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『Q10』最終回 [TV]

「また明日」

いい最終回でした。
さようならではなくて「また明日」

ふたりの恋が真実ならば
いつかは逢える
これが本当のさよならじゃないの
(グッド・バイ・マイ・ラブ)

浮かんでは消えるさまざまな感情
ふわふわしていて、とらえどころのないものを
かたちにして見せてもらったような
『Q10』は、そんなドラマでした。

たぶん生身の役者さんたちも
共感するところがあったのではないかな
若い人たちの表情がとてもきれいだった。
『Q10』の世界をしっかり支えていた。

ドラマとしての完成度が高いとは言えない。
とっ散らかった印象がある。
それでも強烈に惹きつけられました。

平太を演じる佐藤健が絶品でした。
なんてきれいな眼をしてるんだろう。
前田敦子ちゃんの澄んだ瞳も魅力的。
ふたりともどこかノーブルな雰囲気を漂わせていて
それがドラマ全体に不思議な透明感を与えていた。


「俺は昨日八十八才になった。まだ死ねそうもない。」

よかった。
平太の心臓は動き続けたのですね、
家族みんなで守った心臓。
ひょんなことから平太の心臓の音を父母と姉が聞く。
「ちゃあんと動いてるよ…」
この時のやわらかい家族の表情が好きでした。

「目に見えないものを信じる力」
当たり前のようにやっていることだから
それを「力」だなんて思いもしなかった。

「永遠って…自分で作れるんだ…」
そう思えるって事は
見えないものを信じる力を持っているということ。
永遠をつくることができるなんて素敵です。

入院している久保くんと赤髪の山本さんも好きでした。
あまり状態の良くない久保くんの病室に
山本さんはいろいろ考えてしまって入ることができないけれど
平太はごく自然に入っていき久保くんの手を握る。
さりげない場面だったけれどふたりの過ごしてきた時間が
胸に迫ってきてジーンときました。

後押ししてくれるのはきっと何でもよかったのでしょうね。
病室に走り込んで話し始める山本さんの言葉は
久保くんの心に灯りをともしたようです。
ふたりで校門の坂をのぼれるといいね。

「Q10」とむりやり引き裂かれるように別れた平太
9話ではきちんとお別れをすることができました。
いい終わり方でした。

8話で「Q10」の残した記録を見ている平太の表情
画面は平太にしか見えず音声だけが聞こえる
映像にくぎづけになっている平太の表情が変化する。
見ている私も涙腺決壊です。

最終話の最後の手紙を読む声は
年長者の語りになっていた。
佐藤健の役者としての力量をこのドラマを見て
よく理解できました。


「十八才の俺に言いたい。
Q10を愛したように世界を愛せよ。
今は見えなくても自分を信じろ。
いつか目の前にお前が信じたものが
かたちを持ってあらわれる。
その日まで」

「かたちを持ってあらわれる」
ああよくわかる。
約半世紀生きている私には共感できる言葉です。
本当にあらわれるんだよ。びっくりするから。

「なんとか食べていけて
最悪の事態さえ避けられればオールオッケイ」
ささやかな願いだけれど
確かに世界平和につながりますね。

先生の田中裕二、お母さんの白石加代子
薬師丸ひろ子、とてもよかったです。

前田敦子ちゃん、このドラマに出てよかったと
後からきっと思うはず。魅力的でした。
AKBの女の子たちに特に思うところはなかったけれど
やっぱりあれだけのステータスを手に入れるのには
理由があるのだとわかった次第でございます。
「きらきら」がなければムリだわよね。
かわいかったです。

rain-106.gif

脚本の木皿泉さんが大島弓子ファンだと
知っているので反応してしまうところがあります。

「またあしたね」
これは「バナナブレッドのプディング」に出てくる
忘れられないセリフ。

「Q10」は「チビ猫」なのだと思う。
その目を通して日常をとらえ直す。
ありふれた風景がひといろ違って見える。

「いつか目の前にお前が信じたものが
かたちを持ってあらわれる。」

10代の私が大島さんから受け取ったものが
違う物語になって目の前にあらわれた。
それを受け取り心に残している人たちの
リアルタイムでの反応をネットの力を借りて
知ることができた。なんだか幸福な気分。




photo1_14202.jpg


タグ:木皿泉
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こにゃ

こんばんは^^

いつもmiyucoさんの記事には自分の思っていた言葉を
綴ってもらっている気がします^^←おこがましいですが^^;
最初、始まる前、健くんはいいけどAKBかよ(偏見)と
思ってました。
(但し、彼女のおかげでAKB・・・何か・・・違う?!って)
48は付けません←?

クライマックス、ふたりの逃避行・・・。
つながりなくない?って感じてた。
それでも平太とQ10とそれを取り巻くものにとっては
絶対的に必要なシークエンス。
70年間続く愛のストーリィ←こそばゆいw

木皿作品ちゃんと見たの2つめかしら?
平太(主人公)のモノローグは切なくて、きらきらしてて。
Q10の目(カメラ)の記録を見る平太。
涙(容れ)を太陽に透かす平太。
鉄塔のシーン大好きでした!

10代の彼を見たくてQ10を送り出した奥さん
土手で会ったのはだ~れ??
奥さんから見たあの時の平太はどんなだったろう・・・。

あ、こういう時「にやにや」って云うんですねw

by こにゃ (2010-12-25 00:31) 

miyuco

こにゃさん、nice!とコメントありがとうございます!
タケルくん、よかったですよね~
平太が涙するともらい泣き率100%でした。

Q10は存在すると言ってくれた奥さまとの
70年はきっと幸福なものだったでしょうね。
…などと余白の部分をいろいろと
想像してしまいます。
温かい余韻が残るラストがとても好きです。
いいドラマを観ると嬉しいですよね。
そしてあれやこれや語りたくなるのでした^^
by miyuco (2010-12-26 14:04) 

miyuco

ミナモちゃん、こちらにもnice!ありがとう^^

by miyuco (2010-12-30 12:29) 

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