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『ぼくを探しに/The Missing Piece』 [読書・海外]

イマドキノワカモノ真っ最中の次男の部屋をのぞいたら
なつかしい本が目に飛び込んできた。
「ぼくを探しに」
「ビッグ・オーとの出会い―続ぼくを探しに」

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かなり前に自分で買ったらしい。
「いい本だよ。深いよね」
なんて言っている。
原書はないのと聞くと
買おうと思ったけれど売ってなかったとのこと。
それだったらプレゼントするよということになって
ネットできれいめの古本を探して手に入れました。

息子が気に入って自分のお小遣いで手に入れた本が
昔々まだ高校生だった私が手にした本と同じだなんて
なんだかうれしいではありませんか。

「ビッグ・オーとの出会い―続ぼくを探しに」
(The Missing Piece Meets the Big O)
実はこちらの本は読んでいなかった。
「かけら」が主人公になっています。

「かけらはひとりで座っていた」
「誰かがやってきて
どこかへ連れていってくれないか
と待ちながら」

かけらは自分がぴったりおさまるスペースがあいていて
転がっていける形のものが現れるのを待っている
さてお望みのものは現れるのでしょうか?
そしてかけらを見つけてくれるのでしょうか?

「かけらはひとりじゃころがれないんだ」
「やってみたことはあるの?」
とビッグ・オーは言う。

続編の「ビッグ・オーとの出会い」のほうが
共感できます。
十代の頃にこれを読んだらきっとドキッとしたと思う。

 「ぼくを探しに」でかけらを見つけたぼくが歌います。

ぼぐのがげらをみづげだぞ
ぼぐのがげらをみづげだぞ
ラムラムラム
ロムロムロム
みづげだぞ

そう、まるくなってしまったら
すきまがないのでうまく歌えないのです。
ここの原文はどうなっているのかなと見てみると

I’ve frown my nizzin’ geez
Uf vroun my mitzin’ brees
So krease ny meas
An bleez ny dress
Uf frown..

On I’m lookin’ for my missin’ piece
Over land and over seas
So grease my knees and fleece my bees
I’m lookin’ for my missin’ piece.

足りないかけらを探してる
ラッタッタ さあ行くぞ
足りないかけらを探しにね

「ぼくを探しに」という本を見ると
内田善美の「空の色ににている」を同時に思い出す。
「あの人、わたしのかけらよ」
というセリフが気に入らなかった。
人と人が完全に理解し合うことは不可能だと
なんとなく感じていた私には受け入れられなかった。
だからこそ私と彼は特別だと言いたいのでしょうが
それは思い上がりではないのかと思っていた。
傑作の誉れ高いこの作品を前にして
なかなか口に出せることではなかったけれど。

「ぼくを探しに」の初版が1977年
「空の色ににている」が1981年
すでに「ぼくを探しに」という本を読んでいたので
これをそのままエピソードに組み込んだところが
好きになれなったのかもしれない。

内田善美の作品はすべて絶版なので
再び読むことはできないけれど
くわしいあらすじがこちらに載っていました。
「少女漫画の蔵」

ジブリ映画「耳をすませば」の図書カードのエピソードを見て
「空の色ににている」を思い出した方も多いでしょうね。

内田善美の作品はすべて持ってました。
共感とはかけ離れた複雑な感情を持ちながらも
魅力を感じていたという作家さんでありました。


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コメント 2

sknys

miyucoさん、こんばんは。
ロアルド・ダール、タルコフスキー、スターリング・ノース
‥‥内田善美くんは「超ベタ子」さんなんですよ^^;

野々宮浅葱と鷺巣冬城は完全な円(Perfect Circle)になれるけれど、
浅葱と天川蒼生人は似たもの同士の相似形。
どちらの関係も精神的に「理解し合っている」のとは、
ちょっと違うかな(前者は単に相性が良いだけでは?)。

作者としては、残された2人のプラトニックな関係を
描きたかったのではないでしょうか。
良く似た2人が交わらずに並走して転がって行くイメージです。
by sknys (2008-07-21 23:38) 

miyuco

sknysさん、コメントありがとうございます♪
思い入れたっぷりに語られる二人の関係を
「単に相性が良いだけでは?」
と言ってしまうとは^^;

もう再読することはかなわないけれど
これを読んでいた十代の私は
浅葱さんを好きにはなれませんでした。
by miyuco (2008-07-22 22:18) 

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