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『駅から5分』 くらもちふさこ [コミック]

花染町を舞台にした五つの物語、連作短編集。
最初の作品を読み終わった瞬間、ああ「くらもちふさこ」だ
紛れもなく「くらもちふさこ」のストーリーだと思って感動。

もう長いこと新作を読んでいませんでした。
昔とは絵柄が変わってしまったようなので少し抵抗がありました。
でも、読んでよかった。
くらもちさんの作品によく出てくる口数が少なく
ぶっきらぼうに見えて、でも優しい男の子は健在です。
うれしいです。

よし子さんと沢田くんの物語が大好き。
ラストシーンまでの持っていきかたが素晴らしく
やっぱりくらもちふさこは天才だと思ってしまう。
ラストに導く小道具の使い方もいいな~
「そうか ボクはきみを好きだったんだね」

机の上に広がったノート、
うすいスクリーントーンで影が描かれている
そのとなりにまったく同じコマがならび、
しかし影のかたちが変わっている
主人公の女の子のアップ、
次のコマには窓際の席の主人公と
斜め前にたたずむ男の子の後ろ姿。
男の子は主人公を意識するでもなく外を見ている。
読み手は女の子の視点になって男の子を見ながら
主人公のモノローグを読み、
主人公の感情とシンクロしていく。

言葉ではなく絵だけでみせていくのが本当に上手です。
ずっと読んでいた若い頃もそんなふうに感じていて
久しぶりに読んだ今も同じように感じることができて
とても嬉しいです。



思いがけないタイミングで
自分がやわらかく包まれていたことに気づく。
まったく想定してなかったのに
というシチュエーションが全ての作品に存在している。
これも昔と変わらなくて
なんだか温かい気持ちになりました。

『天然コケッコー』は完結したら読もうと思ってました。
でもDVDが発売されたようなので映画を観てからにしましょう。
くらもちふさこの大ファンだという渡辺あやの脚本が楽しみです。

くらもちふさこの作品はデビュー作から読んでいると思う。
ちょうど別マを買い始めた頃だから。
『わずか5センチのロック 』のあたりから
意識して読むようになりました。
『いつもポケットにショパン』の連載終了で
別マを買わなくなったので
そのあとは単行本の『Kiss+πr²(Kissプラスパイアール二乗)を
読んだだけでした。この作品も大好き。

ぶっきらぼうだけどやさしい男の子を描かせたら絶品です。
なんであんなに魅力的なんだろう。
『駅から5分』の圓城くんもすてきです。

駅から5分 1 (1) (クイーンズコミックス)

駅から5分 1 (1) (クイーンズコミックス)

  • 作者: くらもち ふさこ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/11/19
  • メディア: コミック

くらもちふさこと言えば『はみだしっ子』のフーちゃん。
重要キャラでしたね。
特にアンジーにとっては、
フー姉さまはかけがえのない存在でした。
三原さんの絶大なる信頼感がうかがえました。


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コメント 2

片波みぃ。

同じく「メガネちゃんのひとりごと」(←あってますか?)からの読者ですが「はみだしっ子」の“ふーちゃん”彼女とは知りませんでした!
オフェーリアを“ふーちゃん”と呼ぶのはキャラにはあってるけど英語→日本語として不思議な感じと思っていたものです。
そーでしたかー。
蘭丸団シリーズ好きでした♪
ぶっきらぼうだけど優しい男の子…佐藤ちゃんの頃からですね☆
by 片波みぃ。 (2007-12-30 00:21) 

miyuco

片波みぃ。さま、コメントありがとうございました。
佐藤ちゃん、大好きでしたわ[ラブラブハート]
あの当時の「別マ」で群を抜くかっこよさでしたよね。

三原さんの遺作となってしまった未完の作品
「ビリーの森ジョディの樹」を編集し出版することに
尽力された方が何人もいらしゃいましたが
くらもちさんの名前もそこに挙がっていました。
(川原泉、くらもちふさこ、市川ジュン、川崎ひろ子
三原さんのアシスタントの方々)

フー姉さまが登場するとアンジーのモードが一変して
ホッとしました。あったかいキャラでしたよね。
by miyuco (2007-12-30 09:43) 

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