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恩田陸 「黄昏の百合の骨」 [読書]

主人公に関する思わせぶりな描写の説明がないまま終わり?
と思っていたら
「麦の海に沈む果実」のあとの物語なんですね。
その本ってずっと前に図書館で借りて、
挫折した本ではないですか・・・
あの時読んでおけば・・・

高台にある古い洋館、白百合荘、別名「魔女の家」。
そこで暮らす16歳の理瀬とふたりの叔母。
このふたりは、外見上は対照的だが(大和撫子と毒婦)、
内面的にはよく似ている姉妹。
お互いを探り合いながら、緊張感を持って暮らしている三人の女。
百合の香りでむせかえる洋館、祖母の残した奇妙な遺言、
何かが起こるという確信に満ちた予感・・・

夜中までかかって一気読みしました。
その後にトイレに行くのが怖くて怖くて・・・
(もうリッパな大人なんですが・・・)
伏線はいろいろあったのに、それに気づいてはいたのに、
やっぱり恐ろしい。
自分の中の闇を自覚している理瀬が
一番光に近いように思えてしまう。

恩田陸の作風が「懐かしの少女マンガ風味」だとは、
よくいわれますね。
彼女は1964年生まれ、年齢が近く、
当時少女マンガに浸っていた私のような人間には、
まさにそういったテイストが、印象として残っていきます。
山岸涼子や美内すずえが書いていた、
私を震え上がらせたホラー作品を思い起こします。
このふたりが描き出す人物は、本当に恐ろしかった。
天才漫画家と比べても意味はないのですが・・・

夜虹堂というすてきな恩田陸ファンページがあります。
そこに、恩田作品などで言及された漫画のリストというページがあります。
見てみると・・・読んだことのある作品ばかり・・・
彼女の趣味嗜好がよくわかります。

萩尾望都さんの作品には
「自分に罪などない、いつも巻き込まれるだけだと信じ込んでいる」
メイワクな人物がよく出てきますね。
萩尾さんはそういう人間を描写するのがとても上手です。
辛辣です。

恩田陸の作品は、なかなか受けつけられなくて、
挫折したことがよくありました。
少女マンガに「似たようなもの」であれば、
当時読んでいた作品のインパクトに勝てるわけがありません。
私が読みたいのは、愛する少女マンガを文字にしただけのもの
ではなくて、雰囲気は残したまま作品として心に残るもの、
魅力的なストーリーです。
いくつかの作品を少し読んだだけで感じた「少女マンガの雰囲気」に、
これを文章で読む意味があるのかなと思ってしまい、
なかなか読み進むことができませんでした。
今回は読んでみて、よかったです。

若い方はそんな感慨には無縁で、
作品自体をストレートに受け止めているのでしょうね。
私が、いま10代だったら、この物語は無条件で好きだったと思います。

「夜のピクニック」と「ドミノ」は読んでいます。
こういった設定のものは抵抗なく読めます。
「夜のピクニック」は大好き。
「ドミノ」これは息子とダンナにとても好評でした。おもしろい!
登場人物の暴走がとっても楽しいです
やっぱり上手い人なんだなと思いました。


黄昏の百合の骨

黄昏の百合の骨

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本


タグ:恩田陸
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