『エンド・クレジットに最適な夏』 福田栄一 [読書]
「蝦蟇倉市事件」に載っていた「大黒天」が
気に入ったので福田栄一さんの本を読んでみました。
おもしろかった。
次から次へとトラブルに首をつっこむ主人公が
強気な姿勢で解決に取り組むソフトハードボイルド。
柴田よしきさんの花ちゃんシリーズみたいだった。
あれほど怖い敵はでてこないけど。
主人公は大学三年生の晴也(はるや)
若いのに度胸があります。
育ちが悪いからと本人は言う。
地元の中学校は荒れていた。
「あのスラムのような中学校に
三年も放り込まれれば
常に怯えて過ごす負け犬になるか、
誰彼構わず噛み付く狂犬になるか、
どちらかしかない。」
しかし性根は腐らなかった。
ストイックで優しい。
貧乏学生の晴也のもとに持ち込まれたのは、
自分を付け回す不審者を捕まえてほしいという
女子大生の頼み。
早速彼女の部屋で不審者が現れるのを待っていると、
マンションの前の道からこちらを見上げている男の姿が。
しかし男は不審者ではなく、隣に住む女性の兄だった。
妹と連絡が取れなくて困っている彼の頼みを、
晴也は引き受けることになり……。
なぜか芋蔓式に増えてゆく厄介な難題に東奔西走気息奄々、
にわかトラブルシューターとなった青年の
大忙しの日々を描いた巧妙なモザイク青春小説。
(「BOOK」データベースより)
最初の依頼者は女子大生・美羽
つけ狙っているのではと探りをいれた相手は
隣に住む女性の兄→妹を捜す手助けをすることに。
美羽のバイト先のクラブの客・馬場洋二は
しつこく口説いてきたため揉めたことがある。
→無関係だったが別のトラブルを抱えていたので
助けて欲しいと依頼される。
かくして晴也は忙しくなるわけです。
不埒な男という印象の馬場さんのイメージが
どんどん変わっていき、窮地を脱するまでが
おもしろかった。
美羽の身に迫る危険は意外な方向からやってきた。
結果的にそれに手を貸した形になってしまった人物。
ラブ・ストーリーにはなりませんでした。
晴也は彼女に惹かれていたの?
そのへんの描写は私には伝わってこなかった…
女性陣がもっと魅力的だったらよかったのに。
そうしたらラストの苦さも際だった。
もったいないです。
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