SSブログ

『本屋さんのダイアナ』 柚木麻子 [読書]

ダイアナと彩子、女の子ふたりの成長物語。
ダイアナの母、ティアラがとても魅力的でした。

「お城のパーティーより森での夜露のダンスの方が
ずっときらきらしてまぶしいだろう」

そんなふうに考えるティアラに育てられたダイアナは
お城のパーティーにあこがれ、
お城で育った彩子は夜露のダンスにあこがれる。

お嬢さま・彩子の過酷な体験は読んでいてつらかった。
しかし、彩子の苦しさの描写がどこか物足りない。
傷つかないために自分をごまかし、虚勢を張り、
心を殺し、誇りを失い、さらに傷つく。
堕ちていく女の子を描くのが
作者はあまり巧くないように感じる。

line3-1.gif

私の呪いを解けるのは、私だけ。
「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、
行方知れずの父親。
自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、
本の世界と同級生の彩子だけが光を与えてくれた。
正反対の二人は、一瞬で親友になった。
そう、“腹心の友”に―

line3-1.gif

「大穴(ダイアナ)」という奇妙な名前
小さなころから金色に染められた髪
どちらにも意味があったのですね。

大人になったダイアナは母・ティアラの
たくましさと聡明さに気づく。
厳しい生活を送るシングルマザーだったのに
娘に不機嫌な様子を見せたり
理不尽な怒りをぶつけたことは一度もなかった。
おおらかに温かく育ててくれた。

ラインストーンやスワロフスキー、
キラキラのビーズやシール、ラメペン、
幼いダイアナはきらきらにデコられた
ランドセルや持ち物が恥ずかしかった。
しかし、矢島ダイアナを名物書店員に押し上げたのは
かつて嫌っていたキラキラが彩る人目を引くPOP

マイナスの手札がつぎつぎと裏返る顛末は
とても楽しいです。


父が勧めてくれた「アンの愛情」
それは彩子との再会にも一役買います。
とても素敵なラストシーンでした。

本屋さんのダイアナ

本屋さんのダイアナ

  • 作者: 柚木 麻子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/04/22
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0