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『栞と噓の季節』米澤穂信 [読書]

誰でも殺せる特別な栞を巡り、
保身のため、誇りのため、友のため、
あるいは秘めた思いのため、誰もが嘘をつく
――そんなミステリです。

おもしろかった。
米澤穂信さんの高校を舞台にしたミステリー、大好きです
今作はハードボイルドであり
捜査小説でもあることを意識したそうです。
夜を歩く三人の描写や行きつく先での対峙はスリリングでした。

『栞と嘘の季節』米澤穂信インタビュー


頼まれごとの多い堀川次郎と皮肉屋で大人びた松倉詩門
<図書委員シリーズ>第二弾
発端は返却本にはさまれていた“栞”
致死量の毒を含んだ危険な植物トリカブトの押し花
ふたりは持ち主を探します。
その過程で行動を共にすることになる同学年の女子
「ずばぬけてきれいだけれど性格が悪い」
と評される瀬野さん

魅力的な人物がふたりに加わりました。
ふたりと同じように訳ありっぽいです。

「僕と松倉がせめて守ろうとしたお題目」
『お題目』が事態を複雑にする。
このかたくなさが読者にはどうにも理解しがたく
しかしこれこそ米澤穂信らしいなと思ったりします。



読んでいてひっかかる箇所がありました。
(わたしの理解力不足かもしれないけど)
図書室に残された“栞”に
瀬野さんがたどり着くまでの思考の道筋が釈然としなかった。

以下、未読の方はご注意を

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タグ:米澤穂信

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『子宝船』きたきた捕物帖(二) 宮部みゆき [読書]

「きたきた捕物帖シリーズ」二冊目の「子宝船」
楽しみにしていました。
前作では謎めいた存在だった「若」が
いよいよ登場します。
「ぼんくらシリーズ」の彼にも久々にお会いできます。
見守られる立場だった彼が
成長した姿で出てくるのは嬉しい限りです。

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『きたきた捕物帖』の主人公は、名探偵ではなく、
市中で起こる大小のトラブル、もめごとを
解決するトラブル・シューター、
つまり何でも屋なんです。
タイトルの「きたきた」とは、二人の「きたさん」の意味で、
最初の「きた」は主人公の「北一」のこと。
次の「きた」は、第三話で登場する、
もう一人の「きたさん」こと喜多次で、
ゆくゆく北一の相棒になっていきます。
『きたきた捕物帖』は、若い子が
一人前になっていく話にもしたかったので、
北一は十六歳、喜多次もそんなに違わない年にしました。




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どこの馬の骨かわからない迷子で、
おつむりが切れるわけでもなく、
身体も自慢できるほど頑強ではなく、
若いのに髪が薄い。
いいとこなしの北一だが、
口だけは堅いのなんの、
釘も閂も要らない石の口だ。
千吉親分に、きっちり躾けられたからである。



北一は千吉親分に「きっちり躾けられた」
という矜持を決して忘れない。
亡き親分のおかみさん・松葉をはじめとして
まわりの大人たちが北一を助けるのは
北一の根っこの部分が見えているからなのでしょう。



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タグ:宮部みゆき

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どちらもおなじかがやくのはら [家族]

最愛のわんこ
とうとうお別れのときが来てしまいました。
9月の二週続いた台風に連れていかれてしまいました。

16年間もそばにいてくれました。
東日本大震災の暗闇のとき
コロナでの緊急事態宣言、先の見えない不安のとき
そこにいてくれるだけでどんなに救われたことか
ありがとうの言葉をどんなに尽くしても足りません

また会おうね。

旅立った今、わんこがいるところは
「かがやくのはら」だと信じている。
16年間わたしたちと過ごしたこの場所も
同じくらいかがやく「のはら」だったと思ってくれるといいな。

(大島弓子さんの『葡萄夜』から
「どちらもおなじかがやくのはら」
という言葉をお借りしました)


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ウチの子になってくれた日のわんこと
2020年、14歳のわんこ
かわいいわぁ

15歳まで病気知らず
日々私を見張る業務に励んでました
「なんか食べた?食べてるよね!!」
と厳しく目を光らせてた。
謎のマイルールで飼い主を翻弄するおこりんぼわんこ

一年くらい前からけいれん発作が頻発するようになり
クスリによるコントロールがうまくいかなかったので
度々重責発作を起こしました。
今年に入ってからは目と耳が悪くなり
わたしへのストーカー行為はフェードアウト。

寝ている時間が長くなり、
徐々に離れてしまっている感じがありました。
さびしかったけれど、わんこの老い支度だったのかな。
最期はけいれん発作が止まらずに
意識がないまま旅立ちました。

iPhoneに機種変してたくさんの写真と動画を残せてよかった。
Googleフォトの中に 元気でわがままをいうわんこがいます。
また会える。
その日まで待っててね。

あれから二か月。
カシャカシャカシャという足音がきこえなくて
さびしいです。

タグ:わんこ

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