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つきのふね 森絵都 [読書]

 

つきのふね

つきのふね

つきのふね

つきのふね

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: 文庫

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 単行本

大好きな本。
講談社で発売された単行本は
桜沢エリカのイラストが表紙になっています。
こちらは手に入りにくくなっていまして、
とても残念だったのですが、
角川書店から文庫本として発売されました。
文庫本なら読者も広がるかな。

金原瑞人さんの解説が素晴らしいです。
わたしが何かを書くよりも全文引用したいくらいです。
この本を手に取って、読んでみようか迷うなら、
この解説を先に見ていただくことをお勧めします。

「自分のことばっか気にしすぎてる」中学生。
自分の気持ちに縛られてがんじがらめ身動きできない。
心から大切に思っている人が
目の前で壊れていくのを目の当たりにして、
そんな彼女たちがストレートに動いていきます。

お願いだから悲しい結末にならないで、と願いながら、
ラストシーンまでを中学生たちと一緒に
疾走するように読みました。
静かなラストシーン。
「つきのふね」
最後にそえられた手紙に胸を衝かれます。

さくら、梨利、勝田くん、智さん、
誰もが誰かの「小さくてもとおといもの」
自分では気がついていなくても。

「森さんによれば、『つきのふね』は児童書として、
『永遠の出口』は一般書として書いたという。
しかし大人が読んで、新鮮で感動的なのは
『つきのふね』のほうだと思う。
『永遠の出口』は現代小説としても、青春小説としても
完成度が高く、評価も高く、
彼女のこれまでの作品のなかでベストだろう。
それにくらべると『つきのふね』は、完成度は低いし、
まだまだ生な部分があちこちに顔を出している。
が、なんともとらえようのない、
作者自身どうしようもない勢いがあって、
それが読者を無防備にしてしまう。そんな力がこの本にはある。
それがストレートに伝わるのは大人のほうではないだろうか。
この作品については、多くの人から感想をもらっているが、
大人のほうが絶対に、この作品に弱い。」
         -------------------- 金原瑞人「解説」より

「人より壊れやすい心に生まれた人間は、
それでも生きているだけの強さも同時に生まれもっている。」

心が強く揺さぶられる物語です。


タグ:森絵都
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コメント 3

ひろ

つきのふね、僕も文庫本で購入しました。
miyucoさんの記事でたびたび登場する、
森絵都さんはどんな話、文章を書くのだろう?
…と気になって、手始めに「アーモンド入りチョコレートのワルツ」を買いました。

子供は眠る・彼女のアリアを読み、
自分の青春時代と比べては懐かしんでいました。

つきのふねもこれから読んでみます。
by ひろ (2006-01-09 01:26) 

ひろ

追記です。
読み返したら、「つきのふね」についてのコメントになっていませんでした。
すいません。m(_ _)m。
by ひろ (2006-01-09 01:28) 

miyuco

>ひろさん
森絵都は中学生向きに本を書いていたので
文章はとても読みやすいです。
でも、おとなが読んでもとても魅力的です。
この方のうまさは大人向けに書いた『いつかパラソルの下で』が
直木賞候補になった事で広く認めらるようになりましたが。
(私は『永遠の出口』のほうが好きですが)
他の作品もどんどん文庫本になればいいのにと思っています。
『つきのふね』泣けますよ。
by miyuco (2006-01-09 08:35) 

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