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THE・少女マンガ 『木原敏江の世界』 BS2 [コミック]

絢爛豪華なカラーイラストが画面いっぱいに映し出されたとき
あまりの美しさに感動です。

 『摩利と新吾』には思わず涙でした。
最初から最後まで見届けた彼らとの久しぶりの再会です。

過ぎ去ったものに心を通わせたひとりのマンガ家。
彼女は洗練された絵で滅び行く世界の美しさを描いた。
『夢の碑』

妖しくも美しい耽美な世界。作者の名は木原敏江。
華麗な絵と音楽的な言葉、
少女マンガに独自の美の世界を持ち込んだマンガ家。

「消えゆくもの、滅びさるもの、愛しいですね。
すごいシンパシーを感じる。
かつてあって今はないもの、
でもそういうのってその場に行ってみると、
空気は微かでも薫りがするんですよね。
その場に立てば、わかる人には。」

『夢の碑 雪紅皇子』
セリフを声優さんの声で読み上げながら
紹介されていきます。

父親の影響で日本画に興味があった。
上村松園の美人画、山口華楊が描く桜。
堀口大学、上田敏が訳した外国の詩、
日本の詩をよみまくった。
詩人になりたかった。
一番影響を受けたのは立原道造。
『風のうたった歌』が紹介されます。

「語感がとってもよかった。
おんなじ言葉の連なりで
こんなふうな世界ができるんだとか、
ひとつの言葉を言うのでもいろんな言い方がある、
そういうのの広がりとか、
言霊って言うんですかね、なんとなく感じました。」

「知的な表現を散りばめたマンガは
少女たちには難しかった。
なかなか理解してもらえない」
そのため、書かせてくれる場所を求めて、
出版社、雑誌を転々とする。

可愛らしくてわかりやすいのが全盛期の1970年頃。
ちょっとでも理屈をこねようとすると
ダメと言われたそうです。

1972年週刊マーガレット『くれないに燃ゆるとも』
やっと理解してくれる編集者に巡り会って書かせて貰った時代劇。
(画面に出てくる原稿、覚えています。読んでいました。)
この作品で初めてアンケートで一位をとったそうです。
続いて『どうしたのデイジー?!』…これも覚えている。

「耳で聞いて心地よいリズムっていうのは
目で読んでもいい感じのリズムになるって思うんですよ」
閑吟集が大好きだそうです。

「かれらは至福の時代を生きたのだった」―摩利と新吾

「しまりんごで、きらきらしい立原道造側の世界を
自分なりにやれたので
ダークサイドをやりたくなった」

それが『夢の碑』耽美で幻想的な世界。
ポーの詩についていたハリークラークの挿し絵。
オスカーワイルドの本のビアズレイ。
ギュスターブ・モローの描くサロメ『出現』 退廃の美。

「空気を読んでくれれば、雰囲気を読んでくれれば、
情景を読んでくれれば、体感してくれれば、
聴いてくれれば、っていうんですか。
こういう時代があったんだなって思ってくれればうれしい。」

「マンガでしか出来ないと思った。詩と物語と絵と。
好きな絵を描いて、
自分の好きな下手なりに詩心の詰まったナレーションを置いて、
で、そういう物語を帰結させる。
マンガでなければ私にはできない。
詩だけではダメだし、絵だけでもダメだし、
ましてや文だけでも私にとってはだめだった。
だから描けてほんとうによかったです。」
『夢の碑』をこう語ります。

『新古今和歌集』お好きだそうです。
「一首一首、好きな歌にお話をくっつけて、短編ですね、
ミニシアターみたいなやつ」
老後の楽しみにとってあるそうです。

『夢の碑』を私は読んでいないんですよね。
『大江山花伝』あたりまでは読んでいますが。
木原敏江さんの絵は本当にどんどん洗練されていって
華麗極まりない絵柄になっていきました。
ストーリーはどこか苦い部分があって、
そこにあの美しいナレーションが入るとたまりません。
感情が揺さぶられます。大好きだったな。

この番組を教えてくださったけろろ軍曹さんに感謝です(*^^*)    

追記…『摩利と新吾』に「恋心にも似た熱い友情で結ばれた二人」
というナレーションがついていました。
引っかかりを感じたのにも関わらずスルーしてしまいました。
ダメダメです(><。)。。
「今日も元気、明日もお天気!」のぽんたさんが
『摩利と新吾』について書いていらっしゃいます。
http://blog.so-net.ne.jp/ponta-nikki/2006-01-27
100%同感です。どうぞお読みになってください。

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<ANIMEX 1200シリーズ>(140)摩利と新吾-ヴェッテンベルグ・バンカラゲン-

(140)摩利と新吾-ヴェッテンベルグ・バンカラゲン-

  • アーティスト: イメージ・アルバム, こおろぎ’73, 日本大学合唱団, 田中秀幸, 花井紀子, 佐々木勝彦, 杉山政美, コロムビア・オーケストラ, 三浦義和, 宇田博
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2005/09/21
  • メディア: CD

↑何これ?こんなの出てたの~?知らなかったよ~


タグ:木原敏江
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コメント 6

sknys

ラテ欄には「摩利と新吾」とありましたが、
「夢の碑」(「雪紅皇子」)の方がメインでしたね。
「しまりんご」のラストに大泣きした純情可憐な読者としては、
レレレ(内容変更?)‥‥なオープニングでした。

「摩利と新吾」も耽美邪悪キャラの滝川篝くんが出て来た辺りで既に
Doziサマの片脚はダークサイドな領域に踏み出していたのではないか!
「夢の碑」の「鵺」や「渕となりぬ」は結構エグイので
miyucoさんはドン引きかと想いますが(けろろ軍曹は舌舐めずり?)。

木原コメントの書き起こし、大変だったでしょう。
けろろサンも草葉の陰‥‥じゃなかった、
病床で噎び泣いているかと思います。

3カ月前に〈ギュスターヴ・モロー展〉で《出現》を観たばかりなので、
聖ヨハネ→二の宮の「首」のネタバラシには心底驚きました。
by sknys (2006-01-27 13:01) 

miyuco

> sknysさん
私は「摩利と新吾」終了時点で「LaLa」から、そして少女マンガから
手を引いてしまったので、「夢の碑」はノータッチなんですよね。
滝川篝くんもそうですが、摩利の危うさからも、そういった部分は
すでに窺えるところではありましたよね。
「摩利と新吾」については関連記事にもあるぽんたさんの文章が
とても素敵です。どうぞお読みになってくださいませ。
http://blog.so-net.ne.jp/ponta-nikki/2006-01-27
(勝手に紹介しています^^;)
by miyuco (2006-01-27 18:31) 

けろろ軍曹

     むかし むかし そのむかし
      子供は 花のなかにゐた
       しあはせばかり 歌ばかり

『日なたへ日かげへのロマンス』で“こぞ”への暁生の台詞に引用されていますね。
漢文の教養のない私には立原道造・佐藤春夫ですら読む力のないことが哀しい。それでも『海潮音』『月下の一群』は、よく音読したものです(堀口大学Love)
暗誦に耐える詩はやはり七五調の文語文に尽きる。それらが失われたとき詩もまた滅んだのだとは故山本夏彦翁の言ですが、明治の御世から此の方断絶してしまった文化の紐帯をマンガという新しい表現で補完して、遅れてきた木原敏江氏はしかし確かに詩人でした。
『花ざかりのロマンス』冒頭の“たかが道行と思いなされ淡紫と漆黒と赤毛の春の廻りあい”
そして終章“あんた大好きだよ大天使”“綺麗になるよ今にね”“あなたあなたあなた”…狂ったように花の舞い散る景色の中でのレフレインは今も耳に残る音楽そのもの。
『題知らず』運命の擦れ違い ウンターデンリンデンで夜鳴鶯(ナハチガル)は泣くよ
“思音 思音 なにゆえ 御心変え給ひしか”文語文の美しさを教えてくれたのは彼女です。

『くれないに燃ゆるとも』で私は心を揺すぶられて泣くということを生まれて初めて体験し、大島・萩尾・竹宮と揃い踏みの『別コミ』を抱え(DOZI様もこっちに載せてくれればおこづかいが助かるのに)と思っていたものでした『週マ』時代から(『ヴェッテンベルグ・バンカラゲン』の)『緑紅最前線』辺りまでの作品が掲載誌を問わず特に好きです。
(無論それ以降のものも物語には心魅かれ愛読しておりますが『とりかへばや異聞』くらいから脇役女性の顔立ちに個人的に苦手な絵柄が散見されるのが残念です)

>この番組を教えてくださったけろろ軍曹さんに感謝です(*^^*)

とんでもない。じぶんちに衛星チューナーが立ってないからってヨソ様に頼むだなんて(-人-。)図々しい話ですがmiyucoサンなら木原サンもお好きかな?って。それなら御覧になったら感想UPして下さるかなって思いまして(竹宮サンでなくてヨカッタ(^_^)
ステキな番組ガイドをありがとうございました。

今回の出演に関する木原敏江先生の談話をアップしてある公認ファンサイトのURLを貼っておきますので、よろしければお尋ね下さい。

http://www.horie-nobuo.com/dozi/index.html#top
by けろろ軍曹 (2006-01-27 19:17) 

miyuco

>けろろ軍曹さん
そうでした!この詩、読んだことがあると思ったのは引用されていたからなんですね。木原さんの本は嫁入り道具に入れてなかったのでずいぶん長いこと読んでいませんでした。画面で再会できてうれしかった!
『竹宮恵子の世界』については更紗さんが書いています。
http://blog.so-net.ne.jp/sarasa-kingdom/2006-01-27
sknysさんのコメントの返事に書いたぽんたさんの所と更紗さんの所には
“サーザ”と“リフェール”がいます。ジャックとblogpet友達なんですわ。
なかなか素敵な組合せでしょ♡
(メールのお返事いただけると幸いです)
by miyuco (2006-01-28 09:23) 

ぽんた

リンクありがとうございます。
やさぐれたこと書いちゃって、ちょっとヾ(_ _。)ハンセイ…していたので、思わぬ反響の大きさにびっくりです。
 私もしまりんご終了と共にLaLa卒業だったので、『夢の碑』はコミックスになってからでした。

 このCD、連載当時に発売されたLPの復刻版なんですよvv
『第一桜豪寮歌』とか、世界にドップリと浸れます。♪(・-・*)エヘ買っちゃったんだわぁvv
by ぽんた (2006-01-30 14:52) 

miyuco

>ぽんたさん
リンク、承諾もいただかないうちに貼ってしまって申し訳ありませんでした。
お許しいただいて感謝です。この部分を外すのはおかしいですから。
そして私にはぽんたさんのようにはどうやっても書けません。
sknysさんがはやばやとコメント書いてしまったのであせりました^^;
>『欧州秘話』3作がまとめて読めるのは文庫版だけ
ぽんたさんちのコメント欄を読んで、ビックリ。
読みたい!
あ~また本屋巡りだわ…
nice!とコメントありがとうございました。
by miyuco (2006-01-30 15:41) 

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