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「鹿の王 水底の橋」 上橋菜穂子  [読書]

「鹿の王」に登場した天才医術師・ホッサル。
ホッサルとその恋人・ミラルは
清心教医術の成立ちを知ることで
自らの進むべき道を明確に見据える。

そして人の命を道具にする政治的かけひきに翻弄される。

魂を救うことと命を救うこと。
どちらもおろそかにするべきではない。


もつれた糸をほどいたミラルのように
人に寄り添い誠実であれたらと願うばかりです。


ダ・ヴィンチニュースの上橋菜穂子さんのインタビュー
https://ddnavi.com/interview/529265/a/

これを読むことで物語をより深く理解できました。




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オタワル医術に携わるホッサルとミラルは、
対立する清心教医術の発祥地・安房那を訪れる。
出血病の治療法を探す中、
それぞれの医術の在り方が異なることを実感したホッサル。
やがてオタワル医術次期後継者として
王位継承争いに巻き込まれていき――。

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宗教と結びついた医療・清心教医術
「私共が救いたいと願っておりますのは、
魂でござりまする」
「穢れた身で長らえるより、
清らかな生を心安らかに全うできるよう、
私共祭司医は微力を尽くしているのでござりまする」
 (鹿の王上巻での王幡領祭司医長・呂那の言葉)

「病とは穢れ。穢れた身で長らえるより、
清らかな生を心安らかに全うできるよう、
神の教えに従って行われる清心教医術。
それは“病は人の手が届くところにある”と考え、
どんな術を使っても、治そう、
命を助けようとするオタワル医術とは考えを異にする。」

考えを異にするふたつの医術。
宗教と政治が絡み
オタワル医術は対立する勢力によって
異端と切り捨てられる恐れが拭いきれない。
生き残りをかけ、策士リミエッルは
今回も暗躍するわけであります。

対立の根本的解決はまだ難しいかもしれないけれど
ホッサルやミラル真那など
次世代を担う者の視野が広がったことで
少し風穴が開いたかもしれない。

希望の持てる終わり方でした。
まだまだ続編があるような気がします。

「身分違いの恋」
こちらは解決しそうですね。
よかった!
ホッサルとミラルにまたお会いしたいです。




鹿の王 水底の橋

鹿の王 水底の橋

  • 作者: 上橋 菜穂子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/03/27
  • メディア: 単行本

タグ:上橋菜穂子

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