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ジョゼと虎と魚たち [日本映画]

 ジョゼと虎と魚たち(Oirginal Sound Track)

ジョゼと虎と魚たち(Oirginal Sound Track)

  • アーティスト: サントラ, くるり, 岸田繁
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2003/11/05
  • メディア: CD
 エンディングで流れるくるりの「ハイウェイ」がすごく好き。

もう評価が定まっている作品を観て
感想を書くのも何だかなあと思いますが。
「メゾン・ド・ヒミコ」つながりでDVDを借りてきて観てみました。
TUTAYAではいつもレンタル中。
GEOに寄ったらやっと見つかりました。

風変わりな女の子と今風の大学生が
出会って別れていくお話。
ジョゼと恒夫に「障害があるから」とか
「足が悪いから」というセリフはなかったと思います。
乳母車にボードをくっつけて、
ジョゼをのせて疾走するシーンなんて、
おバカなカップルが悪ふざけをしているようにしか見えなかった。
フツーのカップル。
以下、ネタバレ(今さら?)感想です。
また長文になってしまった・・・


ああいうアッケラカンとしたノーテンキな兄ちゃんが
スルリといろいろな物を通り抜けてしまうんだわね。
閉塞している状況を突破するのはこういう人たちなのかもしれない。

ジョゼがはしに突き刺して差し出したれんこんを
「味見?」と言ってパクッと食べて
「うまい、うまいっすよ」と幸せそうに答える恒夫。
「ジョゼか、いい響きだねえ」
台所に立つふたりの後ろ姿のワンカットですが、
ジョゼはここで恒夫を好きになったのでしょうね。
そういう顔をしていたと思う。顔は見えてない。
でも、はしを持ったまま固まっている右手と後ろ姿でわかります。

「帰れって言われて帰るような奴は はよ帰れ!」と
泣きながらぶつかってくるジョゼに
恒夫が振り返って向き合うシーン。
恒夫の感情が動いた瞬間に
ポーンと音楽が鳴り始めるのがよかったな。
「ええよ、しても」と自分から服を脱ぐジョゼ。
どんな本から、かたよった情報を仕入れてるんだ?
と思うと、とてもいじらしい。

話は一年後にとんでしまいます。
一緒に暮らすふたりの一年間をとばして。
別れの予感が、画面をおおっています。

「おまえは壊れもんや、
壊れもんには壊れもんの分ゆうもんがあるやろ」
というオバアの言葉をジョゼは理解しています。

家を出ていく恒夫。
別れはあっさりしたものでした。
外で待っているのは香苗。
香苗とならんで歩きながら、
恒夫の表情は歪み、泣き崩れる。

「別れても友達でいられる女の子と、
二度と会えない女の子といる。
ジョゼは二度と会うことはないだろう」

車椅子で疾走するジョゼ。
髪をしばり、魚を焼く。凛々しい顔。
そして椅子から降りるダイブの音。

「人間ゆうのは、記憶を燃料にして
生きていくものなんやないのかな」

村上春樹「アフターダーク」に出てくる言葉です。
ジョゼと恒夫は出会ってよかったんだと思う。
ハッピーエンドではなくても。

妻夫木聡、さわやかです。ノーテンキです。
派手なラブシーンも堂に入っていました。
池脇千鶴、毅然とした表情、泣き顔、どっちもいいですね。
うまい人なんだ。

「障害者のくせして、私の彼氏 奪うなんて」
福祉関係の仕事に進みたいと考えていたのに
自分の言葉に傷ついて
崩壊してしまった香苗さんを嫌いにはなれない。

「兄ちゃん、ひるんだと?」
ジョゼを捨てた恒夫も嫌いになれない。
彼らの胸に残ったものが、
観ている私たちの胸にも残ります。

シーンと静かな海の底にいたと言うジョゼ。
「別にさびしくはない。始めから何にもないねんもん。
ただゆっくりゆっくり時間が過ぎて行くだけや」
「うちはもう二度とあの場所には戻られへんねやろ」
「いつか あんたがおらんようになったら、迷子の貝殻みたいに
独りぼっちで海の底を コロコロ・・・転がり続ける事になるんやろ」
・・・「でもまあ それもまた良しや」

「メゾン・ド・ヒミコ」の感想を読んでいると
「ジョゼ」のほうが良かったと書いてある事が多い。
たしかに「ジョゼ」のほうがスキがないし、
この物語をこんなふうに完成させるなんて見事です。
観る人の年齢や状況によって
見方はずいぶん変わってくると思うので
意味のない比較ですが
わたしは「メゾン・ド・ヒミコ」のほうが好き。
その理由は、たぶん、大人がでてくるからだと思う。

もちろん「ジョゼと虎と魚たち」も好きな映画です。
「金髪の草原」も探さなくちゃ。

         <ハイウェイ>

     飛び出せジョニー 気にしないで
     身ぐるみ全部 剥がされちゃいな

     やさしさも甘いキスも 
     あとから全部ついてくる

     全部 後回しにしちゃいな
     勇気なんていらないぜ

     僕には旅に出る
     理由なんて何ひとつない

     手を離してみようぜ
     つめたい花が こぼれ落ちそうさ 

                 lyric by 岸田 繁 (くるり)


タグ:渡辺あや
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