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20世紀少年 浦沢直樹 [コミック]

『21世紀少年』上下巻を読み終わりました。
これがなければ『20世紀少年』が完結しない
それはわかるけどなんだか消化試合のようでした。

息子とダンナさんの読後の一声はおなじだった。
「○○○○くんって、誰だっけ?」
…私も同じ気持ちでございます
同級生たちの記憶に残ってない人物というところに
意味があるのかな。

結果、また一巻から読み直してしまいました

ケンヂは1959年生まれ
キーワードとなる「万博」
ボーリングブームや忍者ハットリくん
一学年下の私には違和感なく受け入れられるものです。
作者の浦沢直樹はケンヂと同級生にあたるので
同世代の読者にノスタルジーを感じさせようと
さまざまなサービスを散りばめているようです。
若い人たちには異世界かもしれない。
「ボーリングブームってほんとにあったんだ…」
とクイズ番組を見ていて息子がつぶやいていた^^;
そんなハイティーン男子でも楽しんで読んでました。
おもしろいから。

「ケンヂという幼なじみへのライバル心」
「子供時代のトラウマをひきづった復讐」
復活した“ともだち”が自作自演をカミングアウト
それに対して作中に出てくるこの言葉が
『20世紀少年』を的確に物語ってます。

「ガキの遊びに決着なんかねぇ。」
「忘れて次にいくのが、大人になるってことだ。」
“神様”はこう言います。
確かにケンヂたちは子どもの頃のことをほとんど忘れていた。
“ともだち”は忘れない、ケンヂが忘れることも許さない。

“ともだち”による「人類滅亡計画」は着々と進んでいて
そのシナリオには普通に暮らしていたケンヂも勝手に練り込まれていた。
遊びでプロットを書いていたのは子どもの頃のケンヂだから。
“ともだち”はそれを当時見ていた、すなわちケンヂの近くにいた人物。
いったい誰なのか?
どうしてこんな事を始めたのか?
謎にひっぱられてどんどん読み進みました。おもしろかった。

あだ名で呼び続けて本名を出さないというのは仕掛けだったんですね。
ケンヂたちですら本当の名前を忘れていたのかもしれないけど。

“ともだち”が誰なのかという大きな謎が解明されたら
そこで終わりでもよかったのに。
復活した“ともだち”が死んでしまってもまだ先があった…

「僕は隊長って柄じゃない」
と言いながらも秘密組織のリーダーとしてレジスタンス活動を続ける
ヨシツネは紛れもなくヒーローです。
子どもの頃の秘密基地ではケンヂとオッチョが目立っていて
ヨシツネやマルオの存在感はそれほど強くなかった。
そんな二人が最後まで諦めないで秘密基地を守ろうとする。
子どもの頃も大人になっても。
こういう描き方がとても好きでした。
「正義は死なないのだ」

アポロ11号月面着陸
アームストロング船長とオルドリン大佐は月に立つ
でもコリンズ中佐は月の周りをぐるぐる回っていただけ。
“ともだち”は自分はコリンズ大佐だったと言うけれど
ヨシツネたちもそうだった。

同じように目立つ存在にはなれなかった“ともだち”は
ケンヂに抱いていた嫉妬のような感情を抱え込んだまま暴走する。
ヨシツネたちとは対照的でありそのベクトルの違いこそが
ケンヂになれなかった決定的な原因だとよくわかります。

さて、最後に明かされた名前についてですが…

*
*
*

そもそもあの名前が本名だったのかもわからない
あだ名だった可能性もあるわけで
結局ほんとの顔は子供時代をふくめて一回も出てこなかった。
それだけ誰の記憶にも残ってないということなのかな。
サダキヨは転校してしまったから印象が薄いのは当然だけど、
彼は中学校まで同級生として存在していた。
それなのに記憶に残っていなかったわけです。
死んだことになっていたというのはあまりにひどすぎる話です。

何かが変わると思って中学校の昼の放送で流したロック
「20th Century Boy」
何も変わらなかったとケンヂは思ったけれど
実はケンヂの気づかないところで変化があった。

「ガーガガガー ガーガガーガー」
http://www.youtube.com/watch?v=Ylww2dOW7fg
かっこいいなー

21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)

21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)

  • 作者: 浦沢 直樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/09/28
  • メディア: コミック



『MONSTER』も以前読みました。
ゾクゾクしながら読んだのですがラスト間近
「ソフィーの選択」とそっくりなシチュエーションが出てきて
興を削がれてしまいました…
あの映画、好きだったんです。
 


タグ:浦沢直樹
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