SSブログ

『ブラザー・サン シスター・ムーン』 恩田陸 [読書]

読み終わった後に胸に残ったものを
どのような言葉に置きかえたらいいのか。

けして消えることなく心の奥にあり
折に触れてふっと浮上するワンシーン
やわらかく輝き、ほのかなぬくもりにつつまれた記憶
作中の三人だけではなく私のなかにも
私だけのワンシーンがある。
それを思い出すことができました。

高校一年生の時、授業で同じチームになった三人
それぞれが自分たちの学生時代を語る。
第一部 「あいつと私」…楡崎綾音
第二部 「青い花」 …戸崎衛(まもる)
第三部 「陽の当たる場所」…箱崎一

第一部、楡崎綾音パートが…おもしろくない^^;
「あたしの、何事も起きない学生時代の思い出を
だらだら断片的に紹介されることに飽きられても
仕方がない。」 P33
こんな文章がはさまれているのだから
作者はわかっていて書いているのかもしれないけれど。
小説家になりたいと自覚するまでに費やされた
大学生の四年間の話。
そして今、綾音は小説家になっている

第二部、戸崎衛の音楽と共にあった大学時代。
しかし卒業すると普通に就職しベースとは疎遠になる。

第三部、箱崎一が映画を撮ったのは
大学卒業後、何年か会社勤めをした後だった。

三人がふとした瞬間に思い出すのは
高校一年の授業でチームを組み
町中へ聞き取り調査にでかけたときのこと
歩いても歩いてもなぜか誰にも会わなかった
無人の町の不思議な一日。

その後の夏休みに三人で映画を観にいった。
無防備なまま明るい光に向かって歩き出し
真っ白い光に溶けて見えなくなる。
綾音は映画のワンシーンに自分を重ねる。

戸崎衛はあの静かでまったりした午後
三人の目の前にあった三叉路について考える。

突然三匹の蛇が絡まりながら空から降ってきて
目の前の川に落ちやがてバラバラになって泳いでいった
あのときの風景を箱崎一も思い出す。

『陽のあたる場所』のセリフ
「私たちは別れるために出会ったのね」

箱崎一が三人がいたあの場面を思い出し
それから映画のセリフを口にするまでの感情の流れが
なんだかとても胸に沁みました。

読み終わったとき、「要約できないもの」を
確かに恩田陸から受け取りました。

「青い花」はBLANKEY JET CITYの曲なんですね。



ブラザー・サン シスター・ムーン

ブラザー・サン シスター・ムーン

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2009/01/23
  • メディア: 単行本


 


タグ:恩田陸
nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 1

miyuco

薔薇少女さん、nice!ありがとうございました^^
by miyuco (2009-02-22 09:30) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0