SSブログ

現代ロックの基礎知識 鈴木あかね [洋楽]

現代ロックの基礎知識

現代ロックの基礎知識

  • 作者: ロッキング・オン編集部, 鈴木 あかね
  • 出版社/メーカー: ロッキング・オン
  • 発売日: 1999/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

オアシスが、ブラーが、ニルヴァーナが、全く新しく聞こえてくる。
ドラッグ、失業、セクシャリティマネー。
未知のロック史が見えてくる90年代的ロックの読み解き方。
「ロッキング・オン」連載。

というのが紹介文です。
ロッキング・オン誌で98年4月号から99年3月号まで
「ロック広辞苑」として連載された12回分の文章をまとめ、
書き下ろしを加えたものだそうです。
おもしろかった。
一章・失業とは何ぞ
二章・うつ病とは何ぞ
以下、階級とは何ぞ、ファッションとは何ぞ etc・・・

「なぜロック界には<病んだ魂>が
これほど多発するのかという疑問に
よく言われるのはそもそもロック界の住人は
狂気と正気のすれすれの線で生きている、という説だ」

究極のうつ病患者、自殺者の声ということで
ニルヴァーナ、カート・コバーンの遺書の抜粋です

「もう長いこと、音楽を聴くのにも、
作るのにも全然興味が持てなくなってた。
言い尽くせないほどの罪悪感を感じていたんだ。
バックステージで(出演を待っていて)客電が落ちて、
オーディエンスの歓声が聞こえてきても、何も感じない。
<中略>
僕が冒した最大の犯罪は
僕が楽しんでいるふりをしてみんなを欺いてきたことだ。
生涯で一度だって楽しい思いをしたことなんてなかったのに・・・」
1994年4月5日に自殺
「だからどうしたってのよ!
ロックスターをさっさとやめればすんだ話じゃないっ!」
と憤りながら涙したコートニー・ラヴ。

「彼の証言から垣間見えるのはうつ病患者特有の
マイナス方向にゆがんだ思考パターンだ」
「正常な判断力があったなら、自分が楽しめず、
続ければ苦しいだけとわかっている仕事からは
手を引くべきだったろう。
だが彼は周囲の期待を<不必要に>真摯にとらえ、
自分を楽しませることよりもファンの期待に応えることに
過剰な>義務感を感じ、
結果として<病的な>罪悪感にとらわれてしまったのだ。」

九章・ツアーとは何ぞ
ここにニルヴァーナの1993年の半年間で
世界88都市を回るツアー日程が載っている。
生涯最後の一年は拷問のようなスケジュールで埋められていた。
中毒者にとってツアーに出ながら
ドラッグ問題に対処するのは一番難しいことなのに。
所属レーベルも所属事務所もともにコバーンのうつ病
および一筋縄ではいかないヘロイン中毒の
事実を知っていたのにも関わらず。



十一章・お金とは何ぞ
ロック億万長者番付 97年版(イメージ) これがおもしろい
一人勝ち年収1000億円・・・ポール・マッカートニー卿
ぐっと下がって300~200億円組・・・エルトン・ジョン卿、
ミック・ジャガー、 フィル・コリンズ
デヴィッド・ボウイ、キース・リチャーズ
それでも金持ち・・・180~100億円・・・U2(各人)、
スティング、ビートルズの元メンバーたち
ストーンズの他のメンバーたち、ロバート・プラント、
ブライアン・メイ、ジョージ・マイケル
そして デイブ・ギルモア
60~40億円・・・ロジャー・ウォーターズ、エンヤ、
アニー・レノックス、ノエル・ギャラガー

イギリス人が対象なのでマドンナなどは抜けています。
現役ロッカーよりもベテランが圧倒的に強いです。
ライブ8に出ていた大物はみんな大金持ちだってことがわかります。

「往年のロックスターが上位を占めているのは、
旧盤の売り上げが多いから。
ベテランの作品は80年代半ば以降、次々にCD化され、
未発表音源を加えてボックスセットになったり、
手を替え品を替え古い作品がふたたび売り出されている。
ロックリスナーは時代をさかのぼって聴く人が多く
(歌謡曲では絶対にこうはいかない)
名盤の類は時を超えて聴き継がれる」

ピンクフロイドのデイブ・ギルモアがライブエイト出演後に
「 Echoes: The Best of Pink Floyd 」
の売り上げの伸びが 1343%に達したことを受けて、
ライブ以降に出た利益は寄付するというコメントを出しましたが、
すでにこれだけ収入があるならば、
うなずける部分があります。
でも、同じ事を若手バンドに求められても
ちょっと困るのではないかな。

十二章・北アイルランド紛争とは何ぞ
U2もボブ・ゲルドフもアイルランド(共和国)人です。
U2はなぜ「ブラッディ・サンデー」を歌い続けなければならないのか、
ボブ・ゲルドフはなぜ自らの音楽キャリアを犠牲にしてまで
バンドエイド(とその事後処理)にこだわり続けたのか。
答えはここにあるのではないかと書かれています。


nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(2) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 5

はじめまして~
コバーンの言葉はカナリ印象的ですね
私はニルヴァーナを聴かないけど、ミュージシャンとして飯を食っていく為の術とか、いかにそうであったかが、超現実って感じです
ラモーンズとかもそうですけど、パンクとかロックとか音楽とドラッグとって、つきものなんでしょうか
別にドラッグをやっててもいーけど、暴力的なイメージですよね
そうなると音楽自体、破壊的な要素があるんじゃないかと、まぁ気持ちよくなったり、音楽が好きならば一部分での理解はできるんですが、なくてもいい部分まで浮き彫りになるというか(…支離滅裂ですが…)
コートニーの真面目な発言を初めて目にしました
去年のフジロック、何かの事件で入国拒否か?とか、前日にドタキャンか?とも噂されましたが、まさに破壊的なぶっ飛んだライブでした!
何が言いたかったのか自分でも分かりませんが長々と失礼しました
by (2005-07-23 00:16) 

miyuco

bqobさん、こんにちは。長文を読んでいただいて感謝です。ニルヴァーナについて書くのは地雷を抱えるようなもので怖いのですが(コアなファンの厳しいツッコミにあったらどうしようと・・・)あの何かの深淵を見ているような暗い表情と音楽が引っかかってきます。コートニーの音楽は全く知らないのですが、そんなライブだったんですか。この本に彼女の発言があります。「沈黙の未亡人になればいいって考え方もある。でもあたしは自分の中にあるものを殺すことはできない。これは出さなきゃならないの。でなきゃあたしは死んでしまう」
nice!とコメントありがとうございました。・・・コメントまで長文になってしまった
by miyuco (2005-07-23 09:44) 

WildChild

私、エンヤの曲大好きです。聴いていると思わず心が癒されます。
そして、気持ちが穏やかになります。
これほど究極の癒し系音楽はちょっと他にありません。
どれを聴いても不思議な心地良さが感じられます。
疲れた心や体を癒してくれます。
ところで、エンヤというとケルト人として有名ですよね。
彼女はアイルランドの中でも、ケルトの古い伝統が代々受け継がれてきた土地で生まれ育ちました。
だから、アングロサクソンなどにはない独特の文化を大切にしています。
もっとも、アイルランド人が全てエンヤのようなケルト人とはいえませんが。
アングロアイリッシュもいますから。
by WildChild (2005-09-21 20:41) 

miyuco

WildChildさん、こんにちは。
「ロード・オブ・ザ・リング」のエンディングで流れた
「May It Be」というエンヤの美しい曲が印象に残っています。
映画の世界によくあっていましたね。
コメント&TB、ありがとうございました。
by miyuco (2005-09-22 09:02) 

miyuco

bintenさん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2008-08-19 21:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2