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影のオンブリア パトリシア・A・マキリップ [読書・海外]

なかなか物語に入り込めなくて、
私の力量では読みこなせないかも
と思いながら読んでいました。
オンブリアの世界に慣れていくにつれて読むのが楽しくなり
最初から読み返してみました。
読み返して理解できた事もあって、
やっぱり気楽に読める本ではないようですね。

世界でいちばん古く豊かで美しい都オンブリア。
そこは現実と影のふたつの世界が重なる街。
大公ロイスの死によって物語は動き始めます。
幼い世継ぎのカイエル、
摂政になりオンブリアを支配しようとしている「黒真珠」ドミナパール。
かつてロイスの愛妾であり、
ドミナパールによって宮殿を追い出されたリディアは
幼いカイエルの身を案じています。
地下世界には女魔法使いのフェイと14歳のマグがいます。
マグはろうそくのように痩せてひょろ長く、
髪の毛は藁束の色でピンだらけ、
目は胡桃の殻の色。マグがとても愛らしい。
フェイに蝋人形だと言われて育ってきたけれど
本当は人間だと知っている。
大公の甥のデュコン・クリーヴ。白い髪に銀の瞳がすてきです。
謎の出自ゆえに片足を影におき、
片足を光の中におく引き裂かれた男。
彼も権力争いの渦中にいる幼いカイエルの身を案じています。

ここからネタばれ・・・かも 

マグはデュコンのことをこう思います。
[マグと同じように、どこにも属し、どこにも属していない。
出自はあいまいで真の名前を持たない。
マグと同じように恐れなくさまよい歩き、秘密を愛好する。
ふたりは同類なのかもしれない。
ひとりが世界の上の宮殿に住み、ひとりが地の下に住むとしても。
それまでマグは、自分がこれほど、
ある人間に近いと感じたことはなかった。]

デュコンを探してドミナパールに捕らえられてしまったマグを救うために
フェイは地下世界から上がってくる 
「私はあの娘のためなら何だってやるよ」
フェイが地下から出てくるときには何かが起こる。
「地下に住む女魔法使いが心乱されて、
混乱と希望のある上の世界へのぼってこようとしたとき
絶望と希望の間の、そして光と影の均衡が崩れた。」
黒真珠に追いつめられるデュコン。
デュコンの木炭が描く扉。二つの世界の扉が開く。

グロテスクなドミナパールとフェイ。
二人とも苦手だったけれどフェイは好きになりました。
オンブリアの歴史とともに生きてきたような魔女が
マグのために涙を浮かべるんだもの。
黒真珠ドミナパールは想像しただけで恐ろしいし気持ちが悪い・・・

オンブリアの光と影のなかを
マグやデュコン達と一緒に彷徨う物語です



影のオンブリア

影のオンブリア

  • 作者: パトリシア・A・マキリップ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/03/24
  • メディア: 文庫


タグ:SF
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