『春、戻る』 瀬尾まいこ [読書]
「思い描いたとおりに生きなくたって、
自分が幸せだと感じられることが一番だ」
ある日突然、お兄ちゃんを名乗る若い男の子が現れる。
見たこともない人に「久しぶりじゃん」と言われても
困惑するばかり。
36歳の望月さくらに24歳なのに兄と名乗る人物。
彼はさくらのことを知っているらしい。
どういうことなのでしょうか・・・
さくらの心の中には重い扉のむこうに
閉じこめてしまったものがある。
つらい過去のできごと。
蓋をしたまま13年が経ちやっと記憶も薄れてきた。
「扉を閉めることで自責や後悔を切り離すことができたのだ。」
「おにいさん」は扉の向こうの記憶に関わっているのだと
さくらは気づいている。
登場人物はいい人ばかり。
結婚が決まった相手の山田さん。
山田さんの家業・団子屋で一緒に働く
お義父さんお義母さんもいい人。
いい人だらけの物語は薄っぺらく感じることもあるけれど
どうしてだか、瀬尾まいこさんの作品には好感しか残らない。
人懐こくて一生懸命のおにいさんが
魅力的に描かれているので
山田さんが奇妙な兄と妹の関係をうけいれるのも
あり得るかなと思ってしまいます。
山田さんはおおらかで善良な人ですね。
トラブルメーカー(?)のおにいさんのおかげで
さくらは山田さんの人間性を理解できました。
心の扉のむこうにあったものが
つらいことだけでなくてよかった。
時の力を借りると見えてくるものがあります。
「幸せだと感じて」いるさくらに会えて
先生も嬉しかったことでしょう。
2014-07-20 12:44
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