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『シー・ラブズ・ユー』 小路幸也 [読書]

大好きな東京バンドワゴンシリーズ
欅の一枚板の座卓をかこみ家族がそろって朝ご飯
食卓でとびかうてんでばらばらな会話
古本屋にやってくるお馴染みのお客さん
近所の顔なじみの人たち
いつものように、にぎやかで楽しい物語です。

東京、下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」。
営む堀田家は今は珍しき8人の大家族。
伝説のロッカー我南人60歳を筆頭に
ひと癖もふた癖もある堀田家の面々は、
ご近所さんとともに、またまた、なぞの事件に巻き込まれる。
赤ちゃん置き去り騒動、自分で売った本を1冊ずつ買い戻すおじさん、
幽霊を見る小学生などなど…。
さて、今回も「万事解決」となるか?

〈冬・百科事典は赤ちゃんとともに〉
赤ちゃんが置き去りにされていた。親はどこに?どうして?
若い夫婦の危機を救うのはやっぱり我南人でした。
百科事典と赤ちゃんはつながってたのですね。

〈春・恋の沙汰も神頼み〉
六本木ヒルズに会社を構えるIT企業の社長・藤島
(28歳・イケメン)
古書好きで東京バンドワゴンに惚れ込んでいる彼の
過去が明らかになります。
「藤島の野郎な、藍子に惚れてんじゃねぇかと思ってたんだけどよ」
と言っていた勘一のカンはあたってましたね。

藍子さんと亜美さんとすずみちゃんのつくる
それぞれ違う味つけのカレー
わが家の味はこれなんて決めたりしないで
種類の違うカレーを楽しむところに
枠にとらわれない堀田家の居心地のよさが表れてますね。

 

 

〈夏・幽霊の正体見たり夏休み〉
天国へ行かず家族を見守っている語り手のサチさん。
サチさんさえ知らなかった遠い昔の話。あまりに久しぶりの再会
「ま、ご無沙汰にも、程ってもんがあるわな」
と勘一が言うのもうなずけます。
幽霊と話している(と誤解されている)転校生は
きっとうまくやっていけるでしょう。
お宝のパルプマガジンのバックアップもあるしね。

〈秋・SHE LOVES YOU〉
我南人の妻・秋実さんの七回忌。
堀田家の太陽だったという秋実さん。
いままで語られることがなかったけれど
どのような人だったかがちょっとだけ垣間見えます。
施設で育ち親族はいない身の上で
我南人と出会った頃はやんちゃをしてふらふらしていたという。
いつか若き日の秋実さんが登場する物語を
書いてくれるとうれしいです。

秋実さん亡き後、ばらばらになった家族を立て直したのは
亜美さんだったのですね。
カフェをつくりましょうと言い出し、フル回転で働きだし
それにつられるように家族もいい方向に動きだした。
カフェには新しいことを始めて
再生へのきっかけをつくれたらという
亜美さんの願いが込められていたわけです。

藍子さんとマードックさんは結婚式を挙げました。
かわいい赤ちゃんが同時に二人も生まれた堀田家は
ますますにぎやかになりますね。
続きが楽しみです^^

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン

  • 作者: 小路 幸也
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本


タグ:小路幸也
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