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『小暮荘物語』 三浦しをん [読書]

やっぱり三浦しをんの本はいいな~
大好きです。

最近ちょっと本を読むのが億劫…
いくつか流し読みしては途中で放り投げるように
読むのをやめてしまったことが何度かあって
自分にうんざりしていたのですが
この本は楽しく読めました。
結局、おもしろい本・好みの本に
巡り会ってなかっただけなのかな。
もちろん私自身の読書力が落ちているのは
言うまでもないことです。
日々の生活で気になることが増えたとか
今期のドラマがおもしろいとか^^;
読書に気がのらない原因に思い当たることが
多々あるわけでして…

小田急線・世田谷代田駅から徒歩5分、築ウン10年。
空き室あります!
安普請ですが、人肌のぬくもりと、
心地よいつながりがあるアパートです。(帯より)

古びたアパート「小暮荘」を舞台にした連作短編集。
全部で六部屋あるが埋まっているのは四室のみ
広い前庭の住人は灰色(?)の中型犬「ジョン」

学生時代からずっと小暮荘に住んでいる
地味な感じの若い女性
軽薄そうな女子大生
陰気そうな会社員の若い男
そして大家の小暮
四人のアパートの住人とその周りの人たちが
主人公となり、紡ぎだされる愛すべき物語。

「シンプリーヘブン」
三年前に別れも告げずに
突然繭の前から姿を消した男・並木が
前触れもなく戻ってきて
晃生と一緒にいるアパートに上がり込む。
修羅場になるのが当然なのに、
もめていてもどこかのどかな三人の関係。
図々しい並木が不思議に魅力的です。

「心身」
七十を過ぎた男の生々しい願望に
ちょっと引き気味に読み始めたけれど
なんだか小暮さんがいじらしくなってきた。

「柱の実り」
ふたりを引き合わせた不思議な物体。
美禰にとっては過去が凝縮したものだったのか。

「黒い飲み物」
泥の味のするコーヒーは飲みたくない^^;
佐伯の夫は妻にゲームを仕掛けているみたいだ。
妻をもてあそんでる?刺激がほしい?
結末まで読むとのろけ話としか思えなくなる…

「穴」
名前も知らない女子大生を天井の穴から観察する。
なんて非常識な男だ。しかし…

「神崎は次第に、覗くだけでは満足できなくなってきた。」
いますぐ、女子大生の生活を改善したい。
まともな料理を自炊し、ラグを天日に当て、
掃除の頻度と脱毛の頻度を逆転してほしい。
自分ではできないというなら、
俺が女子大生の部屋にお邪魔して、
かわりにやってもいい。」

…この男の方向性、なんだかヘンです。

「神崎はもはや在所の母のようごとく、
女子大生の暮らしを心配し
気にかけるようになっていた。」

「在所の母」に笑っちゃった。

「『あ、覗かれてるな』って気づいてから、
なんか妙に楽しかったんだ。」
女子大生がなぜこんな風に言うのか後からわかります。

「ピース」
「ひとの気配が伝わってきて、むしろ安心できる。」
女子大生・光子にとって小暮荘は居心地がいいようです。
ある日、光子は生まれたばかりの赤ん坊を預かる羽目になる。
名前もつけてもらってない赤子にはるかと名付け
とまどいながら面倒を見ているうちに
「はるかはあたしの光だ。」と思うようになる。
長くて大切な一週間が過ぎた頃、唐突に別れはやってくる。
「はるかと心と体を形づくる、何億ものピースのひとつ」
そんな風に自分との記憶が残るだろうかと光子は思う。
あたたかくて残酷でもあるこの話が私は好きです。

「嘘の味」
並木が繭に抱いていた心情が伝わってきます。
しかしそれは過去のものにしなくてはいけない。
新しく見つけた帰る場所。
今度こそ言葉を届けよう。見失わないように。
「あなたが好きです。あなたとつながりたい。」

どこか風変わりで愛すべき人たちがでてくる話が
私は好きなんだなと、あらためて思いました^^

木暮荘物語

木暮荘物語

  • 作者: 三浦しをん
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/10/29
  • メディア: 単行本


タグ:三浦しをん
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miyuco

有城佳音さん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2010-12-04 20:44) 

miyuco

Chronusさん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2010-12-04 20:44) 

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