『空飛ぶ広報室』 有川浩 [読書]
今回の舞台は航空自衛隊・広報室。
有川浩の得意ジャンル。
自衛隊応援団の面目躍如です。
もしこの本を作成したのが自衛隊だったら
手前味噌だと大ブーイングでしょう。
それほど自衛官たちがかっこよく描かれています。
・・・ちょっとかっこよすぎかも・・・
有川浩だからしかたないかと
ファンには許されるレベルかもしれないけれど
作者の嗜好を知らない人が読んだら
自衛官に肩入れしすぎと感じるかもしれない。
「自衛官をヒーローにしてほしくない」
という言葉を主人公が口にしますが
有川浩のあふれる愛を抑制するのは難しいようです。
「自衛隊の“陸軍”」という言葉が
ジャーナリストから出てくるなんて信じられない。
いくら読者に初歩からレクチャーするためとはいえ
東日本大震災のときのおびただしい報道で理解されているはず
・・・と思ったけれど、この本が執筆されたのは
2010~2011にかけての震災前だったのですね。
巻末の書下ろし「あの日の松島」
そして「あとがき」はとても心に沁みる文章でした。
自衛官の方々の心の傷はどれほどのものだったか・・・
きちんとケアして差し上げなくてはいけない。
あれだけ過酷な作業をしてくださった人たちを
闇の中へ放り出すようなことがあってはならない。
boy-元・戦闘機P(ファイターパイロット・29歳)
meets
girl-どん詰まりの美人テレビD(ディレクター)
ラブの要素はもちろんありますが少なめです。
成長物語がメイン。
ブルーインパルスに入るのが
子どもの頃からの夢だった空井大祐。
あと少しで手が届くというタイミングで不慮の事故に遭い
夢は断たれた。
P免(パイロット資格剥奪)の処遇になり
配属されたのが広報室。
そこで出会った帝都テレビディレクター・稲葉リカ。
ジャーナリストになることが子どもの頃からの夢だった。
希望通り報道部の記者になったものの
強引な取材がトラブルにもつれることが多くなり
五年目の今年、記者からディレクターへと肩書が変わった。
新米広報官と新米ディレクターが
少しづつ成長していきます。
楽しく読めるのですが
書き手の題材への距離の取り方が近すぎて
(作者の愛が強すぎて)
お仕事紹介本の色合いが濃く、
ちょっと物足りない気がしました。
ブルーインパルスに乗るアイドル。
何年か前に木村拓哉が嬉しそうに乗ってましたね。
タックネームの話も覚えています。
あの日の松島基地の様子は
テレビでも特集されていました。
甘甘な有川浩の自衛隊シリーズ大好きです。
でもこれってはまらないと痒すぎてダメなのだろうということも分かります(笑)
有川浩だからと割り切らないと。
この本は図書館で予約中でもうすぐ順番が回ってきます。
早く読みたいですね。
by のりたま (2012-11-13 14:11)
>のりたまさん
今回の甘味はほんのりって感じでした。
そして相変わらず上官がかっこよかった!
有川さんの新刊がまた発売になったので
図書館に予約に行こうと思ってます。
nice!とコメントありがとうございます^^
by miyuco (2012-11-15 17:56)