SSブログ

『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』 宮部みゆき [読書]

三島屋の黒白の間にて、本日もおちかは、
客人たちが持ち込む怪談話に耳を傾けます。

「泣き童子」が怖かった。
心の底からゾッとしました。

「小雪舞う日の怪談語り」
江戸へと奉公にあがる幼子を案じる声の主に
あたたかい気持ちになりました。
こんなに遠くまで、お優しいですね。
温かそうな綿入れ、きっとお似合いですね。

「まぐる笛」
おそろしき獣は「ある恨みが形をなしたもの」

「まぐるを殺すことはできません。
恨みは殺せるもんでねえ。
殺しても殺しても残ります」

人の知恵や理屈の届かぬ出来事を聞き知り、
人の身の分際を弁(わきま)える。

これは怪談語りの会の肝煎役の言葉。
「まぐる」はただそこに現れただけで
怨念ではないかと解釈をして
対処する術を考え出したのは
まさしく人の身の分際を弁えたうえでの
知恵なのでしょう。

「くりから御殿」
残された者の悲しみが胸に残ります。

「魂取の池」
「好きな人のことを想ったり、
好きな人の心の内を探ってみたりしたくなる、
年頃の娘の話」

「節気顔」
「ふたつの場所をつなぐ道筋でお客の相手をする」
「死者と生者のあいだを行ったり来たりして、
互いが求めるものをやったり取ったりする。」
<商人>が登場します。

「この世とあの世のあわいに
目を向けている者の前には、
ふわりと姿を現す」

おちかが<商人>に抱いた印象が
今回の話で変わってきた。
次にはまた違う印象に変わるかもしれない。
おちかも変わってきている。

「お嬢さんはもう、
去年(こぞ)のお嬢さんではありませんからね」

dot blue.gif

江戸は神田。
叔父が営む袋物屋・三島屋へ
行儀見習いとして身を寄せるおちかは、
叔父の提案で百物語を聞き集めるが――。
恋仲の男女の縁を切ってしまう池の伝説(「魂取の池」)
ある朝、母親の顔を見て泣き出した赤ん坊の物語
(「泣き童子」)など、6篇を収録。
人気時代小説、待望の第3巻。

泣き童子 三島屋変調百物語参之続

泣き童子 三島屋変調百物語参之続

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 単行本


タグ:宮部みゆき
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0