麦の海に沈む果実 恩田陸 [読書]
恩田陸は「ゴシック・ロマン」を書きたかったそうです。
エッセイ「小説以外」の文章によると
ゴシック・ロマンという言葉を知ったのは、
愛読していた少女漫画雑誌でだった。
私の記憶によれば、
「運命に導かれ、辺境のお屋敷やお城にやってきたヒロインが、
謎めいた恐ろしい出来事に遭遇する話」と説明されていた。
<中略>
子供の頃から愛していた念願のゴシック・ロマンを、
自分の小説の中でやればよいではないか!
かくて、私は「麦の海に沈む果実」を書いた。
隔絶された寄宿学校。
そこに編入してきた美少女。
謎めいた美少年たち。怪しい校長。
パーティーとお茶会。不吉な伝説。そして殺人事件。
わはははは、どうだ!
こんなところ絶対に存在しないけど、これが私のゴシック・ロマンだぞ!
「IN POCKET」もうひとつのあとがき「麦の海に沈む果実」
図書館の二階の張り出し窓、その縦長の窓に座っている黎二。
鋭い横顔のライン、きちんとしめられていたことのないシャツの襟。
理瀬は黎二を「僧侶か殉教者のような潔癖さがある。」と思う。
「あなたは、最後まで私のことを守ってくれた」
この悲劇的な境遇にいる少年が印象に残ります。
図書館の張り出し窓といったら「トーマの心臓」を思い出す。
本の間にひっそりと挟まれていたメモ。
憂理という名前のルームメイトも出てきます。
ゴシック・ロマンのイメージは成功しています。
「光も影もない。ここはやはり三月の国なのよ。出会いと別れの国。
それ以外の何者でもない」
全体を謎めいた鬱屈した空気が覆っています。
夜中に読んでいるとドキドキしました。
恩田陸は残酷な仕打ちを平然と描きますね。そこがちょっと苦手。
理瀬の人物像は、なかなか「黄昏の百合の骨」の理瀬とは結びつきません。
登場人物のエピソードは、細かく繋がっているので、
こちらから先に読んだほうがいいのかな?
ヨハンはあまり私の趣味ではないです・・・
よくあるキャラだと思ってしまった
装幀と章ごとの扉に添えられている
北見隆さんの絵が素晴らしいです。
謎の校長は、三上博史をイメージしてしまった・・・
彼は大柄ではないけれど
miyuco さん、こんばんは
仰るように「トーマの心臓」や「ポーの一族」のギムナジウムを連想させるような、少女マンガを地でいったような作品ですね。その独特の雰囲気が面白かったです。
僕は、「三月は深き紅の淵を」、「麦の海に沈む果実」までは読みましたが、「黄昏の百合の骨」はまだ読んでいません。機会があったら読んでみたいと思います。
by (2005-09-02 20:36)
lapisさん、恩田陸まで読んでいらっしゃるのですか!
ブログを拝見していても想像できなかった・・・ビックリ(失礼ですね。申し訳ありません(。>_<。) 「黄昏の百合の骨」はちょっとう~んという感じかもしれません。
いま、「三月は深き紅の淵を」を読んでいるところです。
彼女は多作なのでまだ当分楽しめそうです。嬉しい。
コメントありがとうございます。
by miyuco (2005-09-03 08:24)