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『海街diary 1 蝉時雨のやむ頃』 吉田秋生 [コミック]

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/04/26
  • メディア: コミック
 

しっかり者の長女・幸(さち)
酒と年下の男に弱い次女・佳乃(よしの)、
いつもマイペースな三女・千佳(ちか)。
鎌倉の祖母の残した家で暮らしていた3人のもとに、
幼いころに別れたきりだった
父が残した“異母姉妹”を迎えることになり…。
海の見える町に暮らす姉妹たちの織り成す
清新でリアルな家族の絆の物語。

 

吉田秋生というとダイナミックなストーリー展開のものが
真っ先に挙げられるかもしれない。
私は「蝉時雨のやむ頃」のような日常を舞台にした
心に沁みいるような作品が大好きです。
(『BANANA FISH』を読み終えた余韻の中で『光の庭』を読み、
号泣でございました。)

幼い頃、女を作って出ていってしまった父親。
山形で再婚していてそこで亡くなったという知らせがあり
姉妹は葬式に出席することとなる。
そこには腹違いの妹・すずがいた。
彼女の母は亡くなっており、父親は彼女を連れて
子供のいる女性と連れ子同士で結婚していた。
すずは血の繋がらない家族の中に取り残された形になっている。

「家族だから」
これからもすずと一緒に暮らすという父の再婚相手。
「そんなこと軽くいっちゃっていいわけ?」
「持てそうもない荷物なら最初からそういってくれればいいんだよ」
佳乃には再婚相手の女性が
自分たちの母親と同じタイプに見える。
結局は祖母に自分たちを押しつけて
再婚するために出ていった母親。
そして中学生の‘すず’の姿は
しっかりした長女「さち姉」にだぶって見える。

あとからやって来た「さち姉」はすずに
「鎌倉にこない?」と言う。
「あたしたちといっしょに暮らさない?」と。
「行きます!」と即答してホームを走ってくるすずの姿が
初めてこどもらしく見える。
子供でいることを許された自然な姿になっている。
読んでいるわたしもホッとしました。
もうがんばらなくてもいいから。

朋章くんという佳乃がつきあっている年下の彼。
何かわけありの様子の彼は見たことがある。
鎌倉を舞台にした過去の吉田秋生の作品といったら
『ラヴァーズ・キス』
その登場人物とシンクロしているようです。
すずが転校してきた中学の同級生には酒屋の息子・風太とか
関西出身の緒方将志くんがいます^^

鎌倉の風景、海、姉妹の住む古い家の描写。
とてもすてきです。

すずを中心に語られる「二階堂の鬼」
病気で右脚を切断した同級生の入院先に会いに行く。
「本当は足がなくなってから何度も死にたいって思ったんだ」
こういうセリフをこんなふうにさらりとしたコマに入れる
これは誰にでもできる力量じゃないです。
さらりと入れることができるのはその前のシーンが
きちんと描けているから。
重くどーんと見せるのがフツーの見慣れた表現ですが
吉田秋生はさすがにそうはしなかった。

「恋に落ちる瞬間」のシーンもいいな~かわいいな~。

flowers八月号「海街diary Ⅳ 花底蛇(かていのじゃ)」を
読んでしまった。やっぱり大きい紙面で読む方がいいですね。
余白とのバランスがとてもきれいです。
朋章がすてきでした。

個性バラバラに見える三姉妹なのに
いざというときのコンビネーションは見事でした。
このへんは妹と自分の関係でわかってしまうところがある。
一緒に育ってきた根っこの部分があると
なんでもないところで、あうんの呼吸が発動するんですよね。
不思議なことに。


タグ:吉田秋生
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コメント 6

ミック

吉田秋生は随分読みました。
でも、「海街diary」は読んでないです。
「BANANA FISH」は号泣でした(T。T)
by ミック (2007-07-17 23:32) 

びっけ

私もこれは読んでいないです。
なんかいい感じですね。
江ノ電に揺られながら読んでみたいような・・・。
途中下車して甘味処に寄り道しつつ・・・。
『BANANA FISH 』は一気読みして夜が明けた記憶があります。
白々とした夜明けがせつなかった・・・。
『十三夜荘奇談』とかも懐かしいなぁ・・・。
by びっけ (2007-07-18 11:43) 

miyuco

>ミックさん
「BANANA FISH」アッシュが生き延びるはずがないと
思ってはいましたが…(><。)。。
「海街diary」とてもいい作品でしたよ。オススメです。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-07-18 16:38) 

miyuco

>びっけさん
江ノ電ももちろん出てきましたよ[ラブラブハート]
『十三夜荘奇談』好きでした。
『BANANA FISH』以前の英二の物語『Fly boy,in the sky』が
大好きで吉田秋生って細やかな心情描写が
なんて上手いんだろうと思ってました。
「海街diary」はそういった系統の物語です。
だからなんとなく懐かしい気がして
またこういうのを読めて嬉しいと思いました。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-07-18 16:51) 

びっけ

遅まきながら(いつものことですが)、ようやく『海街 diary 1 』と『海街 diary 2 』を読みました。
あぁ・・・本当に、吉田秋生は上手い!
四姉妹のそれぞれも 読んでいると身近にいる人たちのようで、すごく親近感があったけれど、やはり、足を膝下から切断した彼の話が一番、心に残りました。
「がんばれ」とか「かわいそう」と気軽に発してしまうことの残酷さと浅薄さが、痛いくらい伝わってきました。

末娘のすずの感じが、なんとなく女優の志田未来だなぁと思ったりもしました。
by びっけ (2009-11-15 20:27) 

miyuco

>びっけさん
吉田秋生は本当にうまいですよね。
足を切断した彼の話は生半可な気持ちで書かれると
読んでいてどうにも居心地悪くなりますが
すずが女生徒を追っ払ったあとの多田くんの言葉とか
後ですずがそのときの気持ちを伝える場面とか
ふたりの気持ちをとても丁寧にすくい上げていて
気持ちが揺さぶられました。

志田未来!真っ直ぐな瞳が似てますね^^
3巻、早く出ないかな。
コメントありがとうございました♪
by miyuco (2009-11-16 19:09) 

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