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『あしたの、喜多善男』最終回 [TV]

感動しました

「しっかり見つめて、向きあって乗り越える」
喜多さんだけではなく平太もみずほもリカもそれをやり遂げた。
希望に満ちた再生の物語。
まさに「奇跡の11日間」でした。
本当にいいドラマだった。見てよかった。

善男がみずほと再会し別れていく場面
声をかけるでもなく駆け寄るでもなく見つめ合う。
善男はもうすがるような目をしていない。
みずほは拒絶する目をしていない。
しばらく見つめ合ったあと、
先に背を向け歩き出すのは善男だった。

「新たな道を見つけだすために
時に人は大きな痛みを必要とする。」
喜多さんにとってそれはネガティブな自分と向きあうこと。
周りが自分を陥れようとしていることに気づいていながら
そこから目をそらし一時的な居心地の良さに
逃げてしまっていた。
見て見ぬ振りをして怒りをおさえつけていた。
ネガティブ善男とひとつになり怒りを爆発させたシーン
小日向さんの演技に圧倒されました。
悲しさがあふれだすのが伝わってきました。

それでも平太やリカをかばおうとする
喜多さんは本当にやさしい。

喜多さんの向かう先をみずほが知っているはず。
でも過去に蓋をしてしまったみずほには
どうしても思い出すことができない。
お願いだから思い出して
と私は画面に向かって祈ってしまいました。
最後の最後までみずほと関わっていたい喜多さんに
どうか一度だけでも応えてあげて欲しいと
願わずにはいられませんでした。


アンドリュー・ワイエスの作品「クリスティーナの世界」を見ながら
「クリスティーナは振り返らない。
ずっと、向こうを向いているんだ。」
「でも僕はずっと見つめていたい。
クリスティーナがこっちを振り向かなくても。」と善男が言う。
みずほが回想する善男との会話。
やっぱり善男は三波とみずほの策略に気づいていたのだと
よくわかりました。
それでもみずほを見つめていたかった。

[弱くたっていいじゃねーか]
平太が喜多さんを説得するときに
みずほの事を引き合いに出すかと思ったらそれはなかった。
自分がどんなに喜多さんに生きていて欲しいと思っているかを
平太は訥々と訴える。
そうだよね。過去はもういいんだ。

喜多さんが死に場所に向かって歩いている場面に
宵町しのぶがシナリオを読んでいる言葉がかぶさっていく。
「人間にとってもっとも困難なことは、
他者を、そして自分を許すこと
本当の愛を手に入れたいのならば許すことを知りなさい。
他者を、そして自らを」
というような内容のセリフを読みながら
ポロポロと涙をこぼす。
そして「死なないで」とつぶやく。

B級アイドルの宵町しのぶらしく
最初はぶっきらぼうにシナリオを読んでいるのに
その内容に揺さぶられトーンが変わってくる。
喜多さんを思いやりながら読んでいるのが伝わってくる
いいシーンでした。
演じる吉高由利子がとてもよかった。

[宵町しのぶの読んだ文章は、
マザーテレサの残した言葉を
ぼくなりにアレンジして作ったものです。]
と脚本の飯田譲治さんのサイトにありました。

リカはかつてのみずほと同じ気持ちなのでしょう。
平太のそばにいると自分の汚い部分を思い知らされるようで
つらくてもう一緒にはいられない。
でも被害者意識しかなかった以前のリカとは明らかに変わっている。
いつか平太とやり直せる時が来るといいのに。

保険調査員の杉本さん、いいとこ持っていきすぎです^^
「みずほへのはなむけだ」なんてかっこいいったら。
部下の金髪の兄ちゃんと名コンビでしたね。
杉本さんがいなければ多分ハッピーエンドにはならなかった。
このドラマのキーマンは生瀬さん演じる杉本だったのかもしれない。

エンディングのタイトルバックの最後の映像は
善男と平太が肩を組んで歩いている後ろ姿。
これはとても印象に残った場面でした。
平太は喜多さんを殺すつもりでナイフを持って会いに行く。
そこに平太の思惑に全く気づかない様子の
善良そうな顔つきで現れる喜多さん。
手にしているきなこ餅を見て表情が変わる平太。
きなこ餅は平太の好物でその日夢に出てきた父親が
「食えよ、好物だろ」と平太に差し出したものだった。
「なんでこれが俺の好物だって知ってるんだよ…」
父親とオーバーラップして平太は胸がつまる。
「家に戻ろう」と喜多さんと肩を組み歩き出す平太。
その手からナイフが滑り落ちる。

松田龍平がとてもよかった。
実は松田優作は苦手でした。
なんだかいつもギラギラして
張りつめているようなところがちょっと。
私が大ファンである原田芳雄を尊敬していたそうですが
原田芳雄の持つ飄々としていて
どこかユーモラスで包容力のある雰囲気が
松田優作には感じられなかった。
でも息子たちにはそれが備わっているような気がする。
あの父親譲りの容姿だけでも大きな武器なのに、
そこに父親にはなかった魅力がプラスされている。
しかもまだとても若い。これからが楽しみです。

小日向文世さんがインタビューのなかでこんな事を言っている。
「共演者の松田龍平さんに、
お父さんの故・松田優作さんの雰囲気やにおいを感じて、
まるで優作さんと芝居してるみたいでうれしかった。
優作さんとは、僕が劇団に入った頃に
道ですれ違ったことがあるくらいなんですが、
強烈な印象があるんです」

脚本の飯田譲治は3/11のブログにこんなふうに書いている。
「小日向文世という日本を代表する名優の
役者としての心意気とすばらしいスキルを、
そして松田龍平という大いなる未来を持つひとりの役者の
今の時期にしか発せないであろう輝きを記録できただけでも、
この作品の存在価値は充分ではないかと思っています。」

飯田譲治さんの脚本が素晴らしかった。
視聴率が芳しくなくて苦い思いをしていたようですが
どうかまたこんな風に心にしみ入る作品を
書いていただきたいと思います。

ギルバート・オサリバン「アローン・アゲイン」の
小曽根真によるジャズバージョンが効果的に流れていました。

もし僕がこのままずっと辛い日々を過ごすなら
考えてた事があるんだ
塔にのぼって身を投げるのさ
そうすればわかるだろう絶望がどんなものか
やじ馬が騒いでいる
“かわいそうに”
“捨てられたのさ”
やがてみんな去り
僕はまたひとり
また孤独に戻っただけさ


In a little while from now
If I'm not feeling any less sour
I promise myself
to treat myself
And visit a nearby tower
And climbing to the top
will throw myself off
In an effort to make it clear to whoever
What it's like when you're shattered
Left standing in the lurch at a church
Where people saying: "My God, that's tough"
"She stood him up"
"No point in us remaining"
"We may as well go home"
As I did on my own
Alone again, naturally

ジャズピアニスト小曽根真さんが弾く
もの悲しいメインテーマが大好きでした。

photo01.jpg

タグ:喜多善男
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コメント 2

びっけ

こんにちは。
スゥ。さまから、miyuco さんのブログに最終回で流れた『Alone Again 』の訳詩(テロップで流れた)が載ってますよ・・・と教えていただいて飛んできました!
ジャズ・バージョンの『Alone Again 』、聴いてみたかったです。探してみます。(^^;

結局、このドラマは「一瞬の風になれ!」を見たときに1回見たきりでしたが、松田龍平には惹き付けられました。
再放送があったら、ぜひ見たいです。
by びっけ (2008-03-20 20:47) 

miyuco

びっけさん、こんにちは。
ジャズバージョンの『Alone Again 』は
このドラマのためにアレンジして
ボーカルを入れたものらしくて
サントラに収められているそうです。
びっけさんの『Alone Again 』の訳詞を見ていたので
なおさら強く印象に残りました。

松田龍平は映画「アヒルと鴨のコインロッカー」でも
いい味を出していて好きでした。
この映画はびっけさんにオススメです^^
仙台の風景がたくさん出てきますよ。
伊坂幸太郎原作ですから。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-03-21 17:38) 

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