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『ザ・ポエット』 マイクル・コナリー [読書・海外]

『天使と罪の街』を読もうとしたら
先に二冊読んでからのほうがいいという情報あり。
『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』
ということでまず一冊読んでみました。

おもしろかった。
兄の死が自殺であることに疑問を感じる。
双子の片割れが感じる違和感は訴える力があります。
「われわれ兄弟がともに過ごしてきた時間が
その結果に到達させたのだ。」

謎の言葉が残された現場。
それが何かわかったときに物語は一気に動きはじめる。
スリリングでダイナミックな展開、わくわくします。

パートナーを組んでいた刑事の
相手に対する信頼の厚さにはグッときました。
彼らは相棒の自殺が偽装されたものだと見抜いていた。
幼なじみであり警察ではパートナーでもあった
“元気者”ジョンと“ラリー・レッグズ”
生涯の友であったふたりの絆が印象に残ります。

しかし、読み終わったときは不完全燃焼気味。
犯人の内面がよくわからないので唐突に感じた。
終盤のひねり方も少々強引なのでは…

デンヴァー市警察殺人課の刑事ショーン・マカヴォイが変死した。
自殺とされた兄の死に疑問を抱いた双子の弟で
新聞記者であるジャックは、最近全米各所で同様に
殺人課の刑事が変死していることをつきとめる。
FBIは謎の連続殺人犯を「詩人」(ザ・ポエット)と名付けた。
犯人は、現場にかならず文豪エドガー・アラン・ポオの
詩の一節を書き残していたからだ。
FBIに同行を許されたジャックは、
捜査官たちとともに正体不明の犯人を追う…。

「かつて兄が限界説のことを話してくれたことがある。
ショーンがいうには、殺人事件担当のあらゆる警官には
限界があるそうだ。だが、その限界は、
実際そこに達するまでわからない。」
「ショーンは、死体のことを話していた。
彼は、ひとりの警官が目にすることができる死体には
限りがある、と信じていた。
個々の人間ごとに、その数は異なっている。
早くに達する場合もある。
殺人課に二十年勤めていても、
けっして限界に達しない人間もいる。
だが、決まった数があるのだ。
そしてその数に達すると、それでおしまいだった。」

「もし、そうなったら、もし限界を超えてしまったら、
そう、トラブルに陥ってしまうのだ。
銃弾を飲みこむ結果になるかもしれない。
そうショーンはいった。」

4ページ目に出てくるこの文章は暗示的でした。

以下、未読の方はご注意を

*
*
*

「青ざめた扉をくぐり」という言葉がポーの詩の一節だと
気づいたニューヨーク・タイムズの記者が
一番のGood Jobだと思う。

犯罪者の聞き取り調査を続けるうちに
「ザ・ポエット」は精神を蝕まれ
自らのダークな部分が引きずり出され
ああいう犯行に至ったのでしょうか。

「怪物と戦う者はだれでも
その過程でみずからもまた怪物にならないよう
気をつけなければならない」
作中に引用されているニーチェの言葉

それにしてもホテルの自分の部屋から
電話をかけるなんて。通話記録に残るというのに。
しかもそれがたまたま別の人の部屋から
かけたことになってるとは、
う~ん、ちょっと粗くないですか。

レイチェルさんを突然遠ざけたりすることに
意味があったのかな。

などとちょっとだけ不満を言ってみる。

『天使と罪の街』にレイチェルとザ・ポエットが
登場するようなのでそこで少しはすっきりするかしら。

デジタルカメラを犯人から奪ったことで
行動を予測し罠をしかける。
ハラハラしながら読みました。
何度もやってくる山場、おもしろかった!

ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: マイクル コナリー
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 文庫

ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)

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  • 作者: マイクル コナリー
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 文庫


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