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『所轄刑事・麻生龍太郎』 柴田よしき [読書]

山内練を語る上で欠かせない存在の麻生龍太郎
あくまで山内ファンのワタクシですが
麻生にも徐々に魅力を感じるようになってしまったわけで^^;
「ア・ソング・フォー・ユー」では長谷川環に
「ただのくたびれたおっさん」
などと身も蓋もない言われようをしておりますが
そんな麻生にももちろん若かりし日がありました。
この本には刑事としてスタートしたばかりの麻生が
下町の所轄署で手がけた五つの事件が収められています。

ミステリーとしては、う~ん、どうかな…
周りの刑事があまりにお手軽に事件を処理しようとするから
麻生の能力が際だって見えるだけのケースもあるような。
魅力的な脇役がひとりでも登場してくれたら
もっとおもしろく読めたのにな。残念。

麻生に興味津々の私のような人間には
ミステリー云々以前の意味でおもしろかったけど。

麻生は白バイ隊員になりたかったらしい^^
制服組から私服組へと異動になり嬉しかったが
白バイ隊員にはもうなれないと残念な気持ちもあった。
まだ25歳になったばかり。
剣道ひと筋に明け暮れていた大学時代。
剣道が続けられるという理由で警察官になったが
もう一つの理由は先に警察官になっていた及川だ。
折に触れ及川との関係が語られていく。

「この仕事に就いていることは、自分にとって、
数少ない誇りでもある。」と思いながらも
「自分にはこの仕事が向いていないのではないか」
という迷いがある。
麻生はこの感情をずっと持てあましていたのですね。

しかし周囲の人間たちが麻生を見る目は全く違う。
「無意識に真相に近づいて行く才能がある」

「納得がいくように動こうとすると、他の刑事とは
少し違った方向に歩き出してしまう癖がある。」
チームの和を乱すとして目をつけられかねないが
高橋署だからこそそれを免れた
刑事生活をスタートさせたのがここでよかった
と麻生は考えている。

高橋署にいたのは三年と少し、麻生の刑事としての才能は
いかんなく発せられ、そして桜田門に異動になる。
エピローグでの及川との会話が印象に残ります。
「…身だけは守れ。破滅しそうになったら、逃げてくれ」
及川がいかに麻生のことを理解しているか
この言葉からよくわかります。

ここから年月を経て警部になっている麻生が描かれている作品の
様々なエピソードから麻生に破滅志向があるのは明らかです。

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所轄刑事・麻生龍太郎

所轄刑事・麻生龍太郎

  • 作者: 柴田 よしき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/01/30
  • メディア: 単行本


 


タグ:柴田よしき
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