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『ささらさや』 加納朋子 [読書]

妻と生後二ヶ月の赤ん坊を残し
不慮の事故でこの世を去った夫。
あまりにも気弱でお人好しで頼りない妻が心配で
成仏なんてできるわけがない。
だから、現世から来世に行くための中継地点にとどまる。
サヤとユウスケを見守り助けるために。
何かトラブルがあったときは誰かをよりしろにして姿を現す。
「猶予期間」がいつまで続くかわからないけれど。

サヤ、しっかりして!と思いながら読んでいきましたが
がんばるサヤの姿にあなたはそのままでいいよと
思えるようになりました。
サヤが移り住んだ町で新しい出会いがあったから。
三人のたくましい人生の先輩たち
裏表なくつきあえる友人
サヤのがんばりをそっとサポートしてくれる気のいい人たち。
きっとそのままでだいじょうぶ。

サヤが越してきたのは「佐佐良」という街
赤ん坊を養子にしたいという義姉の圧力から
逃げるようにやってきた場所。

授乳場所に困っているのを察知し
助けてくれたのは風変わりで奇妙な老婦人、
背が高く痩せぎすの久代さん。
次に心細いサヤを手助けしてくれたのは
旅館・笹乃屋の老婦人、ふくよかなお夏さん。
そして隣に住む小柄な珠ちゃん
太いのと細いのと小さい三人は
女学校時代の同級生。
サヤの家に集まりユウ坊のとりあいをしながら
母子を見守ります。

サヤと同様に読者である私もこの三人が大好き。
サヤのひとりの時間を邪魔しないように
ちゃんと自制し、必要とあればかけつける。
年長者の知恵をふりまきながら
大人げない駆け引きをにぎやかに繰り返す。

派手な美人のエリカと息子のダイヤ
「育児サークル」ママの勧誘を追い払ってくれてよかった。
あれはサヤには危険です。はらはらしましたわ。

亡き夫からサヤへのプレゼント。
最後の章のメッセージ、泣けました…
ふたりと別れてこの世を去るのはさぞかしつらいでしょう。

ささらさや (幻冬舎文庫)

ささらさや (幻冬舎文庫)

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/04
  • メディア: 文庫

 


タグ:加納朋子
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