SSブログ

『人魚は空に還る』 三木笙子 [読書]

バディものでキャラクター造形が成功すれば
こわいものなしです。
舞台は明治の東京。
レトロな雰囲気も魅力があり
楽しく読みました。

表題作「人魚は空に還る」がとてもよかった。
悲劇を予想しながら読んでいましたが
意外な結末を迎えます。
余韻が残る終わり方。大好きです。



心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、
ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。
(帯より)

「表紙にすれば雑誌は完売、
帝都随一の絵巧者との呼び声も高い有村礼だが、
天才肌にありがちな気難しさで、
悪名高き編集者泣かせである。」

しかし至楽社にだけは好んで挿絵を描く。
なぜなのか。
理由は編集者の里見高広にある。
「ずっと待っていたのに何故来ない」
「続きを訳してくれ」
礼はシャーロック・ホームズが大のお気に入り
「THE STRAND MAGAZINE」に掲載されている
コナン・ドイルの作品を翻訳してもらうため
高広の来訪を心待ちにしている。

「暗闇を照らす光たりうる美しい存在を
創り出すことができる手」
「それを目にするだけで、明日も頑張ろうと思えるような」
礼はそういう力を持っていると高広は思う。

いくつかの事件を解決した高広を
礼はホームズのようではないかと評し、
自分は聞き役に徹するワトソンであると
言ったことがある。
「腰の低いホームズと高飛車なワトソン」
かくしてユニークな組み合わせが誕生したわけです。

才能を持つ者は当然特別扱いされる。
では高広は何も持っていないかというと
実は強力なバックがついている。
「現役の司法大臣と天才絵師」
両方と手を組んでいる高広が最強かもしれないですね。

「点灯人」
【帝都マガジン】に尋ね人の記事を載せてほしいと
やってきたのは小学四年生のおかっぱの少女。
行方不明になっているのは兄・森恵(さとし)
学生天才彫刻家として話題になった人物だ。
いい記事になるとみこんだ編集長は
高広に捜しだすようにと依頼する。
海坊主とあだ名される編集長・田所
(黒革の脅迫手帳を所持)
押しの強い関西弁の記者・佐野
高広の義父である司法大臣・里見基博
脇を固める個性的な人物が読者に紹介されます。

「真珠生成」
養殖真珠で有名な「美妃」から三粒の真珠が消えた。
真珠のひとつが金魚鉢の底の白い石のなかから
発見され帝都は大騒ぎ。
残りはどこに?犯人はだれ?
「隠された真珠か…『六つのナポレオン』みたいだな」
穏便に決着をつけるために高広の人脈が
いかんなく発揮されましたね。

「人魚は空に還る」
不思議な雰囲気のこの作品が一番よかった。
浅草六区、ひょうたん池の岸辺に立ち並ぶ
見せ物小屋に人魚が現れた。
「蝋燭座」という一風変わった名の一座。
座長と故郷が一緒だという新進作家の小川健作。
「蝋燭」「人魚」「小川」
このキーワードが最後に帰結します。
あれは「夜明け」という意味だったんですね。


「怪盗ロータス」
帝都を騒がす怪盗ロータス
名探偵には好敵手が必要だと礼は考えている
「怪盗ロータスなら合格だ」
一匹狼で狙うは金持ちの悪人、大衆受けは非常にいい。
風のように身軽で変装の名人であり目利きである。
「ホームズに事件を解決しろと
高利貸しのように催促するワトソン博士」
が目を輝かせるのもよくわかります。

エピローグが印象的です。
最終的に目的を果たしたのは誰だったのか。

ロータスはモリアーティ教授ではなくて
アルセーヌ・ルパンでしたね。
「怪盗ロータス」再び登場するのを期待してます!

人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)

人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)

  • 作者: 三木 笙子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。