SSブログ

映画 『グーグーだって猫である』 [日本映画]

吉祥寺に住む漫画家・麻子さんが主人公。
13年間一緒に暮らした猫のサバが突然死んでしまう。
それ以来漫画を書く気力を失った麻子。
ある日ペットショップでアメリカン・ショートヘアの子猫に出会い
ぐるぐる巻き模様のグーグーとの新しい生活が始まる。

大島弓子「グーグーだって猫である」の設定を借りながら
オリジナルストーリーが展開する。
犬童一心監督は大島弓子作品のファンであり
「金髪の草原」を映画化している。

小泉今日子は底知れないほど昏い目をしている。
それが映画の麻子さんに同調していた。
この人は演技をするとこういう顔を覗かせる。
虚無を見据えるような孤独の淵にいるような昏い目です。
明るく元気なアイドル時代、そのギャップにビックリたことがあります。
アシスタントのナオミを演じる上野樹里が可愛かった。
生き生きと輝く表情が魅力的。
衣装がよかったな。
キョンキョンがこういう服を着ているところは
あまり見たことがなかったけど
麻子さんの雰囲気にあっていてとてもお似合いでした。

吉祥寺が舞台となっています。
サトウのメンチカツはまん丸でお肉がギュッと詰まっていて
本当においしい!
麻子さんの住んでいるマンションは
実際に大島さんが住んでいたマンションではないかな。
作業場にしていたほうの部屋。
井の頭公園でのグーグーの追いかけっこ
不思議な擬音がついてました。
細野晴臣さんが作ったこの音、気に入ってしまいました。

大島弓子の作品が映画化されたのだから
ファンとしてはネガティブなことは言いたくないのだけど
観ていて「水増し」という言葉が浮かんでしまった^^;

原作に出てくる気のいい猫のグーグーには
楽しいエピソードがたくさんあるのに
あまりに出番が少なすぎです。
グーグーと麻子のやりとりをもっと観たかった。
大島さんの作品の一ページを画面いっぱいに
アップで映し出すのを観てこれって必要なのかな
芸がないやり方だと思いました。

から騒ぎと感じる場面がたびたび出てきて
こんなもんなのかとがっかりしていたら
最後にとても素晴らしいシーンが現れる。
もうたまらず涙腺決壊…

 

*
*
*

サバのことを麻子だけではなく私も知っている
サバの出てくる作品を好きだった読者は知っている。
あそこのシーンでサバと大島さんの
たくさんのエピソードが頭の中を駆け巡りました。

大後寿々花の静かな佇まいがよかったです。
(山口百恵に似ているような気がする)

木皿泉さんの脚本のように
大島作品からの引用が内包されているような
ストーリーだったらよかったのに。
直接的ではなく、はしばしから顔をのぞかせるような。
エピソードやセリフから匂い立つような。

猫のドアから外に走り出すグーグーに言う
「世界が待ってるぞ」というセリフからは「ロストハウス」を、
「ありがとう」と言うために会いに来たサバには
「葡萄夜」を連想しました。
両方ともちょっとシチュエーションが違うけど。

渡辺あやが書いた「つるばらつるばら」の脚本は
すでに完成済みですが映画を制作する時期については
まだ白紙だそうです。
役者選びから難航しそうですね^^;

え~と、加瀬亮の演技は役作りの成果?
それとも彼の演技力はあんな感じなのでしょうか。

ナオミが「四月怪談」を読んでいる場面
雑誌が角川の「Asuka」になっているのを見て
「ギャルズライフ」だったよ
とマニアックなツッコミを入れた自分に
映画としてのみ鑑賞する事の限界を感じた次第です^^;

150_DP2007101204-m.jpg

この映画に楳図かずお関係のシーンはいらない(=`´=)


タグ:大島弓子
nice!(3)  コメント(13)  トラックバック(8) 
共通テーマ:映画

nice! 3

コメント 13

こにゃ

こんにちわ^^

いつもmiyucoさんず、スペシャルレビュウ(大島弓子センセイ関係)を
読み、リアルタイムに読めなかった事を悔やんでいます(笑)
(アニメの『綿の国星』が記憶の片隅にある程度^^;)
大好きな作品のレビュウ書くのって難しい・・・。
でも、こちらで見かけるとやっぱり観たくなるし読みたくなる。
大島作品と出逢ったきっかけはどんなだったのでしょう?!
(既出だったらすみません><。)

あ~グーグーのスキン可愛いです~[__黒ハート] ←そこ?!

by こにゃ (2008-09-13 19:11) 

miyuco

こにゃさん、こんにちわ
子猫グーグー可愛いですよね[ラブラブハート]
私のはレヴュウとまでいかない雑文ですけれど
読んでいただいて嬉しいです^^

大島さん関係の文章はリアルタイムで読んでいた頃に
日記に書いていたことをアレンジしているだけなのかもしれない。
日記は処分してしまったので読み返す事はできないけど
その時に文章にしたことで時間がたっても
整理しやすくなっているのだと思います。
sknysさんとびっけさんがそういったものを
手元に残してあると聞いて取っておけばよかったと
今頃になって激しく後悔しています(v_v。)

大島さんとの出逢いはマンガを読んで初めて号泣したのが
大島さんの作品だったときかな。
私が中学高校と進むに連れて状況が変わっていった時期に
大島さんの作品も変化してそれがシンクロしたので
こうまで深く心に残っているのだと思います。

絵がかわいくて何よりも男の子がかっこよかった
これは大きな要因ですわ^^
mice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-09-14 11:35) 

魚河岸おじさん

梅図かずおのシーンは本当にいりません
by 魚河岸おじさん (2008-09-14 21:07) 

真紅

miyucoさん、こんにちは。コメントとTBをありがとうございました。
実は、私も加瀬くんの演技には(悪い意味で)驚いたんです。
立ち姿や雰囲気はよかったのですが(白シャツがお似合いで)、セリフが・・。
棒読みでしたよね? ビックリしました。
演技力はある俳優さんだと思っていたのですが、監督の演出だったのでしょうか?

川上さんのブログ、読んでみました。
私も、ずーっと「私なんか生まれてこないほうがよかったんだ」と思っていたので、彼女の涙はよくわかりました。
しかし、川上さんって美人ですよね。ウラヤマシイ
ではでは、また来ますね。
by 真紅 (2008-09-15 00:21) 

miyuco

>魚河岸さん
いらないですよね~(=`´=)
by miyuco (2008-09-15 22:17) 

miyuco

真紅さん、こんにちは。
加瀬亮の演技をあまり見たことがないので
どう判断していいのか困りました^^;
演出なのかな~???

川上未映子の文章はちょっと町田康みたいですよね。
「乳と卵」読んでみようかなと思ってます。
ご存じだとは思いますが岡崎京子の作品には
大島弓子作品からの引用が散りばめられているらしいです。
私は残念ながら岡崎京子を読んでいないので
確認していないのですが…
コメントありがとうございます♪

by miyuco (2008-09-15 22:29) 

こにゃ

>絵がかわいくて何よりも男の子がかっこよかった
>これは大きな要因ですわ^^
ふふっ多々あります[__揺れるハート]

雑文なんてとんでもないです。
いつもいつも潔い文章で読んでいてスッとする。
背筋が伸びるような感じ、でもって愛がある。
(すみません、イメージで・・・^^;)
大島作品に出逢った頃に書き留めた日記を
こんな風に再現(再構築)できるって凄いです~^^


by こにゃ (2008-09-16 19:32) 

miyuco

こにゃさん、身に余るお褒めの言葉、恐縮です^^
明日はクライザーさんに会いに
「デトロイト・メタル・シティ」観に行きます(゚∀゚)!
松ケンがどうなっちゃってるのか楽しみですわ☆
by miyuco (2008-09-16 22:14) 

びっけ

こんにちは。
観てまいりました、『グーグーだって猫である』!
>「ギャルズライフ」だったよ
流石でございます!
私は違和感を感じたけれど、そこまでは出てこなかった。(^^;

水増し感は、私も感じました。
上野樹里は好きだけれど、彼女のエピソードは、あれほど要らないかなぁ・・・と。

でも、私も、ラスト近くのサバとのシーンには心打たれました。
このシーンがあるだけで許そう!と思います。

最後にタイトルロールを見ていて、槇村さとるの名前があってびっくり!
あのパーティ会場で「麻子ちゃん、おめでとう」とか声をかけていた人かしら?
by びっけ (2008-09-17 23:55) 

miyuco

びっけさん、ご覧になりましたか!
サバとのシーンは泣けました(v_v。)
サバは岸田今日子さんに演じて欲しかったようです。
残念ながらお亡くなりになってしまったので
叶わなかったのですがもし岸田さんだったらと
想像するとそれはそれでしっくりいくような気がします。
もちろん大後寿々花ちゃんのサバもすごくよかったです!

私もタイトルロールでえっ?と思いました。
あの場面しか思いつかないですよね。
角川歴彦氏が春樹氏とそっくりなのにびっくりしましたわ^^;
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-09-18 13:56) 

sknys

miyucoさん、こんばんは。
実写版映画は未見ですが、「実写版マンガ」を発見しました^^;
『オオシマさんちのもうひとつの猫日記』(飛鳥新社 2007)
‥‥大島さんが撮ったネコ写真にセリフ(フキダシ)が付いている。

「写真マンガ」に登場するのはグーグー、ビー、クロ、タマ、たん吉。
グーグーの目はエメラルド色、タマはマンガより気品があって賢そう^^
「猫日記」や「あとがきマンガ」も入った小さな本です。

「読書ノート」を読み返しても、全く記憶が蘇えらないのが悲ピー!
by sknys (2008-09-18 21:27) 

miyuco

sknysさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
本が出版されたことは知っていたのですが
本屋さんで立ち読みしようにも見つからなかったのです。
お高くてとても買えないし(v_v。)

「読書ノート」が残ってるなんて本当にうらやましい。
中学に入った頃からずっと日記をつけていて
こまめにいろいろ書いていたのですが家を出るときに
処分してしまったのです。惜しいことをしました。
(赤面するようなことも多々書いてありましたが^^;)
長男がmixiの日記を毎日更新していると聞いて
こんな所に引き継がれたのかと密かに笑ってしまいました。

by miyuco (2008-09-19 21:43) 

miyuco

s_sontvさん、nice!ありがとうございました
by miyuco (2008-09-28 17:47) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 8