『中庭の出来事』 恩田陸

こういう本を読んで、感銘を受ける‘通’のようなヒトに私はなりたい。
でも、なれないのですよ。という事で、この本は苦手

　　　

瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたティーパーティーの席上で、
気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。
周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。自殺か他殺か？　
そもそも、これは現実なのか？

　　　

劇中劇があり、地の文がある。
芝居で語られるのは、脚本家の死。
地の文（らしきもの）には、ふたつの死が出てくる。
女優の死と若い女性の死。

これらが絡み合っていきます。
それが徐々に明らかになっていく部分はおもしろかった。
最終的には、すべての登場人物が現実の世界から舞台に上がってくるような感覚。
物語のなかの虚構と現実の境目があいまいになっていく。

基本的なプロットに自分なりの味付けをして、三人の女優がそれぞれ演じてみせる。
いくつかのシチュエーションが三つのバージョンで繰り返される。
演じる女優によって変化するテイストを楽しむことが出来れば良かったけれど
私には少々退屈でございました。女優さんたちに魅力を感じなかったし。

三人の芝居の微妙な違いが犯人探しの伏線になるのかと思っていたのに
そうではなかった。期待しすぎて、がっかり。
最後に、ミステリーとしての謎解きは提示されています。

三人の女優さんは『チョコレートコスモス』に登場する三人と似通ってますね。
『チョコレートコスモス』は絶品だったのにな…

中庭の出来事

• 作者: 恩田 陸
• 出版社/メーカー: 新潮社
• 発売日: 2006/11/29
• メディア: 単行本

 

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