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『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎 [読書]

以前に一度読んでいて、この本が伊坂幸太郎とのファーストコンタクト。
ここまで軽やかにきっちりオチをつけてくると、
かえってストーリーが印象に残らないなと、当時は思っていました。
あまりにも淀みなく進行していくので。
伏線をきっちりと回収していきます。ここまで完璧に収めるのはすごい。

今回、読み返してみると少し違った感想でした。
どんでん返しのからくりも、伏線もわかったうえで読んでみると
このおしゃべりなギャングたちが楽しい。
「ロマンはどこだ」

   

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!

   

登場人物たちは本当によく喋る。
基本は「暇つぶし」 銀行強盗もその延長線上にあるんじゃないかな。
本人たちは「ロマンを求めてる」と言ってますが。

「死ぬまでに、あなたが役立つ言葉を口にするのを聞きたいわ」
妻の祥子にこう言われてしまう響野。
彼のすべてを喋り倒す勢いが、私は好き。
「この人は自分がでたらめばかり喋っているくせに、
人の口車には簡単に乗せられるのよ。」

雪子が子供のころ七夕で書いた願いごと、「一度驚いてみたい」
成瀬は雪子を驚かせてみたかったんですね。

章の始めに置いてある辞書から抜き出したような言葉の解説。
【火星】地球に比べて直径は約半分、質量は約10分の1
人口は約二倍、文明度はほぼ同等。
…火星っていつから人が住めるようになったの?
それぞれの章にもっともらしい事が書いてありますが、あなどれません。

成瀬には自閉症の息子、タダシがいる。
「火星に僕たち全員が連れて行かれたら、一番動揺しないのはタダシ君だよ」
「タダシ君にとったら、手探りでコミュニケーションを取るという意味では
ここも火星も変わらない」
ちょっとした会話が印象に残ります。火星をここに出すとは。

映画では佐藤浩市が響野を演じています。
佐藤浩市の演説、聞いてみたい気がする。

続編の『陽気なギャングの日常と襲撃』読むのが楽しみです。

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陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 文庫


タグ:伊坂幸太郎
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