DVD『フラガール』

泣けた…　泣けました。
笑顔のフラガールたち最高だったよ
艶然とした笑みを浮かべて凛々しく踊る蒼井優が素晴らしい。

「女は強えや」
トヨエツ演じる洋二朗が言いましたがその通りです。
強く前向きな女たち。

常磐ハワイアンセンターのＣＭは小さい頃よく見てました。
まさかこんな背景があるなんて思いもしなかった。
フラガールたちの青春物語に感動し、
「すたれゆく炭坑のまちの再生と、
その陰で時代の波に揺さぶられた男たちの悲哀を
生き生きと物語っていく。」
公式ページに書かれてあるこの部分に心を動かされた映画でした。

たくさんのエピソードが小気味よく入ってくる。
短いショットなのに強く印象に残るシーンがとても多かったように思います。

すすけた色合いで画面に現れる炭坑町が舞台。
昭和４０年大幅な規模縮小に追い込まれている福島県の常磐炭坑。
そんな町を救い雇用を確保するため、東北にハワイをつくるという
起死回生の一大プロジェクトが持ち上がる。
目玉はフラダンスショー。
炭坑娘たちにフラダンスを教えるため
東京からダンス教師が呼び寄せられる。

「求む、ハワイアンダンサー」という張り紙に
早苗（徳永えり）は目を輝かせる。
早苗に誘われて紀美子（蒼井優）も説明会にでかける。

早苗は高校に進学することもなく幼い弟たちの面倒をみながら
選炭夫として働いている。
何かが変わるかもしれない。夢をみられるかもしれない。
ささやかな灯りが彼女の胸の中にともったのがわかります。

ピンクのシューズ、これが置いてあるのを見てパッと顔を輝かせる。
こういったさりげないワンショットが
とても効果的に散りばめられていて好きでした。

早苗さん、舞台に立たせてあげたかったな。
父親が人員整理の対象になったため
家族と共に町を離れなければならない。
父親は炭坑夫として３０年働いてきた炭坑夫としてしか生きられない。
夕張炭坑で働くために町を出る。
「ちょっとの間だったけど、いい夢みさせてもらった」
自分のするべき事をするために下を向いたりせずに去っていく。
つらいだろうけど。
「いままで生きてきた中でいちばん楽しかった」

蒼井優の素晴らしさは賞を総ナメにしたことからも明らかです。
ラストのフラダンスショー。妖艶な笑顔での踊りは圧巻でした。

松雪泰子もすごくよかった。
母親と対立したあげく、家を出て練習場に向かう紀美子。
そこには楽しそうに踊る早苗がいた。
ふたりの様子をガラス越しに覗いて
フッと表情をゆるめるシーン。いい顔でした。

強気で小生意気な顔がとてもお似合いの女優さんなのに
やさしい表情もとても豊かです。いい女です。
過去の栄光と挫折がにじみ出ていて陰影のある演技でした。
ファッションもすてきだった。
ファーストシーンのサイケなコート。よく似合ってた。

富司純子演じる紀美子の母親が初めて娘の踊る姿を見る。
娘は母がいることを認めてさらに踊り続ける。それを見ている母も無言。
母がここにやって来たのは早苗からの小包を娘に渡すため。
娘が踊り終わると小包を置いて無言のまま帰っていく母。
紀美子が早苗からの手紙を読む。

次のカットは画面いっぱいのストーブ。リヤカーに乗っているストーブ。
この流れが小気味良いです。
紀美子の母はひとりでストーブを集め始めているわけです。
（椰子の木が寒さでダメになりそうだからストーブを集めて欲しいと
ハワイアンセンターの職員が組合長に頭を下げて
拒否されているシーンがその前にある）
裏切るのかと詰め寄る男たちに母は訴える。
娘のため。若いひとたちの夢のため。
ここでのお母さんの言葉がよくわかる。その気持ちよくわかります。

紀美子が踊る凛とした姿。誇りを持ってプロを目指している娘。
これを見て、応援しない親なんかいない。
このシークエンスに一番心を動かされました。

豊川悦司がすてきです。
ダンス教師に気に入らないんだよと言いながら
「妹をよろしくお願いします。たった一人の妹なんです」
と、深々と頭を下げる。
母が娘たちのために引くリヤカーを代わりに引き
ストーブを貸してくんせぃと声をかけて回る。

そしてラスト近く、妹の舞台があるほうを見上げて
うっすらと笑みを浮かべながら炭坑に入っていく。
彼もまた、妹や母と同じように
自分の仕事に誇りを持っているのです。

岸部一徳もあいかわらずいいですね。
いつもアロハを着ていました。
「常夏のハワイ」に冷ややかな視線を向けられたときは
そ～っとジャンバーで隠してましたね＾＾
街を出ていく先生にかけるセリフの温かいこと。

細やかにエピソードを重ねていく心配りのきいた映画でした。
温かい物語。いい映画です。

シズちゃんもよかった。
（シズちゃんがフラガールで好演したために
アカデミー賞のリポーターに抜擢されたヤマちゃんは気の毒でした。
あれは悲惨だった。見ているこっちがいたたまれなくなってしまった。）

フラガールスタンダード・エディション

• 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
• 発売日: 2007/03/16
• メディア: DVD

ラストのフラガールたちの顔は
ドラマ『のだめカンタービレ』の出演者たちのラストの顔、
映画『ウォーターボーイズ』のプールから上がった出演者たちの顔と
同じ清々しさを感じました。いい表情だった！

コメント 8

最近、宅配便を使ってのレンタルＤＶＤに加入したんだけど
フラガール全然来ないの･･････[傷心ハート]
流星さんやmiyucoさんの映画の感想を読み返して予約リストに
いろいろ入れて待っているんですけど[汗]

ＤＶＤ観たら感想書きに来ます(*^_^*)ゝ
ちなみに最近観たのは「ＳＡＹＵＲＩ」「ＵＤＯＮ」面白かったよ。
そうそう「アメリカン･パイ」は舞台で観ました♪
by 綺華 (2007-04-12 14:40) 

「ＴＳＵＴ○Ｙ○ ＤＩＳＣ○Ｓ」って、人気作は なかなか リストに入れられない
のよね[しょぼ～ん][汗] 一旦 申し込んで、解約しちゃった経験を持つ者です。(~_~;)ゞ

親＝自分の意思に反抗してる 思春期の我が子や家族の 頑張りを見て、
人知れない場面でも 応援する[ラブハート] そんな家族の思いやりに 心 打たれる
ところが 多かったですね。本来、家族が他人と違う ところって、こういった
無償の湧き出るような愛情…に 他ならないですもの ね。
子どもからの礼なんて 要りません！Ｍａ～ できれば 言ってもらいたい自分も
居たりしますけど。。。[ニコニコ][汗]
by 流星☆彡 (2007-04-12 18:24) 

＞ayakaさん
「フラガール」、TSUTAYAのレンタル本数がすごく少なかった。
だからまだ観るのは先かなと思っていたら貸してくれる人がいて
ラッキーでした[映画]
「アメリカン・パイ」を宝塚で上演してくれたおかげで
文庫本が出たんですよ。ありがとう（ここで言ってどーする＾＾；）
あの作品の舞台化なんてだいじょうぶかしらと思ってしまった。
きっと深い思い入れのある方が企画したんでしょうね。
コメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-04-13 10:01) 

＞ 流星☆彡さん
富司純子（寺島純子とつい打ってしまう…ここで年代がわかるかも）
のお母さんもよかったけど、トヨエツのお兄さんもよかったですよね。
いま、密かにトヨエツブーム[ラブラブハート]
でも…「愛の流刑地」はちょっとムリだわ[目玉]
nice!とコメントありがとうございます♪

あったかくなってきたので流星☆彡さんのように
映画館まで映画を観に行く気になってきました。
寒いと出不精がひどくなるばかりです[汗汗]
by miyuco (2007-04-13 10:07) 

評判は聞いていたのですが映画館に行けず、DVDにて。
泣きました。感動でした。
蒼井優ちゃんは２歳からバレエをやっていただけあって、背筋がしっかりしていて、踊りが上手いです。フラとバレエでは重心の置き方が変わってくるので、練習が大変だったそうですが。蒼井優ちゃんのソロダンスからラストにかけては泣きっぱなし。
紀美子の母親の冨司純子と、兄・豊川悦司が良かったです。
特に兄が最後に笑顔でトロッコに乗り込むシーン、好きでした。

実話であり、エンターテイメントであり、高品質の作品でした。
by (2007-04-21 01:10) 

ミミ猫さんは、蒼井優ちゃんのファンなんですね。
彼女は素晴らしかった[ラブラブハート]
「コトー」の辛気くさい（失礼）役よりも生き生きした役柄のほうが好きです。「タイガー＆ドラゴン」の男運がなく酒癖の悪いリサちゃんのかっこいい回し蹴りも素敵だったな。
トヨエツのあの笑みを浮かべた顔は忘れられません。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-04-21 16:54) 

すごーく、泣いてしまいました。
若き頃、ハワイアンセンターをちょっと、ダサダサと、
思っていた自分に泣きました。
ＤＶＤも買ってしまいました。
まだ、ＤＶＤは見ていませんが、
たぶん、すごく泣いてしまいそうです。
強い女を見ると、泣けてしまいます。
by ミック (2007-05-20 00:53) 

ミックさん、私もあんなとこに遊びに行くなんて
格好悪いと思っていた自分を恥じました[汗汗]
松雪さん、よかったですよね。
by miyuco (2007-05-20 18:29)