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『アヒルと鴨のコインロッカー』 DVD [日本映画]

伊坂幸太郎の原作『アヒルと鴨のコインロッカー』が大好きです。
映画はどんな感じかなと思いながら観ました。

「カワサキのカワは「川」?それとも河童の「河」?」
「じゃあ…河童のほう」
内容を知っているので「じゃあ…」の意味するところもわかります^^

いい映画でした。
原作の空気感がまったく損なわれることなく画面にあらわれていて
とてもうれしいです。
読後に感じたあのせつなさと同じ種類のものを映画からも感じました。
いやもっと切実に伝わってきたかな。
泣けました。

「ディラン?」
椎名にかけたこの言葉、ラスト近くでもう一度聞くと、
そこに何がこめられているのかが伝わってきて
激しく心を揺さぶられます。
同じセリフなのに全然違って聞こえる。

映画の冒頭、車に乗ったふたり。ただし顔はよく見えない。
セリフが暎太の声とは違うような気がして違和感があったけど
あれはそういうことだったんだと後でわかりました。

暎太がすごくよかった。
有無を言わせぬふてぶてしさ、繊細な表情、どちらも魅力的でした。
よく響く声ではっきりしゃべるところが河崎らしかった。
松田龍平、胡散臭いけど、どこか優しい、はまり役ですね。
濱田岳、「物語に途中参加」した椎名にぴったり。
関めぐみ、まっすぐな琴美の雰囲気がよかった。
麗子さん、大塚寧々、色が白くて原作のイメージ通り。

*
*
*

琴美を失ったとき、河崎を失ったとき
原作ではドルジが直接的に嘆き悲しむ描写はありませんでした。
(もちろん、それでも様々な描写から伝わってきます)
映画では慟哭する場面がありました。
胸をつかれました。
暎太の演技が素晴らしかった。

部屋でひとり、この世にいない人たちの声を再生し聞いている。
このときの暎太の表情はなんとも言えません。
すると外から鼻歌が聞こえてくる。
河崎が神様の声だと言っていたボブ・ディランの「風に吹かれて」
驚き、ドアを開けて外をのぞきこむとそこには若い男がいる。
「ディラン?」と声をかけたとき
どんな気持ちだったんだろうと考えるとせつないです。
そこからまた物語が動きはじめる。

「助けられる人は助けたい」
原作にある大好きなセリフが使われていてうれしかった。
でも、それまでの麗子さんの他人には興味ない生き方が
映画では描写されてなかったので
この言葉の意味が伝わりにくかったかもしれない。
琴美のやったことを知り麗子さんも変わろうとしている。
「ソウデスネ」
日本語が不自由で相手がなにを言っているかよくわからないときに
ドルジがよく使った言葉。
もう麗子さんしかそれを知らない。二人がいなくなってしまったから。

せつないです。



このジャケット、映画ならでは使い方でした。
ボロボロでした。譲り受けたのね、きっと。

以前書いた原作の感想です。(単行本)
「アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎」
文庫本は、かなり書き直しているようです。

公式サイトに監督中村善洋と原作者伊坂幸太郎の対談があります。
「映画を観て、文庫版を書き直したところもあるんですよ。
たとえば琴美が警察をよばないのはリアリティがないなとか。」
琴美の投げつけるセリフも変わってるようです。
映画は単行本と同じ。

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2008/01/25
  • メディア: DVD


タグ:伊坂幸太郎
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コメント 2

びっけ

こんにちは。
やっとこ本作を観ました。
正直、前半がかったるくて、観るのやめちゃおうかと思っちゃいました。(^^;
でも、部屋で窓に背を向けて立ち、シルエット姿の彼が「隣の・・・隣・・・」と言ったあたりからは、もうすっかり作品世界に引き込まれました。
瑛太の演技力には、私も脱帽です。
エンディングも せつないですよね・・・。

牛タン弁当に あたった!?
なんてバカなことをチラリと思った自分は置いておいて・・・。苦笑。
単に寝不足なんですよね。
ちなみに私は、いまだかつて牛タン弁当を食べたことがありません。(^^;

オール仙台ロケということで、その点に非常に興味を持ってみたのですが、哀しいかな、私がよく知っている仙台は今の仙台ではなく、20年以上前の仙台なのだなぁ・・・と痛感しました。
八木山動物園にしても、動物園入り口のショットとかあれば懐かしかったけれど(今も、昔とあまり変わってないから)、あの写真枠は知らないしなぁ・・・(^^;

原作も読みたいです。
単行本を読むべきか、加筆修正された文庫本を読むべきか、そこを迷っています。
by びっけ (2008-11-04 09:48) 

miyuco

>びっけさん
瑛太がほんとうによかったですよね。
原作を読んでいたので映画はどうなるのかと
心配でしたけどいい映画になっていて嬉しかったです。

そっか~やっぱり20年たつと街も変わりますよね。
原作は文庫本でも雰囲気は損なわれてないと思います。
伊坂幸太郎にとっては
文庫のほうが完成形なのかもしれないです。
本も最初はかったるいかな^^;
でもくじけず読むとおもしろくなってきますよ!
nice!とコメントありがとうございます♪
by miyuco (2008-11-04 22:33) 

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