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『777(トリプルセブン)』 伊坂幸太郎 [読書]

おもしろかった

増えつづける登場人物
積みあがっていく死体
どこまで増えていくんだと思いながら読んでいきます。
死体を処理する有能な二人組「マクラ」と「モウフ」
ホテル内をちょこまかと動き回りながら
きっちりと仕事するふたりがとてもいいです。

「でもさ、あちこちに死体があるなんて、
このホテル、どうなっちゃっているんだろう」
「疫病神がいるのかもな」


やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。
通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、
超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという
「簡単かつ安全な仕事」のはずだった――。


天道虫は業界の有名人ですね。


「あれは、ほら、天道虫だよ。E2の生き残り」
「ああ、あの。幸運の、天道虫か。それで見たことあったのか」
何人もの業者が命を落とした上に、
とうに引退したと思われていた二人組まで乗っており、
大変な騒ぎになったらしいが、命を落とすことなく生き延びたのだから、
実力はもちろん運にも恵まれているのだろう、と業界で噂されていた。

ついているのかついてないのかわかんない天道虫は
ホテルから出ようとしたエレべーターで
見知った男と出くわしたことで望まぬ状況に陥ります。
簡単で安全な仕事なはずだったのに

時を同じくして、そのホテルには
驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。
彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる……。

元国会議員の「蓬(よもぎ)」が秘書とともに
ホテルでライターの取材を受けている。
世間からはヒーローのように思われているヨモピーだが
いかにも胡散臭い
と伊坂幸太郎の愛読者は思うはず。
どんなふうにストーリーに絡んでくるのか
わくわくしながら読みました。

何本もの糸がより合わさり、たどりついた結末は
そうきたかって感じで読書の醍醐味を感じます。

エピローグのチーズケーキ!

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以下、未読の方はご注意を






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紙野結花はパティシエをやっていたこともあるんでしたよね。

「チーズケーキに七味は意外に合うんですよ」
「柚子胡椒とかも合います」



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「ジャックポットが絶対にでない、
壊れたスロットマシンを回し続けているだけだ。」
と紙野は自分のいままでの人生を嘆く。

すべてが終わったとき乾はこう言います

「子供のころ、スロットマシンでジャックポッドどころか、
7がまったく出ないことが心配で、父親に相談したんだよ」
「父親はほとんど泣きそうな顔で、俺に言い聞かせるように言ったよ。
『こんなところで運を使わなくていいんだ。
もっと大事なところでついてるはずだから。
心配するな。大丈夫だ。』と。」

「紙野ちゃんと知り合えて、良かったよ。
大事なところで、ついてた」

「ついてた」
二転三転するストーリーの最後の反転のように思えます。
エピローグを読むとふたりは今悪くない状況なのかな
そうであってほしい


おもしろかった

「コーラ」と「ソーダ」のコンビはもっと見たかったです。
早々に去ったコーラがあとに続くストーリーでも
きちんと存在感を出していました。
そういうところも伊坂さんらしいなと思いました。



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777 トリプルセブン (角川書店単行本)

777 トリプルセブン (角川書店単行本)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/09/21
  • メディア: Kindle版

タグ:伊坂幸太郎

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