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『12人の優しい日本人』 [日本映画]

『12人の怒れる男』を観たのでこの映画も観てみました。

日本に陪審員制度があったらどうなるか。
殺人事件の審議の様子を描いています。
全員一致で無罪決定かと思いきや、一人が有罪へと評決を覆す。
評決は全員一致でなければならない。
そこから始まる議論の応酬。ともすれば個人攻撃の罵詈雑言。
以前レンタルして途中で挫折したのはこのハイテンションなやりとりに
うんざりしたから、という事を思い出した…orz

でも、最後まで観たらおもしろかったです。

 

黒縁メガネの男がたった一人で有罪を主張する。
が、確たる理由はない。
そのくせ無罪を主張する陪審員が
はっきりと理由を説明できないと責める。
なんかやなヤツ。
早く帰りたいサラリーマンは
どうでもいいじゃないという投げやりさが
むかつく。
梶原善演じる陪審員は個人的なやっかみが強すぎ。
銀行員は自信たっぷりで高飛車なところが鼻につく。
はっきりモノを言わないくせに
妙にがんこなおばさんとおじさん。
家庭以外の場に出ていることを楽しんで
はしゃいでいるような主婦。
イヤなヤツばかり。

証拠の検証の議論は
あっちにいったりこっちにいったり、
なかなか進まない。
そして最後に出た結論は…

場の空気が「有罪」に傾いた後から、
俄然おもしろくなってきます。
頑固に無罪を主張するふたり。
理由は「なんとなく」と「フィーリング」
いたたまれないふたりに助け船を出すのが
豊川悦司演じる陪審員。
弁護士だと名乗り、納得できないところは何なのかを
ふたりから引き出していく。

トヨエツがかっこいいです。
この映画が撮られたのはブレイク直前かな。
ちゃらちゃらした格好で投げやりな陪審員に見えたのに、
後半では議論を引っ張っていく。

平凡な人間のやっかいな「なんとなく」を
力ずくでねじ伏せない。
そこに潜むものをおろそかにしない所が
いいなと思いました。

以前陪審員をつとめたとき有罪の評決を出した。
後味が悪かった、
だから今回は有罪にしたくないという陪審員。
それが正しくない考え方だとわかっていても、
そんな気持ちになるのも無理ないかなと思ってしまう。

公平な考え方をすると思われた人物が
一番偏見に満ちていたという
アイロニー。
終わってみればみんないい人で
優しい日本人だったという結末。
三谷幸喜らしい脚本ですね。

12人の優しい日本人

12人の優しい日本人

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: DVD

…ネタばれあります。

「死んじゃえ!」という言葉、
あまり使わないと思うのですが…
不自然だなと思っていたら、そうきましたか^^
笑えた。

ピザの大きさをうんぬんするのは意味ないと思う。
大きさを選びようがないんだから。

「あの場所を通ったことがある」という発言は反則では。
「“偶然”知っている」が入ってくると薄っぺらになります。


タグ:三谷幸喜
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コメント 2

おきざりスゥ。

>トヨエツがかっこいいです。
この映画が撮られたのはブレイク直前かな。

そーなんです。リアルタイムで見てないと
(変な云い方ですが)実はソコがもったいない。
あ、トヨエツだって気づいた瞬間に一種ネタバレなんです。

>ハイテンションなやりとり
の現実味に欠けて思える分をフォローするかのように
起用された役者達は皆(最初のうちはトヨエツも含め)
ピンで主役を張るタイプではなくバイプレーヤー型です。
その辺にいる普通の人が駆り集められた陪審員達に見えるような配役。
だからといって
“平凡な人達=いい人達”ではないワケです。
>イヤなヤツばかり。
観ている側が、このままではどうにも収拾がつかないだろうとウンザリあるいはヤキモキし始めた頃合でトヨエツが動き出して展開が変わってゆくあたりのカンジ。
この驚きが得られないでしょ?
トヨエツが何にもしないまま物語は終わらないだろうって予測が立ってしまうから。
う~ん、もったいない。
むかし市川昆監督の金田一映画では(石坂浩二に近いクラスか、それ以上の大物役者が相手役に配されるから)ポスター眺めただけで犯人が判ってしまったものですが、この場合も似たものがあります。

よくできた脚本なので割り引いても面白くはあるんですが。
2度の鑑賞に堪えうるとも思います。

スゥ。も「死んじゃえ~!」のネタが好き。
                 思いついたときの三谷のニンマリ具合が想像できますな。
by おきざりスゥ。 (2007-04-10 23:12) 

miyuco

三谷さん、絶対ニンマリしましたよね!
トヨエツの若さがいいアクセントだったな。
そう、トヨエツどう出るのかなとやっぱり予測してしまいました^^;
あそこから一気に畳みかけるところがおもしろかったです。

金田一映画は往年の大女優の貫禄ある演技が堪能できて
好きでした。犯人は確かにバレバレでしたね[汗汗]
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-04-11 13:13) 

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