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『三匹のおっさん ふたたび』 有川浩 [読書]

三匹のおっさんがまたまた活躍します。

剣道の達人・キヨ、
柔道の達人・シゲ、
機械をいじらせたら右に出る者なしのノリ

愛すべき個性的なおっさんたち
そんな彼らをとりまく人々も魅力的です。

イラストは須藤真澄さん。
前作同様に絶品です^^
子供たちが小さいときに書いたと思われる
それぞれのお父さんの絵が三枚並んでいる。
則夫の絵はいかにも女の子が描きましたという絵で
なんとも微笑ましい。

キヨの息子・健児の妻、貴子さんが
慣れないパート勤務をがんばる話から始まります。
世間知らずで上品さを装っているけれど
実はわりと図々しいところがある専業主婦。
あまり好感をもてない印象で前作は終わったけれど
今回はがんばります。
一方的にばっさり斬ったままにしないところが
有川さんらしい優しさですね。

健児もいいところを見せます。
キヨにとってはいつまでも頼りない息子ですが
実際には良識ある立派な社会人です。

キヨの孫の祐希は相変わらずいいヤツです。
何故にこんなに世知に長けてるのか謎だわ。
ゲームセンターで家庭ゴミを持ち込む若いママと
見とがめたキヨたちが言い争いになったときに
やんわりとその場をおさめた祐希の手腕はお見事でした。
真っ直ぐな早苗ちゃんとはお似合いですね。

お父さんの再婚話に揺れ動く早苗ちゃんが
精一杯自分の気持ちに向き合うところが
丁寧に描かれていてとてもよかった。
そばに祐希がいてくれて救われたのではないかな。

「まったく最近の若い者は・・・」
年配の方のお得意の口上を聞くと
「でもまあ、年代は関係ないんじゃねーの?
ジーサンの年代だって『最近の年寄りは』って
言いたくなるようなのいるぜ」
この祐希の言葉にそうだよね~とうなずいた私です。
年代は関係ないです。
見かけで判断してはいけないってことは
祐希と接していればわかるはず。

第五話のお祭りの話が好きです。
お祭りを仕切るシゲさんはかっこよかった。
息子の康生の父への思いは胸があたたかくなります。

寄進を拒否する世帯の子どもが
振る舞いのお菓子をもらいにきたとき
どうするか対応に迷う場面がありました。
「晴れの日じゃねえか、男がちいせえこと言うな」
重雄の一言で迷いは消える。
「ああ、--やっぱりうちの親父は最高だ。」

同じようなことが私の住む地域のお祭りでもあります。
ゆえに、この感じはよ~くわかる。
なんとも悩ましい問題です。
自治会や子供会の活動を拒否する家の子どもたちが
無邪気に列に並んでいるのを見ると
予算のこともありいろいろな意見がでてきます。
でもやっぱり子どもを悲しませることはできないと
やりくりしてお菓子を配ることになるわけです。
せっかくのお祭りだもの。

ラスト、清一も少し変わってきたことがわかります。
すてきですね。

三匹のおっさん ふたたび

三匹のおっさん ふたたび

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/03/28
  • メディア: 単行本

前作『三匹のおっさん』の文庫を
ダンナさんがどこからか借りてきたので
文庫版のあとがきが追加されているのに気づいた。
児玉清さんにお褒めの言葉をいただいてとても嬉しかった
と有川さんは感謝の気持ちを書いておられました。
それがどんなに嬉しいことだったのか伝わってきて
読んでいる私まで胸がいっぱいになるような文章でした。


タグ:有川浩
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藍色

前作同様、サクサクと読めました。
とても面白かったですね。元気が出ました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
by 藍色 (2014-06-07 16:18) 

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