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「笑の大学」 [日本映画]

舞台は戦時下の昭和15年。
劇団「笑の大学」の座付き役者・椿一は
台本の検閲を受けるために警視庁の取調室へ向かう。
待ち受ける検閲係の向坂(さきさか)は
これまで一度も心の底から笑ったことがない人物だった。
非常時に喜劇を上演する必要などないと考える向坂は
椿に無理難題を突きつけて台本の書き直しを要求する。

椿は上演許可を得るために知恵をしぼる。
するとあら不思議、台本の完成度が上がっていく。
「ここは喜劇作家の養成所じゃないっ!」
と激高する向坂ですが…

おもしろかった!
三谷幸喜の脚本が素晴らしい。
「このホンを書いた人間の知恵に心から感心した」
と向坂が椿に言いますがそれをそのまま
三谷幸喜に言いたい気持ちです。

書き直しを命じられその場で作業する椿は
自分が書いている場面を頭に思い浮かべ
くすくす笑いながら没頭し本当に楽しそう。
案の定もっとおもしろいセリフになっていて
検閲官を激怒させてしまいます。
そりゃあ怒るでしょうね^^;
でもわかっていてもやってしまう喜劇作家の悲しい性
「どうしても笑いの方向にいってしまうんです」

「人を笑わせるということはそれほど大事なことなのだろうか」
とつぶやく向坂に
「大事だと思います」と椿は即答する。
この映画を見ているとそれがよくわかります。

向坂を演じる役所広司
いかにも融通がきかなそうな厳めしい雰囲気。
恫喝するときは迫力があります。
「お肉」でうっかり笑っちゃったけどその笑いがぎこちなくて
もしかすると自分では笑ったという自覚がないんじゃないかな。
検閲しているはずなのに「人間が描けてない」と
勢いでダメだしするところがおかしかった。

人を笑わす素養がないと周りから言われている男。
そんなもの必要ないと言いながらも
どこかコンプレックスがあるようにも窺えます。
そんな向坂なのに椿と共同作業(?)で
完璧な喜劇の脚本を作ってしまう^^
「83回だっ!
今まで心の底から笑ったことのなかった私が
83回も笑ったんだぞっ!」
おもしろいです。

椿一を演じる稲垣吾郎
権力に立ち向かうなんて露ほども思ってないのに
検閲官を挑発しているかのような行動を取ってしまう
フツーの喜劇作家を飄々と演じていて好感を持ちました。
芝居を心から愛してやまない一途さも出ていてよかったです。
でも…
三谷幸喜の脚本で役所広司が向坂を演じたら
相手役が他の方でも成り立つような気もします。

役所広司という方はすごい役者さんですね。
(いまさらでスイマセン。みんな知ってますよね)
愉快な共同作業の場が「赤紙」で一変する後の流れは
独壇場でした。
「おにくのために」
「お国のため」なんかじゃなく。

おもしろかったです!

朝日新聞に連載されている三谷幸喜の「ありふれた生活」で
「笑の大学」が韓国で上演されたことを知りました。
そういえば映画を観ていないなと気づき
遅ればせながら鑑賞した次第でございます。

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タグ:三谷幸喜
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コメント 2

まりりん

こんばんは♪
『笑の大学』おもしろかったですねぇ
ラストの「おにくのため」には思わず泣き笑いしました。。。役所さんはすごい(^^)
by まりりん (2008-11-27 22:24) 

miyuco

まりりんさん、こんばんは。
「(おにくのためにというセリフが)お好きなんですね」と椿が言うと
「大好きなんだっ!」という役所さんの顔がすてきでした。
私も泣いて笑いました^^
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2008-11-28 20:46) 

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