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『図書館内乱』 有川浩 [読書]

『図書館戦争』の続編。
「内乱」というよりも、図書隊内部の派閥抗争によって
引き起こされるいざこざが描かれています。
五つの物語からなる連作短編集とも読めます。

「両親攪乱作戦」Mission:親に戦闘職種配属を隠し通せ!
前作『図書館戦争』からの懸念事項、
笠原郁の両親が娘の職場見学にやってくる件。
大事な娘が危険な職種に就いていると知れたら、
両親に猛反対されること必至。
ゆえに、親には図書館業務部の図書館員であると偽っている。
郁は無事に隠し通すことができるのでしょうか。
前作で郁の行動パターンは、わかってきた。
絶対ボロが出るに決まってる^^


それにしても、この母親、よく見かけるタイプです。
(私の母も当てはまる)

「ああもう昔からそうだ、ずっとそうだ。
いつもいつも寿子は郁を自分の基準で勝手に量って、
郁はそれが嫌で嫌でたまらなくて、
しかし寿子は「愛しているから心配する」という
美しい理由で郁を反抗させないのだ。」

何を言っても、
こんなに心配してるのになんでわかんないの
で終わり。
こういう親の縛りはきついです。
女の子なんだからというのも常套句。
郁が家に寄りつかなくなるのもよくわかる。
郁のお父さん、いい味出してますね。いいお父さんだな。
社会人としての郁をちゃんと認めて、応援してくれている。

「恋の障害」
小牧がメディア良化委員会に連行される。
容疑は未成年身障者への人権越権行為。
突発性難聴で耳が不自由な毬江は物心つく前から小牧と親しい。
母親同士が友人だったから。
そして、ずっと小牧に恋をしている。
18歳になるまでに同じ人に三回失恋した。
10歳の年の差は大きい。
突然耳が不自由になり閉じこもりがちになってしまった毬江に
小牧は時間がある限り寄り添い、ふたりの距離は近くなる。
小牧が毬江にすすめた本「レインツリーの国」は
難聴者がヒロインだった。
それが、おおごとになっていく。

毬江を巻き込みたくないという小牧たち大人の男性陣。
自分がダシにされて小牧が陥れられたのに、
蚊帳の外に置いてけぼりの毬江。
そんな自分の立場を知ったら恋する女の子はどう思うか。
郁と柴崎が動きます。
「ハイティーンの女子侮りすぎよ」 
柴崎のいう通りです。
毅然として査問委員に対峙する毬江。
お姫さまは戦います。

小牧のお姫さまは高校二年生の女の子だったのね。
無粋なメディア良化委員会のおかげで、
ふたりは晴れて恋人同士になりました。

聴力障害の方が、ケータイのメール作成画面を、
コミニュケーションツールにしていると初めて知りました。
そういう使い方を想像することなんかできなかった…
過去に使った単語が引っ張られてくるから、
筆談よりもスムーズでしょうね。
もしかすると、一番出てくる単語は「ごめんなさい」なのかな。
毬江に「ごめんなさい」を言わせたくない。
小牧がどんな気持ちでそれを強く願っているのか、
よくわかります。

「美女の微笑」
柴崎麻子がどのような経緯で今の柴崎になったのか。
人一倍計算高く立ち回らなければ、自分を守れない。
美貌は人目を引くから。
でも、郁に対しての感情は、
ガードがかたい今までのものとは違うようです。

図書館内部に存在する「行政派」と「原則派」 
武蔵野第一図書館の新館長・江藤は
そのどちらにも属さないことに公正さを見出し
プライドとしているタイプだということが明らかになってくる。
「中立派」でありバランス論者。

「兄と弟」
手塚の兄・慧(さとし)はそういう人だったのか。
彼は弟を持ち駒の一つとしか扱ってないようです。

「図書館の明日はどっちだ」
武蔵野第一図書館の「焚書事件」の首謀者・砂川が
共謀者として郁の名前を出した。
査問委員会から郁に出頭命令が出される。
査問は長引く。寮内の女子の空気は郁に冷たい。
好奇と軽蔑の視線。
郁を苦難に陥れるために、カゲで糸をひいていたのは…

いくらご立派な理念を振りかざしても、
人心に背く行為を平然と行うような人間に
誰がついていくのか。
その理念も権力にとっては非常に利用しやすいものだと思う。
利用されたりしない、こちらが利用するのだ
という傲慢さがまた危うい。

郁を取り返しにいく堂上。
でも、郁はその前に自分で結論を出しました。
突っぱねられた腹いせに
首謀者から衝撃の事実を示唆されてしまった郁。
(本人以外は知ってる人が多かったけど)
郁の明日はどっちだ。To be continued.

柴崎はそんな重要な部署に属してたんですね。
手塚が言うように、自分を大事にしてください。
手塚くんも難儀な兄を持って、苦労が耐えないですね。
『図書館戦争』での手塚とは、だいぶ印象が変わってきました。

それでは、『図書館危機』にいきますか。

過去記事… 『図書館戦争』の感想

図書館内乱

図書館内乱

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: メディアワークス
  • 発売日: 2006/09/11
  • メディア: 単行本


 


タグ:有川浩
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コメント 2

第1作『図書館戦争』は本屋大賞の5位でしたね。
このシリーズ、本当に図書館のことをよく調べて書いてますよね。
それに恋愛が絡んで、なんかもう、ドキドキです。
私は小牧さんと毬江ちゃんのお話が好きでした。あと、個人的に柴崎のファンです。
先日友人と、このシリーズを実写ドラマにしたら、配役をどうするか、で散々揉めました。男性の好みが違う人同士がそういう話してもしょうがないんですけど~。
TBさせてください。よろしくお願いします。

さて、『図書館危機』の記事下書き中なんですが…なかなかアップできません。本業が忙しくて…えーん。
by (2007-04-21 00:39) 

miyuco

☆あの小牧さんがこういう恋愛をするのがちょっと意外で
そこがよかったです。
この本では手塚くんの好感度が大幅にアップいたしました[ラブラブハート]
あんな兄ちゃんを持って、苦労がたえないヤツですね。
「図書館危機」は途中まで読んで中断してします^^;
次のシリーズ最終刊が出たら一気に読もうかな。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-04-21 16:28) 

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