『仙台ぐらし』 伊坂幸太郎 [読書]
2005年から2010年にかけて
地域誌『仙台学』に連載されたエッセーと
震災後の文章を収録。
巻末に書下ろし短編「ブックモビール a bookmobile」
伊坂幸太郎さんは心配性だそうです。
「子供の頃から、常に何かを心配していた。」
地震やお化け屋敷、隣人の夫婦喧嘩などなど。
「その心配は、独り善がりで無責任なものでしかない。」
そんなふうに思ってはいるけれど、
「みんなを代表して心配している」
伊坂さんはなんだかかわいい^^
『「僕がこれだけ心配しているからこそ、何も起きないのだ」
という気持ちもあった。論理的ではないのは百も承知だ。
ただ、すでに、「ここで僕が安心をした途端、
恐ろしいことが起きるのではないか。
たとえ、馬鹿にされても、心配し続けなければいけない」
と奇妙な使命感まで生まれていた。
こうなるともうどうにもならない。
心配することが僕の役割なのだから
(と自分で決めてしまったのだから)、
安心してはいけないのだ。』
う~ん、たいへんですねぇ・・・
でも、伊坂さんが心配してくれているおかげで
世界は何とか秩序を保っているのかもしれない。
助かります。ありがとう。
「いつかやってくる宮城県沖地震」
心配事項のひとつだったけれど実際に起こってしまった。
震災後の短いエッセーがいくつか載っています。
「震災で僕たちは、僕たちの町は、
もっと範囲を広げれば僕たちの国は、
あちらこちらの骨が折れた。
心が骨折したとしか言いようのない感覚に襲われている」
「でも、そうであっても、包帯をしっかりと巻き、
自分たちを労り、時にリハビリをし、
そして何よりも捨て鉢にならずに日常を続けていけば、
いずれまた骨は繋がるのではないか、
そうなればいいな、と縋るように思う自分がいるのも事実だ。」
この文章に心が揺さぶられる。
仙台に暮らす人の生の言葉です。
「史上最大の復興!」
「あまり無理せず、遠回りしてもいいから」
「ブルーハーツの歌詞に倣うわけではないけれど、
“この地震でへこたれるために、
今まで生きてきたわけではないのだ”
と自分自身に言い聞かせている。」
巻末の短編「ブックモビール a bookmobile」
移動図書館(コミック専門)で被災地を巡回する
若者ふたりが主人公の話。
いつものようにちょっと不思議な伊坂ワールド。
そこに震災の傷跡が生々しく顔を出す。
外からきた人との温度差。
「これから状況が落ち着いて来れば、
また別の種類の不快な悩みが出てくる可能性もある。
心無い人が現れ、被災地の人たちが
苦しめられるような予感もある。」
エッセーに書かれていたこの文章は
きっとこういうことも含んでいるのでしょうね。
そしてそれは今も続いているのかもしれない。
被災地を遠巻きに見守る私たちも
苦しめている一員なのかもしれない。
「僕は、楽しい話を書きたい。」
震災後の伊坂さんの言葉にはっと胸を突かれる。
ネット書店では「hontoネットストア」のみが
取り扱っているそうです。
「人ってのは、その土地で生きているんだよ。
まわりの人間とのコミュニティの中で。」
「ほら、シールと同じだ。」
「丁寧にうまくやらないと、シールは綺麗に剥げないんだ。
慎重に。どれだけの覚悟がいると思ってるんだ」
「人が、住みついた場所を離れるのは、何か大事なものを
ぴりぴり引き剥がすようなものじゃないのか」
(「ブックモービル」より抜粋)
ミナモちゃん、nice!ありがとうございます♡
by miyuco (2012-05-26 18:12)
「こっちゃん」さん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2012-05-26 18:13)
だいだらぼっちさん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2012-05-26 18:13)