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『グラン・ヴァカンス―廃園の天使(1)』 飛浩隆 [読書]

図書館の新刊の棚に『ラギッド・ガール』がおいてあるのを見つけた。
SFのランキングによく上がっているので
飛浩隆という作者の名前だけは知っていました。
で、まず『グラン・ヴァカンス』から読みはじめたわけです。

う~気持ち悪い…
読んでいてちょっと胸が悪くなりました
グロテスクな映像に過剰に反応してしまう性質のわたしには
ちょっときつい。
たとえヴァーチャルな世界だとしてもまいってしまった。

で、フツーは途中で読むのをやめて放り投げるのに、
それができなかった。
物語の仕掛けに興味をそそられたから。
ひっぱられるように読んでしまいました。

難しい用語が頻出。
すべての意味を理解して読んだわけではありません。
(官能素ってなに?)
でも、おもしろかった。

AIたちだけの閉じられた空間が崩壊する、滅びの物語。
そこが人工的につくられたものであれば、
つくったもの=絶対的に優位なものが存在するわけで、
戦いが絶望的であるのは仕方ないこと。
でも、それだけでは終わらない。

空間の均衡を守るために
あらかじめAIたちに仕掛けられていた悪魔的な罠。
設計の範疇をこえて、AIたちに育っていく感情。
そういったものが明らかになるにつれ、
AIたちが魅力的になっていく。

「清心であること、残酷であること、
美しくあることだけは心がけたつもりだ。」
作者のあとがきの言葉です。

   

ネットワークのどこかに存在する、
仮想リゾート“数値海岸”の一区画“夏の区界”。
南欧の港町を模したそこでは、
人間の訪問が途絶えてから1000年ものあいだ、
取り残されたAIたちが、同じ夏の一日をくりかえしていた。
だが、「永遠に続く夏休み」は突如として終焉のときを迎える。
謎のプログラム“蜘蛛”の大群が、
街のすべてを無化しはじめたのである。
こうして、わずかに生き残ったAIたちの、
絶望にみちた一夜の攻防戦がはじまる
―仮想と現実の闘争を描く『廃園の天使』3部作、衝撃の開幕篇。
「BOOK」データベースより

   

「素朴で不便な町で過ごす夏の休暇」が夏の区界のテーマ。
そこに「イノセントを踏みにじりに」やってくる変態ゲストたち。
AI、ジュリーは、区界のAIたちを緩和する役割をになう。
それが明らかになるまで、AIたちは傷つかないのかと思って読んでいた。
(たしかに傷つかなければゲストの残忍な欲望は満たされないでしょう)
ここは、なんてグロテスクな空間なんだろう。

アンヌの「一千年のあいだ宝物のようにしていた思い」
残虐な物語にこんなふうにきれいなものが混じっている。

三姉妹はどこに行ってしまったんでしょう。
彼女たちの役割は何だったのかな。
「大途絶(グランド・ダウン)」はどうして起こったの?
「硝視体(グラス・アイ)」とは、なに?
「苦痛の純粋集積体」(人体球、うっ気持ち悪い)と
罠のネットワークをどんなふうに使ってランギーニは天使と戦うの?
天使の正体は?
そして、ジュールはどんな旅を続けて老ジュールになるのだろう。
to be continued

さて、『ラギッド・ガール』にいきますか。

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グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

  • 作者: 飛 浩隆
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫



 


タグ:SF 飛浩隆
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