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『折れた竜骨』 米澤穂信 [読書]

おもしろかった!
「魔術と剣と謎解きの物語」
魔法ありの世界でミステリーは成立するの?
と思いながら読み始めましたが
見事な謎解きが披露される美しいミステリーでした。

「何も見落とさなければ真実は見出せる。
理性と論理は魔術をも打ち破る。必ず。
そう信じることだ」

心惹かれる登場人物たち。
十字軍国家から来た騎士と従士、気丈な16歳のお嬢さま。
とてもとても魅力的です。

12世紀イングランドの北海に浮かぶ孤島が舞台
魔法が存在するという点で現実とは異なるパラレルワールド
ソロン諸島(アイランズ)の領主が暗殺された。
小ソロン島は自然の要塞であったはずなのに。
暗殺騎士に命を狙われていると
事前に忠告を受けていたにも関わらず。
暗殺騎士を追いつづけている騎士、ファルク・フィッツジョン
ファルクの従士、ニコラ・バゴが真相を探る。

 

「わたしは、海の向こうから来るものは
たいてい好きだ。
それが、遙か東方から来た自信ありげで謎めいた
【聖アンプロジウス兄弟団の騎士】だったら、
実に申し分ない。」

領主の娘・アミーナの視点で物語は語られる。
強く気高い心を持ったお嬢さま。

高潔な騎士・ファルク
背が高く、肩まで届きそうなブラウンの髪
鳶色の目は優しげで、どこか人懐っこい印象を与える。
幼さが残る従士・ニコラ
背丈は四フィート(約1.2メートル)あるかないか。
はっとするほど鮮やかな赤毛の持ち主、瞳は淡い灰色
凛々しくも目鼻立ちの整った男の子。
剣の達人。

この三人の魅力だけで
私はだいぶ満足してしまったのですが
次々と現れる登場人物も一筋縄ではいかなくていい感じ。
囚われている不老不死の捕虜「呪われたデーン人」
いわくありげな傭兵たち。

物語に散りばめられていたかけらを紡いで
真相は見事に織り上げられます。
苦く、しかしそれだけではない幕切れ。
この後味はまさしく米澤穂信ならではのものでした。

謎解きの緻密さにうっとり。
米澤穂信に外れはないですね。

〈第64回 日本推理作家協会賞受賞作品〉

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/11/27
  • メディア: 単行本

 

 

 


タグ:米澤穂信
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コメント 2

リュカ

面白そうですね!
魔術に剣にミステリー、どれも大好物です^^
ミステリーと魔法の両立も興味深いですね。
読んでみたいです。
by リュカ (2011-05-17 19:11) 

miyuco

>リュカさん
おもしろかったですよ!
米澤穂信の作品はどれもオススメです^^
by miyuco (2011-05-18 20:39) 

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