『わが家の歴史』

波瀾万丈な家族の物語なのに
ドラマチックというよりも淡々とした運びでした。
しかしなぜか飽きさせない。
結果として３日間ともリアルタイムで見てしまったという
不思議なドラマ。

三谷幸喜書き下ろしのスペシャルドラマ
三夜連続放送、トータル８時間、テーマは「家族」
昭和２年から昭和３９年まで、激動の時代を
底抜けの明るさとバイタリティーで生き抜いた
ある家族の物語。

７人家族の八女（やめ）家
甲斐性なしの父・時次郎（西田敏行）のかわりに
一家の生活を支えているのは長女・政子（柴咲コウ）
政子が勤め先のクラブの経営者・鬼塚大造（佐藤浩市）と
出会うことで一家の運命は大きく変わる。

ダメなお父さんは最後まで失敗続き。
ドラマ的な温情で成功させないところがよかったです。
次男・宗男（佐藤隆太）も妻・マリア（鈴木砂羽）がいるのに
なかなか落ち着かない。
（最終的には夫婦でうどん屋さんをやっていた）
マリアは明るくて働き者で宗男にはもったいないわね。

次女・波子と小説家・阿野（山本耕史）のシーン
堀北真希から母性を感じたのが意外だった。
こういう雰囲気を出せる女優さんなんですね。
山本耕史は残念な人を楽しそうに演じてた＾＾

おきれいなお嬢さま、ゆかりを演じた長澤まさみ。
落ちぶれてすさんだ表情もきれい。
天海祐希はあいかわらず男前だった。
啖呵を切るシーンでは思わず
「BOSS・・・」とつぶやいたのでした。

玉山鉄二が演じる政子の元婚約者・大浦が
物語の陰の部分を一手に引き受けてしまったようです。
歴史に翻弄されて気の毒でした。

「わが家の歴史」は、我ら庶民の目から見た
昭和戦後史でもあると三谷幸喜はコラムに書いています。
八女家の人々が遭遇する数多くの著名人に扮して
錚々たる役者さんたちがワンシーンだけ登場する。
仲代達也に扮した山田孝之のあまりに少なすぎるカットに
これだけ？と思わず笑ってしまった。
誰がどの役で出てくるのか、わくわくしながら見てました。

リボンの騎士のサファイアの衣装を着た手塚治虫
演じる藤原竜也のほっそりとした二の腕がきれいだった。

ウエンツが演じた丸山明宏と遠藤周作（八嶋智人）の
粋な言葉の応酬は三輪明宏からきいた実際のやりとりだそうです。

つるちゃんが次は何をしているのか
歴史に残る場面のどこに登場するのか
それが一番の楽しみでした＾＾
すごいわ、つるちゃん。
飄々と演じる大泉洋が役にはまってた。
最後、思いがかなってよかったね＾＾

柴咲コウが演技しているところを長時間見たのは
これが初めて。
実生活では料理が大好きで家庭的な人のようですが
画面で見ると生活感がないですね。
泣き出すときの演技がほとんど同じのような気が…

松本潤くんもドラマを見たことがなかった。
柴咲コウ同様に華やかで惹きつけるオーラがある。
でも、もうちょっと肩の力を抜いた演技ができるといいのに。
生来持っている生真面目な気質がそのまま表に出ています。
長澤まさみ（ゆかり）とのきれいなラブシーンのあとの
門に挟まっている姿には笑いました。
（美術スタッフが本格的な門をつくりすぎてしまったためだそうです）
三谷幸喜のドラマには感傷的な余韻が似合わないから
これくらいがちょうど良かったのかな。

第三話で佐藤浩市が出てこなくなったとたんに
ドラマの軸の求心力が落ちたような気がしました。
西田敏行は…好き放題やってて楽しそうだった＾＾

三谷幸喜・糸井重里・重岡由美子（プロデューサー）の
対談が「ほぼ日」に掲載されていました。おもしろかった！
http://www.1101.com/wagaya/2010-04-01.html

鬼塚が浮気を謝ったあとの政子のセリフ「抱いてください」は
経験豊かなプロデューサー大多亮の発案なのだそうです。
彼は「月９」黄金時代のラブストーリーの立て役者だものね。
私はこのセリフに違和感があったのですが、
そうだったのか、三谷幸喜の考えたセリフではなかったのか。

佐藤浩市と中井貴一の対決場面。
重厚な空気をかもしだす二人の圧倒的な演技が
役者の実力をまざまざと見せつけてくれました。
（発砲しようと提案したのは中井貴一だったそうです）

お金持ちでやり手の人と出会ってラッキー！
と、あまりに屈託なく過ごしている人物が多いのが
ちょっと「？」でした。
最後も鬼塚の人脈があったから
ハッピーエンドだったわけで。

ひっかかるところはあったけど
それを強調するつもりはありません。
長時間テレビの前にいることが苦手な私が
めずらしく３日間通して見たのは
おもしろかったからです。
楽しませていただきました！

２０１０年４月９日朝日新聞夕刊
「三谷幸喜のありふれた生活」のイラスト

タグ：三谷幸喜

コメント 2

こんばんは　お久しぶりです[__わーい]
ドラマ見ました[__ＴＶ]　なぜか録画まではしないと決めていたので
リアルタイムで見ました((爆))
面白くって　せつなくもあって・・・
大泉さんの職種の多さには　大笑いでした[__わーい]
西田さんは　出てくるだけで可笑しかったです♪
１日目と３日目はシッカリ見て　２日目はちょいとテンション下がりました＾＾；
裏で　ALWAYSを放送したのは対抗意識でしょうか[__あせあせ]
by 関口ちゃん (2010-04-15 21:10) 

関口ちゃん、こんばんわ＾＾
つるちゃん、サイコーでしたね！
西田さんはやっぱりすごかったです。
そうですね、あの裏番組は
絶対に意図的だと思います＾＾；
でも、視聴率はこちらの圧勝だったようですね。
三谷さんもホッとしたのではないでしょうか。

三谷さんが超大物司会者に扮して
「わが家の歴史」の出演者を招いた「スター千一夜」を
見逃したのがくやしいです（；＿；）
nice!とコメントありがとうございます♪
by miyuco (2010-04-17 22:05)