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オリエント急行殺人事件 [読書・海外]

あまりにも有名なアガサ・クリスティの作品
先日、BSで映画を放送していました。
絢爛豪華な俳優陣。
ローレン・バコールが素晴らしかった!
ショーン・コネリーは007でした。まだ渋くない。
ジャクリーヌ・ビセット、きれい。
(今はジャクリー“ン”という表記で統一されてるの?
グーグル先生に指摘されちゃった)
1974年制作ですがその何年か後に
名画座で観た記憶があります。

原作を読んだとき、まだ中学生だったので
オリエント急行の雰囲気がいまひとつ掴めなかった。
想像力の及ばない部分を映画で補完できました。
車室はあんなにコンパクトなのね。
帽子箱の針金の山を重ねて黒焦げになった紙をはさみ、
アルコール・ランプの炎にかざすと文字が浮き上がる。
ああ、こういうことだったんだと納得。

でも、映画を観ていて疑問が…
登場人物たちがこんなにもペラペラと
例の“繋がり”をしゃべってたかな???

と思ったら原作を読みたくなった。
図書館に行く用事があったので借りてきました。
ううっ、おもしろい!
あの頃、クリスティに夢中になったのも当然です。

以下、未読の方はご注意を

*
*
*

アクシデントはふたつ
・雪に閉じこめられたこと
・ポアロが同じ車両に乗り合わせたこと
(特に脅迫状を復元したこと)

「灰色の脳細胞」はフル回転でした。
乗り合わせた乗客を尋問する。
ある時は挑発的に、ある時は心をほぐすように紳士的に
バリエーションに富んだやりとりがおもしろい。

「まず証人を見る、相手の性格を判断する、
それにしたがって、質問の型を変えるのです。」

例の事件の関係者だと最初から認めているのは
被害者の秘書とロシアの公爵夫人
アリバイがある人物と力のない老婦人は
嫌疑から除外されるはずだから。

「これも宿命と申すものでございましょう」
公爵夫人の何気ない一言。
ふと洩らす偽らず心境が巧みに配置される。
ミステリーにこれがあると嬉しいです。
(獄門島のキーワードは素晴らしかった)

ポワロは雪で汽車がとまっていなかったら
この事件がどういう成り行きになっていたか考える。
もともとのあらすじを変更せざるを得なくなった。
そのために不自然になってしまった点を探りだし推理する。

しかしもっとも不自然なのは
シーズンオフでガラガラのはずの車輌が
満員だということ。

ポアロと容疑者たちとのやりとりに
矛盾が仕掛けられているのはどこなのか
私はそこに気を取られていたけれど
実は季節はずれの乗客の多さが
最も破綻しているところだと
ポアロの指摘で今さらのようにギクッとした次第です。

あらゆる階層、あらゆる国籍の人たちが集まっている。
ほかの場合でも、こんな人たちが集まることがあるのか
「アメリカでなら」
推理の輪郭がここにできた。
「プロデューサーが劇の配役をきめるように」
悲劇の一家に関わる者たちの役を割り当てる。

ポアロが提案したふたつの解答
見事な幕引きです。

最も重要な役割を果たしたのはミセズ・ハバート
騒々しいアメリカ人の女性
名女優リンダ・アーデンに戻る場面が一番好きです。

映画では最後にグラスを持つ母と娘のところに
ひとりひとりが訪れ乾杯していくシーンがありました。

 

murder_on_the_orient_express_ver4.jpg
 


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