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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 [外国映画]

TVで二夜連続放送された
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』を見ました。
アラゴルンがパランティアの前に姿をさらして、
サウロンを挑発するシーン。
療病院で負傷者を癒すシーン。
ファラミアとエオウィンがモルドールを見ながら
城壁の上でたたずむシーン。
カットされたのかなと思っていたら、思い出した。
それはSEE(スペシャル・エクステンデッド・エディション)の
追加シーンでした。
時間的な制約があるので仕方ないのですが
これらのシーンが劇場版でカットされたのは
本当に惜しかったと思います。

ミナス・ティリスとモルドールの地理的な近さと
それが与える影響を視覚的に理解できること。
映画の力ですね。

烽火が次々にともる美しい映像には感動です。

「小さき者が世界を救う」
世界を救った英雄は、この世界で
幸福になることはできませんでした。
いつまでも疼く傷跡。
「お前にこの重荷を背負わせるわけにはいかない」
サムはフロドに寄り添い、
重荷を分かち合いたいと望みますが拒まれます。
全てが終わった後、サムが家族と幸福に暮らせるのは、
このフロドの決断ゆえです。
フロドがシェロブに襲われ死んでしまったと思いこんだときに
サムは短時間ですが指輪を所持しました。

「お前も、ごく僅かの間とはいえ、
指輪所持者であったわけだね。
お前の時も来るだろう」
と原作にはあります。

後にサムも【The Ring-Bearer】として
灰色港から西方に向かって旅立っていきます。
トールキンの「指輪物語」はこんなふうに
細部に気配りしてある部分がたくさんあります。
それがとてもうれしい。
指輪(いとしいしと)とともに火口に落ちていったゴラム。
「ビルボがあの機(おり)に、
あの下劣なやつを刺し殺してくれればよかったのに、
なんて情けない!」
かつてフロドがこう言ったときにガンダルフはこう諫めます。

「情けないと? 
ビルボの手をとどめたのは、その情けなのじゃ。
無用に刺さぬ、これが情、慈悲じゃ。
生きている者の多数は、死んだっていいやつじゃ。
そして死ぬる者の中には生きていてほしい者がおる。
あんたは死者に命を与えられるか?
もしできないのなら、
そうせっかちに死の判定を下すものではない。
すぐれた賢者ですら
末の末までは見通せぬものじゃからなあ。」

「かれは指輪の運命にしかと結びつけられておる。
わしの心の奥底で声がするのじゃ
善にしろ悪にしろ、かれは死ぬまでに
まだ果たすべき役割があると。
そしてその時が至れば、ビルボの情は多くの者の運命を
決することになるかもしれぬと」

原作ではホビット庄でかわされるガンダルフとフロドの会話。 
これがフロドのゴラムに対する態度を決定付け、
指輪の最後に結びつきます。
指輪を持っての長い旅に出る前の言葉が、
最後の最後に実を結びます。
この文章を書くために『指輪物語』とSEEを引っ張り出し、
ながめているとまた深みにはまりそうになってしまった。
また【指輪の幽鬼】になりかかってしまう。

トールキンの『指輪物語』を読み始めたのは、
『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』が上映された頃でした。
日本中からディープな指輪ファンが姿を現したのを見てビックリ。
そしてその方たちから映画への賞賛とともに、
日本語字幕のひどさを糾弾する声が上がり、
これは原作を読まないときちんと理解できないなと読み始めたわけです。

これだけのボリュームの物語を読み通すのはちょっと億劫で
それまでは敬遠していました。
読み始めたらあっという間に読み通してしまいましたけれど^^;
わたしは、この年齢で読んで正解だったなと思いました。

細部にまでつくりこんだ世界観、
世界の希望を背負っているのは屈強の戦士ではなく
小さき者ホビット。
目的は邪悪なる宝物、【ひとつの指輪】を葬ること。
奥深い物語。
語り始めたらきりがありません。
心から魅了されてしまいました。
当時は私自身が指輪の幽鬼でしたね
ピーター・ジャクソンへの賞賛は
アカデミー賞11部門受賞という快挙からも明らかでしょう。
彼は『指輪物語』を深く理解し、
同時に映画というものをよく理解している方です。
派手な戦闘シーンや緩急自在の見せ場、
ビジュアル的なおもしろさがなければ
映画として大勢の観客に見て貰えないことを解っています。

アラン・リーとジョン・ハウをデザイナーとして迎えたことも賢明です。
いかにこの物語を愛しているのかよく分かります。

フロドとサムが地味に滅びの山に向かっている場面が
延々と続いていくだけでは映画としては成り立たないし、
それを見せなければ『指輪物語』が成り立たない。
ほんとうに見事でした。
(今さら私が言うことでもないですが、言いたい)
配役も素晴らしかった。
フロドにイライジャ・ウッド、レゴラスにオーランド・ブルーム。
このふたりの配役で、映画館にやってきた女の子たちも
多かったでしょうね。
わたしが大好きなのは、もちろんアラゴルン 
あのストイックな感じが大好き。
ただひとつ、P.Jに文句を言わせて頂きたいのは、
ファラミアの扱い。
デビッド・ウェナムの風貌は、まさにファラミアでした。
ただ、『二つの塔』でフロドとサムと対峙するファラミアが、
あまりに狡猾そうで原作とはまるで違っているのが不満です。

「わたしは兄とは違う」
高潔な人柄がにじみ出ている
ジェントルマンとして描いてほしかった。
だからこそ、父からの仕打ちが
あまりにも不憫だと感じるところなのに。

ファラミアが好きなもんで、
ついこんなこと言いたくなってしまいます。
『指輪物語』トールキンの原作で楽しませていただいて、
職人ピーター・ジャクソンの映画で楽しませていただいて、
ほんとうに至福の時を過ごしました 
(映画の騎馬シーンを見ていて、
黒澤明監督がこの映画を見たら
きっと喜んだんじゃないかなと思いました。
壮大な叙事詩がお好きだったようですから)
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 スペシャル・エクステンデッド・エディション

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 スペシャル・エクステンデッド・エディション

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/02/02
  • メディア: DVD






タグ:指輪物語
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コメント 8

スゥ。

記事300本目オメデトウ♪(´∀`人);・*..*☆:・'・.*:☆
by スゥ。 (2006-04-04 02:09) 

哲

こんにちは。男のフロドファンです。
キャスト中でも見た目より運動神経の良いフロドはわりと好きですよ。
あと、デネソール渋いっすね。
あの人、悪役だけど、素は演劇講師をやってる師匠だとか。
これからもお互い、指輪ファンでいましょう。
by 哲 (2006-04-04 05:28) 

miyuco

300まで続くとは思いませんでした。自分でもビックリ!
気づいてくださってありがとうございました♪
by miyuco (2006-04-04 19:36) 

miyuco

>哲さん はじめまして。
フロドファンは女性ばかりではないですね。失礼しました^^;
デネソール!あの威厳と狂気、圧倒的でした。大好きです。
すべてのキャスティングが神業のようにピタリと嵌ってたように思えます。
う~ん、書きたいことたくさんありすぎて困ってしまう。
ハイ、これからも指輪ファンであり続けます。
コメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-04-04 19:49) 

はな

はじめまして、です。
アラゴルンかっこいいですよね!!
この映画を見たとき本当にドキドキしました!!
引き込まれました~。素敵・・・。
by はな (2006-04-07 11:50) 

miyuco

>はなさん、はじめまして。
アラゴルンを映像で見たときに、原作通りだ~!と
感動のあまり、気が遠くなりそうでしたv(≧∇≦)v
剣を抜いて敵に立ち向かうときの、スッと戦闘モードになる顔が大好き。
空気が変わるような気がします。ほんとに素敵ですよね♡
コメントありがとうございました。
by miyuco (2006-04-07 18:14) 

かいろ

miyucoさん、はじめまして。
真紅さんのところでmiyucoさんのBBMに関するコメントを拝見して、とんでまいりました。そしたら「ロード」の記事まであって!、‘きゃ~’と書き込みをさせていただいてる次第です。小説は未読なのですが(あの分量を読むにはちょっと気力と体力と時間が、ついでにお金もありません・・・)、わたしもファラミアが大好きなもので♪でも今はBBM中毒です~。
BBMの影響で最近ブログを始めました。よろしければお立ち寄りくださいませ。http://torch.cocolog-nifty.com/blog/です。
それではこの辺で。お邪魔いたしました。
by かいろ (2006-05-26 21:44) 

miyuco

>かいろさん
あの長文コメントは少し反省しております(>へ<。)
>BBMの影響で最近ブログを始めました
書いても書いても書き足りないというのは、私にもわかる気がします。
そういう作品にめぐりあえたのは幸福だと思います。
かいろさんのブログにもお邪魔させていただきますね。
コメントありがとうございます♪
by miyuco (2006-05-27 08:54) 

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