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『ありがとう、さようなら』 瀬尾まいこ [読書]

『ダ・ヴィンチ』2003年9月号から2007年4月号に
連載された内容に一部書き下ろしを加えたエッセイです。
「学級通信を発行するように、
伝えたいことを大事な人に書いているような」気持ちで
連載していたとあります。

中学生って面倒くさいけどおもしろい。
読んでいて息子たちが中学生だった頃を思い出し
そうそう、そうなのよねと何度も頷きました。
合唱祭や体育祭、なんでそんなに一生懸命になるの
と思うくらい熱心に取り組む。
うまくいかない時も誰かのちょっとした心遣いで
あっという間に立ち直りクラスがひとつにまとまってしまう。
優勝したりすると号泣(男子もふくめて)

明るいエピソードだけを取り上げているのかもしれないけれど
間違いなく実際の中学生の姿です。
いい所もあるし悪い所もある。
でも悪い所のほうが話題に上りやすい。
たまには「こんなにいい所もあるんだよ」という
文章も読みたいから、瀬尾まいこさんのエッセイは楽しい。

女子は女の先生の服装にうるさい。
まだ結婚しないの?
と独身女性には厳しい質問を楽しそうに繰り返す。
30歳の誕生日には「三十路!」と囃したてる。
そんなことを息子の中学の女子もやってました。

もちろん揉め事も日常茶飯事で
いい子ちゃんばかりのはずがありません^^

すばらしいクラスになった一番の要因は
保護者の方々が良好な関係を築いてくれたからだと
いう話をしたら「それは逆です」と言われたそうです。
「子どもたちがクラスを大事にして
みんなで良くしようとしてたから、
私たち保護者も一緒になってがんばれたんです。」

ああよくわかる。
私自身は学校嫌い部活嫌いの中学生だったから
息子たちの中学校生活にも関わるつもりはなかった。
けれども、あまりに全力で部活をがんばり
行事にがんばるのを見ていたら
こんな私でも陰ながら応援したくなってきた。

特に剣道部顧問の若い女先生への
部員の絶対の信頼感には感心しました。
こういう先生もいるしこういう中学生もいるのねと
眩しいような気持ちで見てました。
私までいい夢見させてもらったような気分だった。
そして「ありがとう、さようなら」と別れを告げ
中学を卒業して新しいスタートを切ったわけです。

はるかはるか昔私が中学生だったとき
英語のリーディングの声が小さいと
先生に怒られたことがありました。
私も最初は何故みんな声を出さないのか
だんだん声が小さくなるのかわからなかった。
でも…

 

それは男の子が亡くなる間際の母親と会話する場面だった。
クラスにはお母さんを亡くしてやっと学校に出てきたばかりの
男子生徒がいたのです。
そんな場面のリーディングなんてできるわけがない。
すぐに気づかなかった自分が嫌になりました。
男子生徒は声を殺して泣いていた。
英語の教師は顔を真っ赤にしてやる気がないのかと
怒鳴り散らし授業を中断して教室を出ていってしまった。
その後、クラスメイトたちは何事もなかったかのように
普通通りのがちゃがちゃした日常に戻り
その事について(男子生徒についても)触れることは
一切なかった。
でも、その出来事は私のなかに今でも残っています。

 

ありがとう、さようなら (ダ・ヴィンチブックス)

ありがとう、さようなら (ダ・ヴィンチブックス)

  • 作者: 瀬尾まいこ
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2007/07/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


タグ:瀬尾まいこ
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miyuco

xml_xslさん、nice!ありがとうございました。
by miyuco (2008-09-14 10:59) 

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