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『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』 万城目学 [読書]

かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。
マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。
その毎日は、思いがけない出来事の連続で、
不思議や驚きに充ち満ちている。

マドレーヌ夫人と玄三郎の滋味に富んだ夫婦愛が
しみじみとよかったです。
かのこちゃんの活き活きとした毎日が楽しくて
読んでいる間中、私の頬はゆるみっぱなしだったと思う。
ふふふっ、子どもってこういう事するよねと
思い出して愉快でした。
かのこちゃん、かわいすぎだってば!

半年前、ふらりと家にやってきたアカトラの猫に、
「マドレーヌ」と名前をつけた女の子は、
六年前、お父さんとお母さんから、
「かのこ」というとても素敵な名前を与えられた。(19p)

マドレーヌ夫人の話す「外国語」は夫にしか通じない。
夫とはもうすぐ14歳になる柴犬の玄三郎。
「ゴリラじゃないやつが来た!」
ゲリラ豪雨が襲ってきたあの日、猫と柴犬は出会った。
猫は柴犬の言葉が理解できたし、柴犬も猫の言葉がわかった。
「fall in love」ですね^^

かのこちゃんの「fall in love」(妥当な表現?)は
いつもより早く学校に行った日、
教室にひとりでいた女の子をひと目見たときから
「こやつはできる」と確信したのだ。
それが「ふんけーの友」との出会いだった。

出会いと別れの物語。
別れは悲しいけれど悲しいだけではない
あたたかくて素敵な物語です。

makime.JPG

筑摩書房 万城目学インタビューより

http://www.chikumashobo.co.jp/special/kanokochan/

「それにしても、あの子はいい子ね。
指ばかり吸っているときは、
ずいぶんぼんやりした子だと思っていたけれど」(207p)

来週から小学校に通うのに
指しゃぶりをやめようとしないかのこちゃん
お父さんとお母さんは困ってました。
「親指を離したら、どんないいことがあるの?」
「知恵が啓(ひら)かれる、ということだよ」

マドレーヌ夫人の力を借りてかのこちゃんは
親指を吸うことをやめました。
親指という栓が抜けたその日から
内なる好奇心が一気に外の世界に噴き出した。

我が息子もかつて指しゃぶりを止められませんでした。
上の前歯が抜けたときに「痛いから」止めたのですが
なぜかそのまま爪噛みに移行(涙)
後遺症でひどい出っ歯になってしまったため
19歳の現在、歯列矯正中でございます。
おかげさまで知恵が啓かないまま成人になろうとしています。
ああ、かのこちゃんみたいにがぶっとやられて
きっぱりやめられたらあんなヤツでも知恵が啓いたかもしれないのに…
(ハハの愚痴でした^^;)

「おとなのお茶会」「おとなのお別れ」
「ござる」を語尾につけて時代劇口調になることが
「おとなの○○」なのね^^
かわいくて、でもお別れの場面ではジーンとなりました。

神社のお祭りにいくかのこちゃん。
「お母さんに浴衣の着付けをしてもらった。
ついでにあたまのてっぺんに、
かわいらしいおだんごも作ってもらった。」
万城目学のこういうちょっとした描き方が好きです。
女の子の目線をさらりと織り込むような。
『プリンセス・トヨトミ』のセーラー服を着た少年や
『ホルモー六景』の凡ちゃんの話でも
どこか少女趣味っぽい部分があって和みます。

『プリンセス・トヨトミ』映画化されますね。
堤真一、なんてピッタリの配役なんでしょう!
綾瀬はるかは『鹿男~』に続いての万城目作品登板です。
原作とは変わって岡田将生くんの役柄と男女逆の設定。
どうなるかな^^

鹿と話せるお父さんは、あの方ですか?
「かのこという名前がいい」って
鹿に言われたそうですが…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/01/27
  • メディア: 新書


タグ:万城目学
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miyuco

ずずみんさん、nice!ありがとうございます^^

by miyuco (2010-05-12 18:31) 

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