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イマドキノワカモノ [日常]

「彼女を代弁すると」 谷川俊太郎

「花屋の前を通ると吐き気がする
どの花も色とりどりにエゴイスト
青空なんて分厚い雲にかくれてほしい
星なんてみんな落ちてくればいい
みんななんで平気で生きてるんですか
ちゃらちゃら光るもので自分をかざって
ひっきりなしにメールチェックして
私 人間やめたい
石ころになって誰かにぶん投げてもらいたい
でなきゃ泥水になって海に溶けたい」

無表情に梅割りをすすっている彼女の
Tシャツの下の二つのふくらみは
コトバをもっていないからココロを裏切って
堂々といのちを主張している


     (7/4朝日新聞夕刊より転載)

長く生きている人の【生】を見つめる視線と
長く生きているのにすりきれない心
両方をもっているひとだけが書ける詩だと思います。
こういう視点を持ち続けられる人になりたいけれど
…難しいだろうな。

詩にSMAPを織り込みながら
若い人におもねることなき76歳の詩人。
かっこいいです!

目の前をチャラチャラと男子高校生が歩いていた
シャツはだらしなくはみだしズボンはずり下がっている
まあよく見かけるタイプの男の子
そばを小さい子が歩いていて
ちょうど高校生のバッグに頭がぶつかりそうだった。
すると彼は左側の友だちと同じ調子でしゃべりながらも
右肩のバッグの底をさりげなく押さえる
ぶつからないようにしたのですね。
たぶん無意識に近いと思う。
いつもそうやってるのでしょう。

イマドキノワカモノがこういうさりげない気遣いをする場面
わりとよく見かける。
あまりにさりげなくて
目を凝らさなければ見えなかったりする。

駅のそばのコンビニの店先
地面に座り込んで大声で喋っている高校生のグループ
こちらもよく見かける連中。
昔もこういう高校生はいたけれど
「ツッパリ」というコスプレをして
一般人と差別化を図っていたのでわかりやすかった。
今はフツーの恰好をしているので不便でございます。

今どきの若者を批判することも
「今どきの若者を批判する人」を批判することも
あまり愉快ではない。

「今どきの若者を批判する人」が
かつての自分が批判される側の「今どきの若者」であったことを
きれいに忘れているのが滑稽だったりするけど。

まっ、今の若者も何年かすると
自分たちより年下の人間の批判を始めるだろうから
お互い様ですかね。

♪まわるまわる~よ 時代はまわる
 よろ~こびかなしみくりかえ~し~

「今の若いヤツらは…(以下、苦言)
オレたち(私たち)の若い頃は○○だったのに」

谷川俊太郎はこういう事を言わないでしょうね。
もうひとり、言わないであろう人を知っている。
村上春樹
私はこの二人を全面的に信頼しています。

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タグ:谷川俊太郎
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松matsu

朝日は夕刊をとっていないので、見逃しました。
時にこのような素敵な記事があったり、
素粒子のような議論を醸し出す記事もある。
それが夕刊の楽しみでもあります。

谷川さんは恥ずかしながら、卒論のテーマ詩人であったので、むろん大ファン。今でも助けていただいています。

やはり言葉一つひとつに重みがあって、「コトダマ」なのだと感じる詩です。

素敵な記事です。ありがとうございます♪

私も時にかつての私を忘れて、

時にイマドキくんたちを冷ややかな目線で見る時がございます。と同時に、あの頃の自分を恥じているからだとも思っています。

でも、イマドキくん、イマドキちゃんたちから学ぶことも同じ
くらいたくさんあることを、この仕事でなければ、傲慢な私には気づき得なかったのではないかと思います。この仕事はある意味、私をダメにしないために仕組まれた素敵な運命であったようにも。

SOSを発し続ける子どもの声や叫びにもっともっと敏感になりたいと思う今日この頃です。
by 松matsu (2008-07-09 19:18) 

リュカ

谷川俊太郎さん、村上春樹さん、どちらも敬愛する人です^^変に偉ぶったり媚びたりしない、時代の力や若いエネルギーを歪めて見る事無くそのままに受け止めている方なのだと思います。

スーパーで、会計前の商品を平気で開けて孫に与えているお年寄りをたまに見かけます。
今時の若者を批判する人ほど常識が無かったり……自分はそんな人間にならないように、人の振り見て我が振り直せ、ですね。
by リュカ (2008-07-09 21:27) 

真紅

miyucoさん、こんにちは。
月一の谷川さんの詩、私も読みました。
私はもう一人、宮崎駿も全面的に信頼しています。
いや、信頼しているというより「お父さん」っていう感じかな(笑)。
それから、私はmiyucoさんのことも信頼しています、顔も名前も知らないけれど。。
いつも、素敵な記事をありがとうございます。
by 真紅 (2008-07-10 12:36) 

ayaka

谷川俊太郎さんは実は我が母校(高校)の校歌の作詞者で
私はこの校歌が今でも歌えるほど好きです。

批判でその言葉を使うのは聞くのも言うのも嫌ですね。
息子達の日頃の行いをからかう時には使いますが・・・・(^_^;)

間違いなく、うちの次男は「イマドキ」で傍から見たら
何かしでかしそうだと思われてるはず(笑)
結構イイ奴なんだけどなぁ~とオヤバカですね。

by ayaka (2008-07-10 13:42) 

miyuco

>松matsu先生
この文章は連れ合いが常日頃あまりに安易な若者批判を繰り返すことに腹をたてて書いた部分もあります^^;
それも良いけどさ、今の自分をしっかりやんなさいねと
冷ややかに妻に言われております。

中島みゆきの卒論も谷川俊太郎だったのですよね^^
「ほぼ日刊イトイ新聞」谷川俊太郎質問箱が
おもしろいです。

Q.宇宙人ってほんとうにいるんですか?
A.いますよ。あなたもそのひとりです。

…これだけの答えなのにイメージが広がっていきます。
こういうふうに答えられるようになりたいです^^

nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-07-10 19:31) 

miyuco

>リュカ さん
>谷川俊太郎さん、村上春樹さん、どちらも敬愛する人です
おお~同じ考えの方がいらっしゃってうれしいです^^
村上春樹はやたら長い長編を執筆中らしいので
楽しみですね!
nice!とコメントありがとうございました♪

by miyuco (2008-07-10 19:38) 

miyuco

真紅さん、こんにちは。
身に余る言葉を頂戴して恐縮でございます^^;
イマドキの若者批判はイマドキの母親批判に
通じる部分があるように思います。窮屈です。
宮崎駿!
これはまた強烈な名前がでてきました^^
この方の価値観は理解不能ですが好きです。
「崖の上のポニョ」公開間近ですね!
コメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-07-10 19:51) 

miyuco

>ayakaさん
卒業してずいぶん経ってからも唄える校歌なんて
素敵です!
私はとうに忘れてしまいましたわ^^;

こんな記事を書くことがオヤバカかもしれないと
ちょっと思ってます。
ヤツらを見ているといいとこもあるのになと
かばう気持ちになるのはやっぱり10代男子が
身近にいるからでしょうね。
nice!とコメントありがとうございました♪



by miyuco (2008-07-10 20:02) 

クリス

この詩を最初読んだときよりも、繰り返し読むについれ腹にグッとくるものがありますね。
村上春樹の若者へのスタンスもわかります。以前若者の質問に答える本があって、答え方に夢があって(笑いもあって)とても面白かったです。
by クリス (2008-07-26 09:26) 

miyuco

>クリスさん
ほんとうにおっしゃる通り読むたびに心が動かされます。
村上春樹の発言には自由な精神のようなものを感じて
ストンと心に落ちてくるような気がします。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-07-26 22:22) 

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