落語の醍醐味だ」という内容を語ります。
『猫の皿の回』で小百合ちゃんが「落語は芸術なんかじゃなく庶民の娯楽だ」と半蔵おでんで話しましたが、落語の演目には反社会的だったり不道徳だったりするものが意外と多い。
もちろん庶民の教育の場でもあったから、忠や孝、義理や人情について学べる内容の方が数では上回るのかもしれないが、その人情を優先する余り不正を見逃したり公正さに欠けたりする話、逆に情けにつけこんで、それを想定して悪事を働く話も沢山あって…『出来心』は正にソレですね。

泥棒は出る、詐欺師は出る、間男はする、女は売り飛ばす。
死人も、出るどころじゃない、死体にカンカンノウを踊らせるわ、焼きあがった仏サンの腹から金を浚うわ、といった具合。
それだけ語っても話が生臭くならないのは、舞台の時代が時代だから、ということもあるけれど、やはり竜二の云うとおり落語の形式が大いに与っていることでしょう。

小父さんやお兄さんが1人で座布団に座ってパーパー喋ってるだけのモノと映像の中で何人もの役者が演じるもののリアリティの違い。
“昼は噺家・夜はヤクザ”というだけでなく“フィクションの中にしか存在しない、良いヤクザ”というものが、設定の当初からファンタジーだと頭で判っていながら俳優の演技に引き込まれてしまい、その世界設定との距離感がとれなくなってゆく。

掲示板の反響を見てクドカンはどんな思いを持ったでしょう?
創作は難しいと改めて感じたか、落語の懐の深さに思い至ったか。
実際寄席に行くと新作落語なんかでトンデモナイ設定の噺いくらでも聞けますからね。
なにしろ喋るだけなんだから摩天楼でも絶世の美女でも、たちどころに出現させちゃう。
カミシモ切るだけで人から獣から天狗にだって早変わり。

最近youtubeで長瀬智也クンの高座『初天神』を観ましたが、クドカンの創作落語を、彼で聞いてみたくなりました。
by スゥ。 (2006-08-30 01:21) 

miyuco

そんなに賛否両論だったのですか。
たしかに正論から言えば否定的になってもしかたないかな。
でも、あれだけイヤな奴っぷりを見せられると、こういう成り行きも
ありかなと思ってしまう。
クドカンドラマで落語が素材なら、
清濁併せ呑む展開があって然るべき。
観る側のこういった心構えがあるかないかで
賛否は変わってくる事でしょう。
私はあんまりひっかからなかったな。多分、そこを気にする事ができないほど、他の部分が強烈に迫ってきたからだと思います。
フェロモンたっぷりの北村一輝がイヤだったのに、
最後には憎めないヤツと思ってしまいました。
youtubeに長瀬智也『初天神』を観にいってしまった。
あのでかい声が好き♡
by miyuco (2006-08-30 13:52) 

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