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『青瓜不動』宮部みゆき [読書]

 


行く当てのない女達のため土から生まれた不動明王。
悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ家族を守る人形。
描きたいものを自在に描ける不思議な筆。
そして、人ならざる者たちの里で育った者が語る物語。
恐ろしくも暖かい百物語に心を動かされ、富次郎は決意を固める──。

 


「青瓜不動」

気丈なお奈津の物語から生まれた“うりんぼ様”
うりんぼ様は臨月の産婦であるおちかに
お力添えしてくださるという。
おもしろかったです。
しかし、おちかのお産を助ける手段が
なぜ富次郎のがんばりなのか
釈然としない気持ちが残ります。

「だんだん人形」
この世のどんなものよりも、尊いのは人の念だ。
人が心に思うことだ。
しかし、この世のどんなものよりもおっかねえのも、
また人の念じゃぞ。

これは繰り返し百物語の中で語られていることですね。

幕府の目が届かない差配地で起こる悲劇
読んでいてつらかった。

「自在の筆」
絵筆にまつわる怪談


「針雨の里」
語り手は「双眸が凛々しく澄んでおり、口元にかすかに甘さがある」

御劔山(みつるぎやま)の狭間村(はざまむら)の
大人たちの面差しを受け継いでいるようです。
楽園は失われてしまいました。
いったいどれほどの寄る辺ない子どもたちが
狭間村で救われたことだろう。

富次郎の絵筆を捨てるか否かの苦悩は
わたしにはあまり響いてこなかったです。


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青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/07/28
  • メディア: 単行本




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