メゾン・ド・ヒミコ 観てきました。

 メゾン・ド・ヒミコ
気にはなっていたのですが、映画館に行くのが億劫で・・・
引き籠もり気味な生活 です。
監督の犬童一心の名前は「金髪の草原」を映画化したことで
記憶に残っていました。
大島弓子の作品の中からこれを選んだなんて
どういう人物なのだろうと興味がわきましたが、
映画は観ていません。
大好きな作品がどうなってしまうのか、
恐ろしくて観ることはできませんでした。

この方が脚本を書いた「黄泉がえり」の印象が良かったので
「メゾン・ド・ヒミコ」も気になりました。
決定的に後押ししたのは大島弓子の
「つるばらつるばら」を映画化したい
というところから始まった映画だと知ったからです。

近くの映画館は１０/７で上映ストップ。
これは行くしかないと思った次第でございます。
９８席と少ないキャパ、レディースデイという事もあって
客席は七割ほど埋まっていました。

感想はというと。う～ん、淡々とした映画でした。
強くストレートに入ってこないというか。
好きか嫌いかと聞かれれば好き。
もう少し時間を短くしてテンポをよくしていただきたかった。
田中泯、オダギリジョー、柴咲コウ、
この三人は素晴らしかったです。

田中泯・・・圧倒的でした。
ムダのない容姿。壮麗な佇まい。
気高い雰囲気。厳めしいまなざし。

オダギリジョー・・・妖艶でした。美しくもの哀しい表情。
柴咲コウ・・・カワイイ！
ニコリともしない仏頂面でも、悪態をついていても、
きれいな気持ちを持っていることが伝わってくる。
偽善を拒むこの綺麗さが物語を動かしていると思う。
昔の少女マンガによく出てきた
ジト目という表現を久しぶりに思い出しました。

以下、ネタバレ感想です。しかも長文。
私って感想を書く能力がなさすぎ　(。>_<。) 

ゲイの方たちが静かに暮らしているホーム。
マイノリティーであることの辛さを味わったからこそ
寄り添って閉鎖的に暮らしているのでしょうけれど、
彼らの傷や孤独があまり伝わってこなかった。

ゲイであるゆえに排除されている描写は、
関わりを拒む隣人がドアをパタンと閉じる短いカット。
中学生の幼稚ないやがらせ。
これは興味があるからちょっかいを出しているレベル。
しかも春彦の「殺すぞ」に魅入られてしまう。
（男女問わず、あのシーンのオダジョーには降参すると思う）
そしてダンスホールでの暴言。ここは好きではない描写。
暴言を放置してほしくなかった。
沙織は向かっていったけれど、それだけ。
許せない気持ちを爆発する沙織を
愛おしく見せるという意図はわかりますが。

春彦に「だめよ」と言って、他のメンバー共々正装できめて
女装の山崎さんをエスコートさせるヒミコ。
ダンスホールでの弾けたダンスシーンは好きです。
沙織との関係が変わってくる。

「ヒミコに会うまでは、オレ、ずっとひとりだったから」
・・・「私は今もひとりよ」

ヒミコを失ったらまたひとりぼっちになってしまう
という春彦の恐れ、
そして、ずっとひとりぼっちだった沙織の孤独感が
うまく伝わってこなかった。
その部分が迫ってきたら印象はだいぶ違ったと思う。

沙織に「質問がへたねえ」というヒミコ。
あなたの聞きたいことはそんな事じゃないでしょう、と。
ここからの２人のシーンがいいですね。
「あなたが、好きよ」　
この言葉を受ける柴咲コウの演技は、本当に素晴らしい。
春彦の言葉を聞いて喪服で泣きじゃくる顔もステキでした。

温かいラストシーンがうれしいです。
犬童一心監督が大島弓子のファンであるならば、
ラストシーンはぬくもりと光があるものでなければいけません。
たとえ残酷な現実が予想されるとしても。

私的な覚え書き
ヒミコが読んでいるのは「クレアが死んでいる」
花柄のガウン、ターバンは
大島弓子の時代の少女マンガを愛する人間には
あまり違和感がない。
オダギリジョーのプロフィールに「クウガ」出演は載っていなかった。
やっぱり。
「クウガ」の彼は茫漠として自由な雰囲気で大好きだったのにな。
この映画の感想を書いている人は１００％に近いくらい
「ジョゼと虎と魚たち」を観ている。
わたしは観ていないので比較はできません。
レンタルして観てみようかな。

「ジョゼと虎と魚たち」観ました。感想も書いてしまいました。

タグ：渡辺あや

コメント 2

ラストの壁の落書きがホームの人達らしくて、良かったです！！
by (2005-10-06 21:35) 

＞masakadoさん
あの落書きは良かったですね～。
ステキなラストシーンでした。ぬくもりが後を引くようなかんじです。
観てよかったなと思いました。
nice!&コメントありがとうございました(*^-^*)
by miyuco (2005-10-07 08:57)