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カーペンターズ カレンの悲劇 [洋楽]

A STAR ON EARTH ‐ A STAR IN HEAVEN

カレン・カーペンター Karen Carpenter(1950-1983)

7/26 NHKハイビジョンで
カーペンターズの特集を放映していました。
「カーペンターズ スーパースターの栄光と孤独」

見ていて何だか腹がたってきてしまった。
カレンの死に言及しての兄リチャードのコメント
「あれから、自分では素晴らしいと思う曲ができることもあります。
でも僕はそれを表現する声を永遠に失ってしまったんです」

最愛の妹を突然失ってしまって ほんとうに悲しい

カレンが、こういった場面で兄に言って欲しいのは
こんなふうな家族としての悲しみの言葉ではないのかな。
仕事のパートナーとしての発言がどうして先に出てしまうのか・・・
こんなところからも、彼女の孤独が見えるような気がしてしまう・・・
(意図的に編集されたものに感じる印象かもしれないけれど)

身長163㎝体重は35㎏ 
ダルコラックス下剤を一晩に80錠から90錠服んでいる。
さらに甲状腺の治療薬を代謝促進剤として
一日10錠(正常な服用量の10倍)を服用。

専門家の治療を受ける決心をしたときには
「六年か七年にわたって痩せつづけ、
歌のツアーで非常に激しい仕事をし、
大量の下剤を服み、
しかも甲状腺治療薬は何瓶服んだかまったくわからない。
心臓に多大な負担を受けて、
肉体を限界にまで押しやっていた状態」 
これが1981年11月。

80錠の下剤って・・・
狂気に取り憑かれてしまったとしか思えない・・・
壮絶です・・・

そして治療を続けていたにも関わらず、
彼女の心臓は動きを止めた。
1983年2月4日
神経性食欲不振症がもたらす心不全により死亡。 
すべてが遅すぎた。
まだ32才だったのに・・・

その時は特にカーペンターズのファンだというわけではなく、
当時の流行の音楽に心を奪われていたけれど、
それでもカレンの痩せさらばえた姿と、
拒食症という死因はショックだった。

拒食症は心理学上の問題だといわれている。
ではカレンにとっての問題は何だったんだろう。

早くから音楽の才能を認められ
両親の大きな期待を受けていた兄のかげに隠れ、
寂しい思いをして育った生い立ち
(それ故、家族から離れられない) 

カーペンターズとして成功すると、世間の評価は、
自信にあふれて成長した兄リチャードの音楽性より、
妹カレンのシンガーとしての能力に集まったこと
兄を崇拝するがために彼女の自己評価は低いままだった。
<私は歌っているだけ>

心理的にスポットライトを浴びる心の準備が
出来ていなかったのにも関わらず
ステージの中央に出なくてはならなくなってしまったこと。
それに従って、強くなる容姿コンプレックス。

真実はわからない、何も語らずに突然に死んでしまった。
カレンの声があんなにも哀しげに深く響いて
私たちを魅了したのは、
けっして幸福とは言えない心の影があったからだと
後になって理解できました。

「イエスタデイ・ワンス・モア」で
カーペンターズを初めて知ったのですが、
その後に「スーパー・スター」を聴いてビックリ。
なんて、もの悲しい声。
それ以来、彼らの明るくハッピーなイメージの曲には
馴染めなくなってしまいました。

歌っている最後の映像が流れましたが、
骸骨のようにしか見えない痛々しい姿なのに、
声は全く衰えずにふらつきもしないで美しいままでした。
「神から授かった声」・・・残酷です

「世界で最高の女声であり、旋律が美しく豊かで、独特」
こんなふうにポール・マッカートニーに賛美された
「神から授かった声」を持っていたのに、
彼女は幸福ではなかったなんて・・・

A STAR ON EARTH ‐ A STAR IN HEAVEN 
地上のスター 天上のスター (カレンの墓碑銘)

揺るぎない結婚生活、母親になること。
富と名声を手に入れたスターの夢は叶えられませんでした。

 

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Singles 1969-1981

Singles 1969-1981

  • アーティスト: The Carpenters
  • 出版社/メーカー: A&M
  • 発売日: 2000/05/23
  • メディア: CD

カレン・カーペンター―栄光と悲劇の物語

カレン・カーペンター―栄光と悲劇の物語

  • 作者: レイ コールマン
  • 出版社/メーカー: 福武書店
  • 発売日: 1995/02
  • メディア: 単行本


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